企業内の重複データをなくすだけでデータ量が10分の1程度にシマンテック、22のITコスト削減方法を提案

» 2009年03月23日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 シマンテックは3月23日、報道関係者向けの説明会を開催し、「企業のITコスト削減方法に関する提案」を発表した。説明を行ったのは、シマンテック 執行役員 マーケティング担当 石崎健一郎氏。

石崎氏写真 シマンテック 執行役員 マーケティング担当 石崎健一郎氏

 石崎氏は冒頭、昨今の不況下における国内IT市場の調査結果を例示した。例えば、IDCジャパンが2008年12月が発表した予測によると、2009年のIT市場の成長率はマイナス1.7%。内訳を見ると、ハードウェアがマイナス8.1%で足を引っ張るが、パッケージソフトウェアは5.2%、ITサービスは1.7%と、ソフトウェアとサービスはプラスだった。この点について、石崎氏は「ハードウェアはPC/サーバでの落ち込みが顕著。ソフトウェアではストレージやセキュリティなどの基盤系ソフトウェアは伸びるものの、ERPなどのアプリケーションは伸びていない。ITサービスでは新規開発は厳しいが、運用のアウトソースは伸びる傾向にある」と分析した。

 続いて、同氏はストレージとセキュリティ分野の市場予測を紹介。IDCの調査結果によると、2009年のストレージ市場は前年比1.2%のマイナス。こちらもハードウェアがマイナス4.7%で足を引っ張った形だ。ストレージサービスは2.7%増、ストレージソフトウェアは0.9%増だった。ストレージの課題には、「バックアップの効率化」「災害対策」「データ量増大への対応」が上位に上がった。セキュリティ市場予測は、2009年が前年比5.8%増の2035億円、2010年が同5.4%増の2146億円となり、「ストレージもセキュリティもハードウェアがマイナスとなったが、ソフトウェアとサービスはプラス成長の見込みだ。やはり、日本版SOX法や個人情報保護法などの観点から、セキュリティは不況下でも投資しなければならないからだろう」(石崎氏)とコメントした。

 また、シマンテック自身が行った調査結果も例示。同社の調査結果によると、データ量は依然として前年比50%で増量し続けるという。その背景には、ファイルを転送したり、複数部署で同じファイルを別々に保管したりすることで大量の同じファイルが存在している問題があるという。ソリューション&プロダクトマーケティング部 朝倉英夫氏は、「ひどいケースでは同一ファイルが50〜500個も存在するケースもある。このように、不況下であってもデータは増え続ける。ExcelやWordなどの非構造データが増えている一因だ。データの重複をなくすだけで、データ量が10分の1になると思われる」と説明した。

 リスク面でも問題があるという。同じ調査結果によると、企業が受信しているメールにおけるスパム比率は80%に達し、米国企業の87%が毎年3〜15回以上の監査不合格を経験しているとした。また、79%の企業が電子メールを発注や取り引きの確認書・証拠として認めているほか、企業の知的財産の75%が電子メールに依存しているという。その一方で、87%の企業が毎年複数回の情報漏えいや盗難を経験しているとした。

 このような調査結果や予測を受けて、シマンテックでは「ITコスト削減のための22の提案」を発表。バックアップやストレージを圧縮するために、重複排除技術を導入したところ、ストレージ容量を最大で90〜98%削減できたという。また、バックアップ環境が分散化しているという問題に対しては、仮想化技術や一元管理ソフトウェアの導入によって、こちらも最大で90%のTCO削減を実現したという。

 そのほか、「クラスタ構成を従来の2ノード方式から、N+1方式へ変更」や、「スパム対策としてスパム対策ソフトウェアの導入」「アプリケーション管理コストを削減するためにソフトウェアの仮想化を導入」など、22種類の案を公開した。

 石崎氏は「企業のIT投資への意欲は厳しいが、減少するのはハードウェア部分だ。ソフトウェアやサービスは引き続き増えると予測されている。当社は、この部分のコストを改善する提案をしていくことで、差別化を図っていきたい」とコメントした。

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