ジュニパー、11ラックで最大25Tbpsを実現したコアルータシステムコアネットワークの仮想化にも貢献

» 2009年02月03日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 ジュニパーネットワークスは2月3日、複数のコアルータを接続するコアルーティングシステム「TX Matrix Plus」を2009年第3四半期に出荷開始すると発表した。最大16台のルータを接続することで、最大25Tbpsのスループットを実現するという。

佐宗氏写真 ジュニパーネットワークス サービスプロバイダ マーケティングマネージャ 佐宗大介氏

 今回発表された「TX Matrix Plus」は、同社のコアルーティングプラットフォームTシリーズの最上位システム。1台で1.6Tbpsの処理性能を備えるコアルータの最上位モデル「T1600」(2007年6月発表)を最大16台接続できるようになるため、最大処理能力は25.6Tbpsにおよぶ。

 この点について、同社 サービスプロバイダ マーケティングマネージャ 佐宗大介氏は、「ネットワークトラフィックはいまだに増加し続けている。特に近年はYouTubeなど動画コンテンツの普及で加速度的に増加している。一方で、企業は電話やビデオ会議などもネットワークに依存するようになり、『より高い品質のVPN』や『より高度なセキュリティ機能』などを求めるようになった。このトラフィックと品質を両立するためには、TX Matrix Plusのような製品が必要になってくる」と、膨大なトラフィックを処理できる需要が拡大していることを説明した。

 TX Matrix Plusの特徴は、「省電力」「省スペース」「オペレーションの継続性」の3点。省電力においては、競合製品と比較して約半分の171kwに抑えたという。省スペースでは、T1600がハーフラックなので16台で8ラック、TX Matrix Plusが3ラックで計11ラックで25Tbpsの処理能力を実現。これは競合製品の25ラックに比べて約60%のスペース削減が実現できるとした。

 オペレーションの継続性では、2002年に発売されたT1600の前モデルである「T640」も、電源モジュールやスイッチ部分を交換するだけでT1600へアップグレーでできることから、「7年前のモデルでも部品を入れ替えるだけで、シャーシ交換せずに利用できる点は大きい。OSもJUNOSで統一されているので、変更の必要はない。このように投資対効果の面も考慮し、経営陣に訴求できる製品になっている」(佐宗氏)と説明した。

 また、TX Matrix Plusでは、2008年にリリースした独立型の制御システム「JCS 1200」と連携することで、コアネットワークを仮想化して柔軟性や拡張性を出すことが可能だという。TX Matrix PlusとJCS 1200を組み合わせることで、複数のルータを仮想的に統合して“仮想的に大きな1つのルータ”として利用することや、“ルータを複数の仮想的なルータ”に分けて利用することも可能となる。

 例えば、TX Matrix Plusを使って25Tbps規模のルータを構築し、それを「セキュアネットワーク1」「セキュアネットワーク2」「VPNネットワーク」「モバイル用ネットワーク」といったように、複数の仮想ネットワークに分けて利用すことが可能だ。このとき、「ピーク時だけ、余っている余剰スロットを共有する」といった使い方もできるため、資産の有効活用も可能だ。

 佐宗氏は、このメリットについて「インフラを統合することで、CAPEX(キャペックス:設備投資のための支出額)やOPEX(オペックス:設備運営費)を削減できる。また、複数のルータを1つにまとめることができるので、物理的な障害の発生確率が低くなる。そして、何より仮想化によって運用の新しいサービスの開始などが容易になる。新しいビジネス創出が簡単になり、チャンスが増えることが大きい」とコメントした。

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