サン、新たな日本法人社長を求人中パートナー支援に数億円規模の投資を検討

» 2008年09月18日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 サン・マイクロシステムズは9月18日、報道関係者向けの説明会を実施し、同社の2009年度の戦略を説明した。米サン・マイクロシステムズ アジアパシフィックプレジデント兼アジアサウス法人社長であり、日本のサンの代表取締役社長も務めるライオネル・リム(Lionel Lim)氏は、「現在、月に2度来日している。ただし、アジア太平洋地域の責任者も務めており多忙なので、日本法人社長に良い人材を現在探しているところだ。日本は非常に重要な市場なので、良い人材を探して就いてもらいたい。私は一時的な社長だと認識してもらって構わない」とコメントした。

リム氏写真 サン・マイクロシステムズ 代表取締役社長 ライオネル・リム氏

 リム氏は最近のワールドワイドの実績について、「年間売上130億円でMySQLを買収するなど好調を維持している。特に注目してほしいのは、1万1000以上の特許を持っており、毎年20億ドルの開発研究費を投じている点だ。売り上げの15%程度をR&Dに投資している企業はなかなかない。当社の強みだ」と説明。アジア地域を中心にインターネット人口が急増している現在では、「50億のデバイスがインターネットを介して動いている。当社は将来的には、あらゆる人がそれぞれ5つのIPアドレスを持つと予測している。このような時代に、当社はネットワーク上のあらゆる問題をすべて解決していきたいと考えている」と語った。

 同社が2009年度主に注力していくのは、「High Performance Computing(HPC)」「Global Web Buildout」「Business Infrastructure」の3つ。HPCの分野では従来の大規模研究施設用だけではなく、銀行のシミュレーション用などより商業目的のものを提供していくとした。Global Web Buildoutでは、Web 2.0などを代表としたインターネットを介したコンテンツの処理能力をサポートする。そして、Business Infrastructureでは、給与支払いやERP、基盤インフラなどをサポートするとした。

 また、同社が引き続き注力していくのがオープンソースプラットフォームだ。リム氏は、「当社の強みはさまざまな分野でオープンソースプラットフォームを持っている点だ。例えば、通常のソフトであればパートナー企業はリセラーとして販売手数料を取ることしかできないが、オープンソースソフトウェアではそれに付加価値を付けて売ることができるため、リセラーから脱却できる。日本市場のように特にパートナーとの関係が重要な地域では、このようにパートナーに利益を提供できる仕組みは強みになるだろう」とコメントした。

 具体的な2009年の戦略としては、「Web 2.0チーム」を創設し、新規顧客の開拓を進めるほか、x86サーバ市場におけるシェア拡大。「Sun Partner Advanced Program」の拡大によるパートナービジネスの強化。開発者コミュニティの拡大と学生層のサポート。Open Solarisダウンロード数の拡大とOpen Storage市場の形成を挙げた。

 例えば、「Sun Partner Advanced Program」の拡大では、サン製品の各種販促活動向けに資金提供を行ったり、貸出機のレンタル費用代として数億円規模の投資を検討しているという。さらにその数倍規模のパートナー支援も計画中だとした。

 新設の「Web 2.0チーム」では、Web 2.0/SaaSなどインターネットサービスビジネスの拡大や、そこで生まれた新しい技術の企業への展開サポートや、日本政府や企業へのOSSの普及、学生を含む開発者コミュニティの活性化とサポート、などが主なミッションだとした。サン 新規ビジネス開発本部 本部長 中村彰二朗氏は、「日本のIT系学生が減少しているため、ここを手厚くサポートして減少を避けなければならない。また、仮想化技術も、『サーバなどアプライアンスを減らしたくない、売りたい』といったベンダの本当の思いもあって、本当の意味で仮想化技術を使えている企業は少ない。ベンダも企業なので利益追求は当然だが、顧客の立場にもっと立つ必要があるだろう。今後、クラウドコンピューティングが進めば国内にデータセンターはなくてもよい、という時代が来るかもしれない」とコメントした。

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