SAS、分析を“企業力”につなげるべし!分析・予測モデルの管理ソフトウェア発売

» 2009年06月24日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 SAS Institute Japanは6月24日、分析・予測モデルの管理ソフトウェア「SAS Model Manager」を販売開始したと発表した。同社 執行役員 ビジネス開発本部長 兼 プロフェッショナルサービス本部長 宮田靖氏は、「企業内にはさまざまなデータが眠っている。これはまさに“宝の山”だ。しかし、企業はそのデータを有効活用できていない。企業内に眠っているデータを分析者などの個人が溜め込んでいたが、今回のソフトウェアはこれを企業全体の知識に広げていける製品だ」とアピールした。

宮田氏写真 SAS 執行役員 ビジネス開発本部長 兼 プロフェッショナルサービス本部長 宮田靖氏

 SAS Model Managerは、同社のデータマイニングツール「SAS Enterprise Miner」などで作成したモデルを登録し、チャートを使った比較ができるモデル管理ツール。具体的には、異なるツールの分析モデルを登録できるほか、モデルが利用するデータソースを一元管理できる。また、モデルの精度を時系列でモニタリングすることも可能だ。

 最大の特徴は、モデルの配置や置き換えがGUIベースでできる点。このソフトウェアが登場する前は、多くのユーザーが自社でコーディングしてモデルの配置などを行っていたという。「そのため、敷居が高く、分析官などごく一部のユーザーしか利用できていなかった。その点、GUIベースでモデル管理できるSAS Model Managerを導入することによって、敷居が下がりより多くの人間が管理できるようになる」(宮田氏)。

 分析・予測モデルは、金融業における与信管理や流通業・通信業における大規模コンシューママーケティングなどにおいて、定量的な予測を伴う業務で利用されている。このような業務では、収益性に直結する貸し倒れ率やマーケティング投資回収率に影響するため、モデルには高い精度が求められる。従って、モデルの定期的な検証と修正が必須だが、前述のように敷居が高いために、多くの企業ではなかなか検証や修正ができていなかったという。

 宮田氏は、「企業が競合他社に勝つためには分析力が必要だ。そして、分析・予測モデルを作成し、事実に基づく意思決定・行動に結び付けることが最も重要となる。しかし、従来はこの分析の敷居が高く分析官・個人に依存していたので、組織全体でできるツールを作成した。従来のBIツールは見える化までしかできていないが、これからは“予見力”を持ったツールが必要とされる」と説明した。

 SASが提案する予測型モデリングとは、蓄積された過去データを分析し仮説を見つける手法。仮説を見つけるまで分析を繰り返すのが特徴だ。従来の統計分析では、まず仮説を立案し、その仮説に基づいてデータの絞り込みや収集を行ったうえで分析を行っていた。例えば予測型モデリングを用いると、「港区在住で40型以上の薄型テレビと大型冷蔵庫を買う30代の男性」のデータを分析することで、「高級電子レンジを買う確率が高い」という仮説を、半自動で見つけることができるという。

 価格は1000万円から。「すでに数社から引き合いがある。年内に10社への導入を目指す」(宮田氏)と抱負を語った。

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