インメモリ製品「Oracle Coherence」、証券システムに採用東証の新システム稼働で要求レベルアップ

» 2008年12月12日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 日本オラクルは12月11日、同社のインメモリ・データグリッド製品「Oracle Coherence 3.4」がインタートレードが開発した証券会社向けトレーディングシステムに採用されたと発表した。東京証券取引所が2010年1月に次世代システムの稼働を目指していて、そのシステムに接続する証券会社のトレーディングシステムも高速化が求められていることが背景にある。

 Oracle Coherenceは複数サーバで仮想的な共有メモリ領域を実現することで、大量データの高速処理を可能にする製品。2007年3月に米オラクルが買収を発表した製品で、国内では2007年9月から日本オラクルが展開している。欧米でもOracle Coherenceの顧客の多くは高速なトランザクション処理が必要になる金融機関という。国内でOracle Coherenceの事例が発表されるのは初めて。

 Oracle Coherenceが採用されたインタートレードの証券会社向けトレーディングシステム「TIGER R6 Trading System -Trading Package-」は証券会社が東証などの取引所のシステムに接続し、顧客の株式や社債の売買に利用するシステム。出荷開始は2009年。オラクルによると大手証券会社のトレーディングシステムでは1日200万のトランザクションを処理していて、システムのパフォーマンスや信頼性の向上が常に求められている。

 さらに、東証が開発中の新システムが2010年に1月に登場することで、求められるパフォーマンスレベルはいっそう高まりそうだ。東証の発表によると新システムの「arrowhead」は注文応答時間が10ミリ秒以下と「世界最高水準の取引所システム」(東証)を目指す。注文、約定、注文板などの取引情報をメモリ上で三重化して保護するなど信頼性も大きく高めるという。

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