NTTグループ、NGNをSaaS基盤として提供通信品質の高さを武器に、PaaS事業に進出

» 2008年10月29日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 NTTデータ イントラマートは10月29日、イベント「intra-mart Enterprise Web Solution 2008」を開催し、日本電信電話の代表取締役副社長、宇治則孝氏が「NGN(次世代ネットワーク)時代のNTTのサービス創造への取り組み」と題して基調講演を行った。

 今年3月に同社がスタートしたNGNサービス「フレッツ光ネクスト」の加入数が伸びていることなどを受け、2010年までにフルIPネットワーク基盤を構築するほか、「通信の信頼性、安定性の高さを特徴とするNGNをSaaS提供基盤とし、さまざまなアプリケーションを提供していきたい」と述べた。

 総務省の調べによると、2008年6月末現在、インターネットの加入数は1億2487万件。このうち、ブロードバンド加入数は2934万件と、2002年から順調な伸びを示している。モバイルでも3Gの普及が進んでおり、ICTサービスの普及に関する国連の調査では、「日本のICTインフラ普及率は世界一」と評価されている。

写真 日本電信電話の代表取締役副社長、宇治則孝氏

 これに対して宇治氏は、「ICTインフラは充実していても、住民基本台帳カードや無線ICタグなど、ICTサービスの普及は遅れている。経済成長と環境負荷低減を両立できるICTは、持続可能な成長モデル構築に寄与する重要な切り札。今後はメーカーをはじめ、ICT利用企業と、ICT関連サービスの提供企業が、ともにICTの通信力を武器とし、産業変革や国際競争力向上を図るべきだ」と強調した。

 そうした考えに基づく、NTTグループとしての取り組みの1つがNGNサービスの拡大だ。今年3月にスタートした「フレッツ光ネクスト」が順調に加入数を伸ばしており、2010年度までに2000万契約が見込まれているという。エリア拡大にも取り組んでおり、2010年度までにFTTHサービス「Bフレッツ」と同等のエリアにまで広げるという。

 そしてもう1つが、NGNをSaaS提供基盤として活用することだ。宇治氏は「SaaSの市場規模は、2010年には1.5兆円規模になるという調査結果もあるなど、今後もさらなる伸びが期待されている。運用管理の手間がなく、必要なときに、必要なサービスを柔軟に使える点で、IT投資予算が限られている中堅・中小企業の潜在顧客も非常に多い。ただ、これまでは通信の安定性、信頼性、セキュリティ上の不安が、利用に対する心理的制約となっていた。だが、高度な通信品質とセキュリティを確保できるNGNならこれを解決できる。われわれは『SaaS over NGN』を標榜し、ユーザー企業に積極的に活用をアピールしていきたい」と力説した。

 また、SaaSで提供するサービスもグループをあげて開発するほか、今年5月にアライアンス提携を発表したセールスフォース・ドットコムをはじめ、他社とも積極的に連携していくという。宇治氏は「PaaS事業者として、データセンターを窓口に、必要なとき、必要なリソースを提供できる環境を整え、日本企業の成長力強化に貢献していきたい」とまとめた。

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