「アプリ側の変更は、なし」 オラクルがSOA基盤製品を強化Oracle AIAの新バージョン発表

» 2008年12月16日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 日本オラクルは12月16日、SOAに基づくアプリケーション統合基盤「Oracle Application Integration Architecture」(Oracle AIA)の拡充を発表した。同社がOracle AIAの国内提供を始めて1年5カ月。担当者は「製造や流通を中心にいくつかのプロジェクトが進行している。レガシーシステムの刷新が目的の場合が多い」と話す。

 Oracle AIAは業務プロセスのモデルと検証済みのアプリケーション連携技術、業務に使えるサービス群から大きく構成する。実体としては各種ビジネスプロセスをモデル化した文書と、データモデルやサービスを定義したXMLファイル、方法論などを含む。SOAでシステムを連携させようとする企業は、サービス粒度の決定、共通データモデルの設計などに失敗してSOAを断念するケースが多いといい、オラクルはOracle AIAでSOAのフレームワークやノウハウを提供し、企業を支援する。

「Oracle AIA」の全体像

 今回発表したのはOracle AIAの「Foundation Pack Release 2.2.1」と新しい「プロセス統合パック」。9月末に米国サンフランシスコで開催した「Oracle OpenWorld San Francisco 2008」で発表した内容の日本側でのサポートとの位置付けだ。

 Foundation Packは「Oracle Fusion Middleware」を使ってオラクル以外のアプリケーションや手組みのアプリケーション、メインフレームで動くアプリケーションを柔軟にシステム連携させるための製品。「部品表」「見積り依頼」などの業務プロセス別のオブジェクトと、連携のための方法論、開発者ガイドで構成する。

 Foundation Packを使うことで、「相手側のアプリケーションは基本的に変更せずに連携できる」と日本オラクルのシステム事業統括本部 Fusion Middleware ビジネス推進本部 シニアマネジャー 中村秀樹氏は話す。連携させるアプリケーションのデータフォーマットが別々でもOracle Fusion Middlewareが間に入ることで、データフォーマットを標準化し、連携ができるようになるという。

日本オラクルのシステム事業統括本部 Fusion Middleware ビジネス推進本部 シニアマネジャー 中村秀樹氏

 Release 2.2.1では新たに「会計期間」「仕様」など12の共通オブジェクトを追加した。また、保険や公益向けに業界特化型のFoundation Packを初めて提供する。保険、公益の主要プロセスの構築をサポートするFoundation Packで、オラクルは今後も通信など業界特化型のFoundation Packを追加するという。Foundation Packの価格は、保険向け、公益向けとも2430万円から。Release 2.2.1ではさらにWebアプリケーションサーバ「Oracle WebLogic Server」にも対応した。

 もう1つの発表はオラクルのアプリケーション製品同士をSOAによって連携させるプロセス統合パックの新製品。追加したのはPLM製品の「Agile PLM」とERPの「Oracle E-Business Suite」(Oracle EBS)を接続するプロセス統合パックと、SaaS型CRM「Oracle CRM On Demand」とOracle EBSを連携させるプロセス統合パック。プロセス統合パックは計14種を提供している。

 中村氏は「オラクルは買収によっていろいろなアプリケーションを持ち、毛色の違うアプリケーションを統合する上でどういうノウハウが必要かが分かってきた。オラクル自身がSOAを実践している」と話し、自社で蓄積した技術やノウハウを基にプロセス統合パックを開発していく方針を説明した。

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