フラット化するIT予算米ガートナーがCIOに調査

» 2009年01月15日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 米ガートナーが1月14日(米国時間)に発表したCIO対象の調査結果で、2009年の企業のIT予算がほぼフラットであることが分かった。3分の1の企業はIT予算を前年から変えないとしているという。

 調査は世界48カ国の企業に対して2008年9月15日から12月15日にかけて実施。1527人のCIOが答えた。CIOが考える2009年のIT予算は2008年と比べて平均0.16%の増加。ガートナーによると、46%のCIOは若干増加させると答えていて、減少させるとの回答は21%だった。世界的な不況が伝えられる中でも、IT予算は極端な落ち込みにはならないようだ。だが、ガートナーが2008年10月29日に発表した調査結果ではIT予算の成長率を2.3%としていて、時間が経つほどに投資マインドの冷え込みが広がっているとも言える。

 IT予算の増減は地域によって異なる。IT予算を2008年と比べて変えないとしているのは北米と欧州の企業が中心、南米企業は若干増やすとしていて、アジア太平洋地域の企業は若干減少させると回答している。

 また、IT投資の動向も変化するようだ。CIOが優先するビジネス上の課題では、2位に「企業コストの低減」が入っている。トップは「ビジネスプロセスの強化」だった。ガートナーは「ビジネスプロセスやワークフォースの変更による単なるコスト削減ではなく、企業全般のコスト低減の役割がITに期待されている」と指摘する。

 この動向を反映するように優先する技術のトップには「ビジネスインテリジェンス」(BI)がランクイン。2位にはERPやCRMなどの「業務アプリケーション」が入った。ガートナーは「CIOは、BIや情報統合のアプリケーションに投資することで、業務の可視性と透明度を向上させることを期待している。特にセールスと業務のパフォーマンスが注目されている」と指摘する。「IT投資の焦点は新技術の育成から、これまでの投資の刈り取りにシフトしている」(同社)といい、企業は確実にリターンが得られる技術への投資を優先しているようだ。

 業務アプリケーションが2位に付けていることについては「業務の中でERPがコアの位置を占めていることを反映する」と説明。2009年は「ERPインスタンス、ライセンスを抑制するシンプルな方法の実行も計画されている」として、優先するテクノロジの4位にレガシーアプリケーションのモダナイゼーション(近代化)が入っていることを指摘している。

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