「製造業、現場の改善はもう限界」、SAPがSOAで支援へ本社、工場、営業拠点を連携させる実現基盤を提供

» 2008年09月02日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 SAPジャパンは9月2日、「組み立て製造業向け 現場と経営をつなぐソリューション」をテーマにプレスセミナーを開催した。「現場の情報を基幹システムにつなぎ、生産プロセスの最適化を図ることが企業競争力につながる」として、基幹システムとMES(Manufacturing Execution System、製造実行システム)の連携を実現するコンポジットアプリケーション「SAP Manufacturing Integration and Intelligence」(以下、MII)を、2010年以降は「SAP Manufacturing Foundation」と名称変更し、いっそうの機能強化を図るという。

写真 カスタマーイノベーションセンター担当部長の木下史朗氏

 同社カスタマーイノベーションセンター担当部長の木下史朗氏は、「日本の製造業は月次、週次はもちろん、日単位、時間単位まで、実にきめ細かな需給調整を行っている。生産最適化を図る上で、これまではQCサークルをはじめ、製造現場中心の改善活動を行ってきたが、現場の改善はもう限界に達している。さらなる改善を図るためには、製造部門と営業部門の連携など、これまで不可能とされてきた課題に取り組まなければならない」と指摘した。

 これを受けて、2010年以降、MIIを「SAP Manufacturing Foundation」と名称変更し機能を強化。具体的には、MIIをアプリケーション/データの統合基盤「SAP NetWeaver」と機能統合し、SAP Visual Composer、WebDynpro、Javaといった、さまざまな言語を用いる開発者がシステム開発に参画しやすくするという。また、多様なユーザーインターフェイス環境を活用可能とし、ERPとMESをはじめ、工場間、ベンダ間のシステム間連携をいっそうスムーズにする。

写真 今後の製品ロードマップ。2010年以降はMIIをSAP Manufacturing Foundationと名称変更し、機能強化する

 「競争力向上のためには、市場変化を見据えて機敏に生産計画を変えるなど、変化適応力が不可欠。従来、SAPはERPを中心に本社機能をサポートしてきたが、変化適応力向上のためには、本社、工場、営業拠点といった全組織が連携し、同じ指針のもとに活動しなければならない。SAP Manufacturing Foundationを、各種システムを連携させるSOA化実現基盤として提供し、企業競争力向上を強力に支援する」(木下氏)

写真 インダストリー/ソリューション戦略本部 産業機械建設エンジニアリング産業担当部長の見学悟氏

 一方、インダストリー/ソリューション戦略本部 産業機械建設エンジニアリング産業担当部長の見学悟氏は、ERP、SCM、CRMといったSAPの製造業向けソリューションを改めて紹介。中でもSCMに焦点を当て、「調達先、納入先など、サプライチェーン上にある協力会社との業務連携を可視化し、計画通りにモノを流す仕組みが大切」として、SAP Event Managementを紹介した。

 「サプライチェーンにおけるモノの所在確認はもちろん、『予定していた日時に商品が届かない』といった例外状況も即座に確認できる。トラブルの各関係者にアラート発生通知メールを送信し、早急な対応を促すことも可能」として、サプライチェーン全体のプロセス連携をきめ細かく監視する重要性を訴えた。

 SAPの製造業向けソリューションが、53カ国の言語、法制、商慣習に対応し、世界120カ国に導入実績があることも紹介。また、製造業の業務プロセスが各社各様であることを受けて、「XMLベースのWebサービスを多数用意しているほか、製品のソースコードもユーザー企業に提供している。自社独自のプロセスにシステムを適合させる上で、SAP製品の柔軟性は高い」と解説した。

 最後に、インダストリー/ソリューション戦略本部 ハイテク産業担当部長の鈴木博文氏が、コニカミノルタビジネステクノロジーズへのSAP ERPやSAP SCMの導入事例を紹介した。2008年1月にカットオーバーして以来、グローバル在庫の適正化、正確な納期解答情報による顧客満足度向上など「着実に成果が表れている」として、同社製品の優秀性を改めてアピールした。

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