SAP ERPを3000万円台で提供 「1億円でも厳しい」の声を受けSAPが新中堅向けプログラムを発表

» 2008年07月23日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 SAPジャパンは7月23日、年商50億円から200億円規模の中堅企業をターゲットにしたERP導入プログラム「SAP Business All-in-One FAST-START PROGRAM」(FSP)を開始すると発表した。SAP ERPのライセンス、ハードウェア、導入費用を含めて3000万円台でERPを導入できるという。

 SAPは「SAP ERPが1億円から」をキーワードにした中堅企業向けのERP導入パッケージ「SAP Business All-in-One」を2007年7月から提供しているが、「1億円でも厳しい」との声を受けて、さらに低価格なプログラムを開発した。SAPジャパンのバイスプレジデント 地域営業本部の神戸利文氏はFSPについて「本格的なERPをいかに早く、安く使ってもらうかが主眼」と説明した。

FSPの位置付け。「SAP Business All-in-One」と「SAP Business One」の中間に位置する
SAPジャパンのバイスプレジデント 地域営業本部の神戸利文氏

 FSPは組み立て製造業、サービス業、商社・卸業の3業種に特化したプログラムで、「財務会計」「管理会計」「購買/在庫管理」「販売管理」「生産管理」「プロジェクト管理」などのERP機能が利用できる。コア機能は「SAP ERPそのもの」(神戸氏)だ。ERPを事前設定し、サーバにインストールした上で、ユーザーに届ける。

 FSPの最大の特徴はユーザーが必要な機能を選ぶだけで、SAP ERPのライセンス費用、サーバ費用、導入費用が分かる「オンライン・コンフィギュレーター」の提供。自社の業種と従業員数、ERPのユーザー数を入れると一般的に必要とされるERPの機能が表示され、その導入コストが分かる。機能の追加や削除も可能。オンライン・コンフィギュレーターは7月末にWebで一般に公開され、誰でもアクセス可能になる。SAPジャパンのバイスプレジデント 田村元氏は「SAPの手の内をさらすことになるが、内容には絶対の自信がある」と話した。

Web上でSAP ERPの見積りができる「オンライン・コンフィギュレーター」

 オンライン・コンフィギュレーターでの見積り結果はXMLファイルに出力され、システム構築を実際に担当するSAPのパートナーに渡される。パートナーは専用ツールである「ソリューションビルダー」でXMLファイルを読み込み、ユーザーが選択したプロセスの設定や調整を行う。その後、OS、データベースと設定済みのSAP ERPをサーバにインストールし、顧客に納品する。さらに顧客側でデータ移行を行って、本番稼働という手順になっている。田村氏は「いくつかのサーバメーカーと調整している。パートナー数はトータルで7社を検討している」と述べた。

 FSPの導入期間はSAP Business All-in-Oneの半分の3カ月程度を想定している。田村氏は「トレーニングを受けなくてもマニュアルを見れば使えるようにするために懇切丁寧なマニュアルを用意する」と話した。SAPはFSPの開始後、1年で100社の獲得を目指している。

 SAP Business All-in-Oneの提供開始以降、SAPの中堅向けビジネスは好調。SAPによると2008年1-6月期は前年同期と比較して、パートナー経由の中堅企業向けライセンスが件数ベースで61%増、金額ベースで95%増加したという。FSPの提供で上積みを狙う。

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