Microsoft Office Projectで、やる気と利益を上げる方法マイクロソフト、「Project Conference 2008」を開催

» 2008年11月21日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 マイクロソフトは11月21日、イベント「Project Conference 2008」を開催した。「Microsoft Office Project Standard 2007」「Microsoft Office Project Server 2007」を使ったプロジェクト管理について多彩なプログラムを用意した中、販売パートナーである日本ヒューレット・パッカードは「設計・開発プロジェクトの見える化による業務改善への貢献」と題し、コンサルティング・インテグレーション統括本部の吉見隆洋氏が、「Project ServerとMicrosoft Office SharePoint Server(MOSS)を組み合わせた情報活用の仕掛け作り」について解説した。

 現在、世界的な不況や商品ライフサイクルの短期化など、製造業にとって依然、厳しい状況が続いている。こうした中、メーカーが生き残るためには、利益を向上させコストを下げる「ITも含めた業務全体の仕組み」が必要だ。また、そうした仕組みを支えるのは人材であり、特に現場層のモチベーションの維持・向上が重要なポイントとされている。

 これを受けて吉見氏は、「製造業において現場層のモチベーションを支えるものは、1人ではできないことに取り組んでいるという“組織力”、企業として合理的な投資を行っている、人材育成に対する確かな理念があるといった“安定性”、そしてものづくりに対するこだわりや、事業に対する貢献度という“やりがい”の3つがポイントになっている」と指摘した。

写真 日本HP EDS事業統括 アプリケーションサービス統括本部 ソリューション・コンピテンシー本部 製造・流通ソリューション部 インダストリソリューションリード PMPの吉見隆洋氏

 

 しかし現実には、部門間での情報共有ができていなかったり、上位マネジメント層、中間マネジメント層、現場層といった職級によって、把握できる情報が異なっていることが多い。これによって、たとえ同一プロジェクトでも立場によって現状のとらえ方がまったく異なるなど、“組織力、安定性、やりがい”を感じられない状況に陥っているケースは珍しくない。

 吉見氏は、「部門間、職級間で適切に情報を共有できる体制があれば、プロジェクトの意義や進捗状況を明確に把握できる。現場層にとってもプロジェクトにおける自分の役割、貢献度が分かり、モチベーションの高揚につながる。また、関係者全員が同一の見解を持てることで、企業としての方向性を1つに収束することもできる」と力説。上位マネジメント層、中間マネジメント層、現場層の各レベルで、プランニング→実行→モニタリング→分析というPDCAサイクルを回すとともに、各階層間でそうした情報を共有できる体制を作ることの重要性を説いた。

写真 各階層でPDCAを回し、その情報を職級間で共有する

 その具体的な方法を、続いて登壇した同社EDS事業統括 アプリケーションサービス統括本部 製造・流通サービス本部 コンサルタントの三保基陽氏が紹介。Microsoft Office Project Server 2007を使った、プロジェクト情報の可視化基盤作りの2つのパターンを解説した。

 1つ目はOffice Project Server 2007を使って、プログラムマネージャ、プロジェクトリーダ・チームリーダ、プロジェクトメンバーという中間マネジメント層以下でプロジェクト情報を管理・共有するパターン。上位マネジメント層にはPowerPointで作った報告書を提出する手間が残るが、WBS(Work Breakdown Structure)をはじめ、各種情報を一元管理できるほか、データの可視化、共有をリアルタイムで行うことができる。

 もう1つは、Office Project Server 2007に、MOSSとSQL ServerのBI機能を組み合わせる形。MOSSによってプログラムマネージャ、プロジェクトリーダ・チームリーダ、プロジェクトメンバーに加え、最上位のマネジメント層も含めたリアルタイムの情報共有が可能になる。

写真 Office Project Server 2007に、MOSSとSQL ServerのBI機能を組み合わせて、情報の流れを整備する

 特にマネジメント層については、プロジェクトの状況を把握したり、あらゆる情報を現場レベルまでドリルダウンして随時閲覧できる環境が整うという。アクセスユーザーの権限に合わせて閲覧可能な情報をフィルタリングできるほか、SQL ServerのBI機能を使って状況を分析したり、MOSSのExcel Serviceを利用してレポート出力することも可能だ。

 「1つ目の案はシンプルな半面、“マネジメント層向けの報告書作成”という手間が残る。その点、2つ目の案は情報を“入れる仕組み”“見せる仕組み”“貯める仕組み”を組み合わせることで、各階層でPDCAを回し、リアルタイムにその情報を共有する体制を整えられる。特にマネジメント層には、プロジェクト全体をきめ細かく管理・統括できるダッシュボードを提供できる点で、事業の方向性統一に大きく寄与するはずだ」(三保氏)

 また、MOSSはファイルサーバ統合、文書管理などを目的に、すでに多くの企業が導入している。吉見氏はこれを受けて、「MOSSはすでに多くの人が使い慣れているツール。これにOffice Project Server 2007を組み合わせることで、合理的なプロジェクトマネジメント体制を早急に整備することができる」と解説。販売パートナーとしての今後の展開について「単なる情報共有体制作りではなく、モチベーションを高め、利益に貢献する真の情報共有体制の構築を、マイクロトソフトと密に連携して強力に支援していきたい」とまとめた。

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