HP、効率的なIT投資で「逆境を競争優位に変えろ!」HP Software Universeでトム・ホーガン氏が基調講演

» 2008年12月10日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 ヒューレット・パッカード・カンパニーが12月8日から10日にかけて、オーストリア・ウィーンで開催しているイベント「HP Software Universe」で、同社シニアバイスプレジデントのトム・ホーガン氏が基調講演を行った。

 ホーガン氏は、厳しい経済情勢により、多くの企業がコストカットを余儀なくされている中、「現在のITインフラを見直し、開発・運用を効率化することで、革新的なITシステム開発への積極的な投資は可能となる。自ら工夫し、この逆境を競争優位に変えるべきだ」と指摘し、「Turn adversity into advantage!(逆境を競争優位に変えろ)」と、世界各国から集まったユーザー企業にエールを送った。

写真 ヒューレット・パッカード・カンパニー シニアバイスプレジデントのトム・ホーガン氏

 IDCの調べによると、経済危機に直面する以前まで、企業の平均的なIT投資予算は、全予算のうち6%前後だった。しかし経済危機に直面した今年から来年にかけて、IT投資予算は大きく落ち込むと見込まれており、2009年以降は徐々に回復していくものの、6%を上限に横ばい基調で推移するという。また、経済危機の以前と以降では、約40%のCIOがリーダーシップを発揮できない状況に陥っており、経済危機は「CIOに就いている人の立場そのものも危うくしている」(ホーガン氏)という。

写真 経済危機以降、IT投資予算は大きく落ち込んだ

 こうした中、ITの“運用管理”ではなく、「新しいITシステム開発への投資額は、全IT投資予算のうち何割か」といった設問に対する全企業の平均値は40%だったのに対し、実績の高い優良企業の平均値は実に65%であり、将来的には80%まで伸びる見込みだという。

写真 優良企業は、一般の企業に比べて、“攻め”につながる革新的なIT開発への投資比率が多い

 ホーガン氏は、「経済情勢が厳しい中では、IT部門も厳しくコストカットを求められる。しかし、優良企業のCIOは単純なコストカットではなく、よりコストを抑えながら、いかにビジネスに効果的なITインフラを整えるかを考え、新しいシステム開発に積極的に投資しているということだ」と解説。コストを節約しながらでも「革新性ある取り組みに進んで投資することは十分に可能だ」と力説した。

 また、「全売り上げ額に占めるIT投資の割合」という調査結果では、“革新性あるIT投資”を積極的に行っている優良企業の平均値よりも、全企業の平均値の方が、各業種とも総じて高い値となった。つまり、優良企業は、より少ない予算を効率的に使い、確実に利益につながる、より有効的な投資を行っている。

写真 テレコム、金融、製造業など、各業種において、革新的なIT開発にコストを投じている優良企業(緑色)の方が、全企業の平均値(灰色)よりも、売上全体におけるIT投資率は低い。すなわち、優良企業はそれだけ効率的・効果的な投資を行っている

 ホーガン氏は、「コスト削減が求められている中でも、工夫次第で革新性あるIT開発のための予算をしっかりと確保することができる。ITの開発・運用を効率化するHP BTO softwareは、そうしたCIOの取り組みを強力にサポートする。他社と差別化し、勝ち残るために、いまこそCIO本来の力が問われている」と改めて力説。「Turn adversity into advantage!(逆境を競争優位に変えろ)」と来場者に訴えた。

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