ラリー・エリソンの夢も現実に

「心のバリアがR2で解ける」Oracle 11g R2を日本でも発表

2009/09/14

 日本オラクル9月14日、同社のデータベース最新版「Oracle Database 11g Release 2」(以下、11gR2)を発表した。製品出荷は11月17日を予定している。

日本オラクル 代表執行役社長 最高経営責任者 遠藤隆雄氏 日本オラクル 代表執行役社長 最高経営責任者 遠藤隆雄氏

 日本オラクル代表執行役社長 最高経営責任者の遠藤隆雄氏は、「11gのファーストリリースもそうだったが、11gR2こそが“本命”だ」と述べる。特に日本においてはITシステムに対する品質のこだわりが強く、高い信頼性が要求されるため、品質いかんを問わず最初のリリースは飛ばされることが多かったという。

 これについてはNTTコムウェアや三菱東京UFJ銀行を含む4社がベータプログラムに参加しており、その結果をフィードバックすることで、信頼性の面では自信を持ってリリースできるという。日本オラクル 常務執行役員 システム事業統括本部長の三澤智光氏は「多くの顧客が『リリース飛ばし』をしているが、2番目のリリースにより心理的なバリアが解けることを期待する」と述べた。

11gR2、5つのポイント

 続いて三澤氏は、11gR2が持つ5つのポイントを解説した。本記事ではそのポイントを簡単に紹介する。

11gR2新機能 5つのポイント 11gR2新機能 5つのポイント

RACの考え方をさらに拡張「Oracle Grid Infrastructure」

 1つ目のポイントは、ソフトウェア層とハードウェア層の分離をさらに進め、物理サーバの再配置を可能にした「Oracle Grid Infrastructure」だ。従来Real Application Cluster(以下、RAC)を用いてシステムを組む場合、物理サーバ群ごとにサービスを割り当てていた。複数のRACシステムを持っていた場合、ソフトウェアは物理サーバを特定して稼働しているため、台数が増えると管理が複雑になっていた。

 Oracle Grid InfrastructureではRACの「壁」を取り払い、1つの大きなグリッドの上に複数のシステムを配置できる。このため、特定のシステムの負荷が高くなった場合に、他のシステムが持っているリソースの動的再配置がOracle上で可能となる。

Oracle Grid Infrastructure Oracle Grid Infrastructureの概要。システムの間にあった「壁」が無くなる。

シングルインスタンスでもRACの機能を

 2つ目のポイントは、小規模データベースもRACの恩恵が受けられる「RAC One Node」だ。これは新たなオプションとして提供されるもので、複数の物理サーバ上にOracle Grid Infrastructureを実行し、その上に複数のシングルインスタンスDBを起動できる。従来であれば、複数の物理サーバ上にサーバ仮想化ソフトを起動し実現していたものを、データベースエンジン上で実行する形態となる。

 RAC One Nodeでは、VMwareにおける「VMotion」のようなライブマイグレーション機能「OMotion」が実装されており、オンラインでのトランザクションを保証しつつ、物理サーバを切り替えて実行ができるという。データベース障害を検知してのフェイルオーバーなどはサーバ仮想化ソフトでは検知できないとし、RAC One Nodeの優位性を強調した。

OMotion RAC One Nodeの機能の1つ「OMotion」。実行中のトランザクションはそのまま別サーバで動作する。

10gから追加されていたストレージ管理機能を強化

 3つ目のポイントは、Automatic Storage Management(以下、ASM)の機能強化だ。ASMは、ストレージ管理者のスキルにより左右されてしまいがちなストレージ物理設計をRDBMSが自動管理するものだが、従来はファイルシステム領域で管理されていたソフトウェアバイナリやログ、トレースファイルなどもASMが管理する「ASM Cluster File System」(ACFS)がサポートされた。

ASM ASMに追加された「ASM Cluster File System」では、ログ、トレースファイルなどもASMで管理できる

パラレル処理を自動的に最適化

 4つ目のポイントは、インメモリによるパラレル処理の高速化を自動的に行う「In-Memory Parallel Query」だ。マルチコア、大容量メモリが当たり前になった時代に、従来のアプリケーションをそのままに、リソースを最大限に活用するための仕組みだ。

 従来のパラレル処理はメモリリソースを大量に消費することから、パラレル処理自体を制限したり、メモリキャッシュがあふれる可能性を考え直接ディスクアクセスをさせるなどの制御が行われていた。現在ではマルチコア/大容量メモリが利用できるため、11gR2ではこれを積極的に活用するような動作を行う。データベース圧縮機能を活用することにより、実メモリの約4倍のデータをキャッシュすることもできるという。

In-Memory Parallel Query 「In-Memory Parallel Query」では、実メモリ空間100Gをデータベース圧縮で4倍にし、上図のような3台構成であれば計1.2テラバイトの実データをキャッシュできる

ラリーの夢、EBSの無停止パッチ適用を実現

 5つ目のポイントはシステムを止めずにアプリケーションの更新やパッチの適用を行う「Online Application Upgrade」だ。三澤氏が「これはオラクルの夢だった」と語るこの機能は、ラリー・エリソン氏が数年前から指示してきた機能だという。データベース内に「エディション」と呼ばれる仮想的なDB領域を作ることにより、実データを残したまま環境を複製し、その上でテストが行えるという。これはデータベースの機能として提供されるもので、同社のパッケージソフトであるE-Business Suiteだけでなく、すべてのアプリケーションで利用可能である。

 三澤氏はこれを「マイグレーションのデザインを変える機能」とし、移行のコストを抑えることができると述べた。

Online Application Upgrade 「Online Application Upgrade」は本番環境に「エディション」を作成することで、無停止のシステム更新が可能。

オラクルは「既存資産を守りつつ新技術を融合」する

 オラクルは11gR2を「クラウド時代に向けたデータセンター全体のリソース最適化」を実現するための製品と説明、既存の資産をそのまま継承しつつ、新たなテクノロジーを投入できることが特長だと述べた。

 価格はEnterprise Editionが1Named Userで10万8465円、1プロセッサで542万1150円。Standard Editionは1Named Userが3万9900円、1プロセッサで199万7310円。Standard Edition Oneは1Named Userが2万580円、1プロセッサで66万1920円。オプションとして提供するRAC One Nodeのライセンス価格体系は現時点では未定。国内では11月17日にLinux 32ビット/64ビット版を出荷開始し、そのほかのプラットフォームについては順次出荷する。

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(@IT 宮田 健)

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