需要爆発中のインドへの日本企業の参入をサポート〜アクセンチュアアクセンチュアインドの社長が来日

» 2008年07月29日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 アクセンチュアは7月29日、報道関係者向けの説明会を開催し、アクセンチュアインド 代表取締役会長兼社長のハーシュ・マングリック(Harsh Manglik)氏がインドの情勢やアクセンチュアインドについて説明した。

2025年には5億8000万人の中流階級が出現するインド

 マングリック氏は、まずインドの近況を説明。インドの人口は11億人で、GDPは約9000億ドル(2006年度)。インド経済の動向で同氏が強調するのは、若い世代と中流階級の増加だ。「インドの人口で注目すべきなのが、人口の半分が23才以下で5億5000万人もいるということ。さらに3分の1の3億7500万人が15才以下だ。10年後にはこの人口が消費者に加わる点は大きい。中流階級の人口は現在5000万人だが、2025年には5億8000万人にまで増加すると予測されている。中国の国内消費はGDP比40%だが、インドは66%に達する。この大きな国内市場は非常に魅力的だ」(マングリック氏)と説明した。

マングリック氏写真 アクセンチュアインド 代表取締役会長兼社長 ハーシュ・マングリック氏

 現在の個人消費は3690億ドル(2006年)だが、2025年には1兆5000億ドルに達する見込み。社会インフラ整備にも熱心で、2012年までの今後4年間で5000億ドルが投資される予定だという。政府が特に力を入れているのが製造業で、自動車産業は2016年まで毎年1450億ドルの生産高を想定しており、政府は今後3年間で1000億ドルの資本投資を行う予定だという。さらに、海外直接投資(FDI)を100%控除するほか、生産拠点設立へのインセンティブもあるなど、積極的に投資を促進させている。マングリック氏は、「トヨタは30万人の新卒労働者を活用するためのトレーニングセンターをバンガロールに開設するなど、投資意欲が盛んだ。また、インフラ投資では、耐震建築技術で世界一といえる日本の建築業者に注目が集まっている」とコメントした。

 IT産業も爆発的に需要が拡大しているという。2005年に特別経済区法が施行されたことで通信などのインフラ投資が増加し、サービスセクターが急速に成長。インドのITサービス市場は、10年後に世界15位以内、40年以内に3位にまで成長すると予測されている。その背景には教育水準の高さがあり、毎年250万人の新卒人材が輩出されているとした。その内、エンジニアは約30万人、ITプロフェッショナルは15万人に達するという。

 人材についてマングリック氏は、「国内の大卒だけではなく、海外で教育を受けた人材がインドに戻ってくるケースが急増している。フォーチュン500企業の半分以上がインドにR&Dセンターを開設するなど、人材の争奪戦が起きている。アクセンチュアインドも75のスキルセットを用意して、優秀な人材の獲得を行っている」と語った。

経営規格から実行までワンストップで提供できるのが強み

 アクセンチュアインドは1986年以来、20年以上にわたってインド国内でコンサルティング業務を提供しており、社員数は3万7000人以上。バンガロールやムンバイ、プネなど13拠点を持ち、顧客企業は375社だという。マングリック氏によると、「インドで、親会社よりも大きな企業は、日本のスズキとアクセンチュアだけだ。コンサルティング内容のほとんどオフショア系だ。インド企業には経営コンサルティングも行っているが、売り上げの多くはオフショア系のコンサルティングが占めている」という。

 前述のように、インド国内市場は非常に魅力的だが、非常に複雑な市場でもあるという。「27の州に分かれているほか、使われている言語もかなり多様だ。法規制の問題もある。それらを考えると、コンサルティングが必要な地域でもある」(マングリック氏)とした。

 そういった状況において、アクセンチュアインドの強みは、経営戦略から計画実行までをワンストップで提供できるほか、日本のアクセンチュアとの連携も多きいとした。マングリック氏は、「インド市場やインド政府に対する深い知識だけでなく、関係各所への働きかけもサポートできる。また、日本のアクセンチュアと連携できることから、日本の多国籍企業へはかなり厚いサポートができるだろう」とコメントした。

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