日立の新ブレードサーバ、インテル新CPUで仮想化性能を向上7年のハードウェア保証をオプション提供開始

» 2009年03月10日 00時00分 公開
[三木泉,@IT]

 日立製作所は3月10日、インテルの新しいNehalemベースのサーバプロセッサをいち早く採用したブレードサーバの新製品を発表した。インテルの新サーバプロセッサはまだ同社から正式発表されていない。同プロセッサを採用したサーバ製品も現時点では国内外を通じてまったく発表されておらず、日立が一番乗りとなった。

BladeSymphony BS2000

 新製品は、これまでのハイエンド製品を強化した最上位機種の「BladeSymphony BS2000」シャーシおよびBS2000向けのNehalemベースのサーバブレード。また、発売済みの100V電源駆動可能なブレードサーバ「BladeSymphony BS320」向けにも、Nehalemベースのサーバブレードおよび拡張ブレードを追加する。「BS2000」シャーシおよびNehalemベースのサーバブレードは4月1日に出荷開始するという。

 BS2000はBS1000とほとんど同じ10Uのシャーシサイズで、サーバブレードの最大搭載可能数もBS1000と同一の8ブレード。しかし、BS1000に比べ、仮想サーバ集約率を大きく向上しているのが最大の特徴だ。

 日立は「従来比約2倍の仮想サーバ集約率」と発表している。もちろん、物理サーバブレードおよびシャーシ当たり何個の仮想マシンを稼働できるかは、アプリケーションによって大きく異なるため、一概にいえない。また、新サーバブレードの仕様を見ると、「次世代インテルXeonプロセッサー(Nehalem)最大2(最大8コア)」となっていることからしても、ブレード当たりのコア数の単純比較では、BS1000のx86サーバブレードと同じということになる。

日立 エンタープライズサーバ事業部 事業部長の山本章雄氏

 日立製作所 情報・通信グループ エンタープライズサーバ事業部 事業部長の山本章雄氏は、BS2000における最大メモリ搭載量をサーバブレード当たり144GB(従来の4倍)に向上するとともに、サーバブレード当たり最大18のギガビットイーサネット・ポートを搭載可能とすることで、軽いアプリケーションよりも、データベースなどメモリ負荷、I/O負荷の高いアプリケーションをより多く集約することに力を入れたと説明する。

 また、日立の独自開発によるサーバ仮想化技術「Virtage(バタージュ)」も機能強化した。インテルのNehalemベースの新サーバプロセッサはメモリ割り当ての高速化を実現する「Intel VT-x2」を搭載する。VirtageはVT-x2を世界で初めてサポートする仮想化技術になり、これによるパフォーマンス改善が見込めるという。

 また、Virtageはインテルがサーバ仮想化を高速化するために提供するI/Oのハードウェアアシスト機能「VT-d」にも対応する。従来Virtageでは、VT-dが未成熟であったことから、自社開発の「I/Oアシスト機構」で仮想化I/Oの高速化を図っていた。今後はインテルのVT-dと、日立の独自機構をケース・バイ・ケースで使えることになる。

 なお、10Uのシャーシで最大8ブレードは多いとはいえない。これについて山本氏は、高負荷アプリケーションにはブレード数にも増してメモリやI/O帯域が重要とする一方、より拡張性の得られる技術を今後提供する計画だと話した。

 BS2000とBS320に共通の新たな取り組みとしては、長期保証サービスの提供開始も注目される。日立は今回、オプションで7年間のハードウェア保証と、対応する保守サポートサービスを提供開始する。7年のハードウェア保証は、Xeonプロセッサ搭載製品で業界初だという。

 省電力関連では92%という最高レベルの電力利用効率の電源装置をBS2000に搭載。また、BS2000とBS320共通に、管理ツールで消費電力量を可視化するとともに、電力消費レベルに応じてサーバの動作クロック周波数を落とすなどの自動調整が行える機能を搭載した。

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