台風の現在地に合わせて保険料を算定できるDWH地理空間データ処理を可能にする拡張ソフトをリリース

» 2009年02月04日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 日本ネティーザは2月4日、同社のデータウェアハウス(DWH)アプライアンス「Netezza Performance Server」(以下、NPS)向けに地理空間情報・データ処理を可能とする機能拡張ソフトウェア「Netezza Spatial」を発表した。4月末ころから出荷開始予定。

シェパード氏写真 米ネティーザ Netezza Spatial担当ジェネラルマネージャ ジョン・シェパード氏

 Netezza Spatialは、DWHアプライアンスであるNPSに、地理データや位置データの処理をできるような機能を追加するソフトウェア。このソフトを導入することで、地理情報システム(GIS)の標準規格である「OpenGIS」に対応したデータの型や、空間情報を処理するSQL関数がNPSに実装される。

 米ネティーザ Netezza Spatial担当ジェネラルマネージャ ジョン・シェパード(Jon Shepherd)氏は、「いわゆる“ビジネスデータ”の80%に地理情報が含まれているといわれている。例えば、顧客の住所や地域ごとの売り上げデータ、交通アクセスや駐車場情報など、企業活動にとって地理データは非常に重要だ。特に昨今のようにデータが急増している状況では、地理データも急増している。一方で、地理データを処理し、有効活用するロケーション・インテリジェンスには多くの処理能力を有することから、性能の高いDWHでないと、パフォーマンスが下がって実用に耐えられない実情がある」と説明した。このことから、DWHを導入している既存企業ではロケーション・インテリジェンスを行うために、入念なチューニングや管理を必要としており、コスト増につながっていたという。

 ロケーション・インテリジェンスが利用されている実例を挙げると、ある保険会社は世界中の災害情報を5分おきに収集し、ほぼリアルタイムに保険料を算定しているという。例えば、沖縄で台風が発生しているとすると、その台風が通過している間はリスクが高まるために保険料も上がるといった具合だ。また、小売業の場合、新規店舗を出店する際に地理データを利用するという。まず、出店地域の人口や競合店の密度、通行者の数などを分析して判断するが、そのデータ量が多いため「従来3日間かけて1クエリを処理していたものが、Netezza Spatialに変更したら1時間でできたケースもある」(シェパード氏)という。

 NPSの最大のウリは、高速なパフォーマンスだ。同社では、単にアプライアンス化するだけでなく、CPUとハードディスクの間にFPGAを入れ、SQL文の処理に必要なデータだけをCPUに渡すアーキテクチャを採用することで、高速処理を実現している点が特徴だ。「超並列でFPGAを通した処理をするため、処理速度は競合他社の数十倍だ。まだ、新しい技術なので改良の余地もたくさんある。実際、当社製品自体も5年間で30倍の高速化を実現してきた」(シェパード氏)とコメントしている。

 日本ネティーザ 代表取締役社長 ダグラス・エッツェル(Douglas Etzel)氏によると、「米国では、DWH導入時に実機を持ってきて実データを流し込んで検証するのが当たり前になってきている。日本でも徐々にその傾向が出てきた。ただし、かなりの工数を掛けてチューニングした状態での検証と、それほど手を掛けないで行った検証では、結果的に数字が同じであっても、その後のメンテナンスコストが変わってくる。実機検証では、結果の数字だけでなく、その結果に至ったプロセスも見る必要がある」とコメントし、今後日本でもDWH導入時には実機検証が当たり前になっていくだろうと予測した。

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