テラデータ、Amazon EC2を活用したパブリッククラウドDWHフルSSD構成の高速DWHも近日発売

» 2010年03月05日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 日本テラデータは3月5日、報道関係者向けの記者会見を実施。米テラデータ CEO マイク・コーラー(Michael F. Koehler)氏や日本テラデータ 代表取締役社長 吉川幸彦氏が、新製品や2010年度戦略について説明した。

 米テラデータの2009年売上高は17億900万ドルで、前年比3%減だった。この点についてコーラー氏は「リーマンショックの影響で非常に苦しい情勢だったが、コンサルティングや営業力を強化した結果、何とか微減で持ちこたえた」と評価した。

 売り上げの内訳は、金融が1番多く28%、通信23%、小売17%、製造10%、ヘルスケア8%と続いた。中でもヘルスケアは前年比で売上高が2倍で急増しているほか、公共も5%から7%に拡大しているという。

フルSSD構成の高速DWHを近日発売

コーラー氏写真 米テラデータ CEO マイク・コーラー氏

 2010年の新製品戦略では、大規模エンタープライズデータウェアハウス用途として「Teradata Active Enterprise Data Warehouse 5600」(Teradata 5600)を発売。最小構成のユーザー領域3テラバイトの場合で1億2460万円から。

 Teradata 5600は、企業内のあらゆるデータを統合し、社長から現場社員が1つのデータマートを活用できる「EDW(エンタープライズデータウェアハウス)」を実現するための同社最上位モデル。従来モデルと比較して最大65%のパフォーマンスを改善したほか、最大14ペタバイトの拡張性を持ち、リアルタイム更新やアクティブワークロードなどを可能とする。

 一方でエントリ向け用途も用意。「Teradata Data Warehouse Appliance 2580」を発表した。DWHを初めて導入するユーザーや特定の分析アプリケーション利用に向いたモデル。前モデルと比較して2倍のパフォーマンスを実現したほか、最大517テラバイトの拡張性を持つ。最小構成の2テラバイトの場合で5640万円から。

 通信事業者など、超大容量データを蓄積する必要のあるユーザー向けには「Teradata Extreme Data Appliance 1600」(Teradata 1600)を発表した。Teradata 1600は、携帯電話の通話情報や通販サイトのクリック情報、地図情報など、莫大なデータ量の分析が必要なユーザー向けに、大容量データの分析に特化したモデル。従来モデルと比較して、パフォーマンスは4倍にもかかわらず、設置面積は半分にしたという。ユーザー領域は、29テラバイトから最大50ペタバイトまで対応する。最小構成の29テラバイトの場合で6390万円から。

 そして、超高速処理を必要とするユーザー向けに、ディスクを100%SSD化した「Teradata Solid State Extreme Performance Appliance 4600」(Teradata 4600)を2010年前半に発売すると発表した。Teradata 4600は、ディスクをすべてSSD化することで1時間当たり7テラバイト以上の処理能力を有するモデル。従来のハードディスクを搭載したモデルと比較して、数倍〜数十倍の処理能力を発揮するとした。

 コーラー氏は、「当社では従来よりリアルタイムDWHを目指してきたが、SSD化により処理が高速化され、よりリアルタイムに近いものになるはずだ。DWH業界にとって最も大きな変化ともいえる」

Amazon EC2を活用したパブリッククラウドDWH

 続いて、吉川氏が日本の現状を説明。日本の2009年は「厳しい状況下だったが、比較的堅調に推移」(同氏)。従来製品に加え、Data Mart Edition、流通業向け分析テンプレートである「Retail Template」をリリースした。

 既存ユーザーでは、みずほ銀行やAFLAC、近鉄百貨店、楽天が利用を拡大したほか、新規ユーザーとして千葉銀行、北陸銀行、ダイエーなどに導入したという。

 今後推進していく分野ではクラウドを第一に挙げ、分析クラウド「Teradata Enterprise Analytics Cloud」(EAC)を発表した。EACは、テラデータが提供するクラウドサービスの総称で、その第1弾としてプライベートクラウドサービス「Teradata Express for VMware Player」と、パブリッククラウドサービス「Teradata Express for Amazon EC2」を、まずは評価・開発用として提供開始した。

 パブリック、プライベートの両方の環境において、必要な時に必要な分だけ開発やテスト環境が構築可能となる。

 Teradata Express for VMware Playerは、VMwareの仮想化製品で構築されたプライベートクラウド環境用のTeradataデータベース。同社の開発者向けWebサイト「Teradata Developer Exchange」から無償でダウンロード可能で、64ビット対応のx86互換CPUを搭載したサーバがあれば、Teradataデータベース環境を短時間で構築できる。

 Teradata Express for Amazon EC2は、Amazon EC2上で利用できるように、あらかじめパッケージ化したTeradataデータベース。同社の無料データベース「Teradata Express」を活用して構築されており、世界中のどこからでも開発・テストが始められる点が特徴だ。Teradata Express for VMware Playerと同様に「Teradata Developer Exchange」で申し込むことで利用可能となる。

 日本では、これらのクラウドサービスを展開するほか、パートナー協業も強化。2年前に発表したSASとの協業をさらに推進していくほか、SAPとの製品連携も進めていく。2010年戦略については「当社が従来より進めているEDW/EAIをさらに推し進める。さらにクラウドサービスの提供や、新製品を投入し、従来から当社が得意とする金融・流通・製造・通信に加え、新たに運輸業界の支援にも乗り出す」(吉川氏)と語り、意気込みを示した。

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