仮想化のメリットを引き出す運用管理の3要件日本HP、4つの仮想環境運用管理製品を発表

» 2010年03月24日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)は3月24日、仮想環境の運用管理を効率化する4製品を発表した。物理、仮想の混在したシステム環境の可視化や一元管理を実現するほか、オペレーションの自動化機能により情報システム部門の業務効率化、コスト削減にも寄与するという。4月1日から発売する。

VMwareとHyper-V、両方のシステム環境に対応

 仮想化技術の浸透が進む一方で、物理/仮想の混在したシステム環境の運用管理を課題と認識する企業が増えている。特に、多くの企業がマルチベンダ環境にあるうえ、物理、仮想環境が混在することでいっそう複雑性が増している。一方で、サーバ専門、ネットワーク専門など、運用管理体制や作業分担がサイロ化している傾向が強いこともあり、仮想化技術の導入による“システムの集約、一元管理による運用効率化”を目指していながら、かえって管理が煩雑になっている例が少なくない。

 同社はそうした状況にフォーカスし、運用管理上の課題を解決するさまざまな機能を今回の4製品に装備したという。1つ目は、物理・仮想の混在したシステム環境を可視化する「Smart Plug-Ins for Virtualization Infrastructure」(以下、SPI)だ。

 同社では、物理サーバ、OS、アプリケーションを監視し、サーバの死活状況やCPU使用率、ディスク使用量などの稼働状況を把握することで、システム全体の可用性、パフォーマンスを監視するエージェント常駐型のシステム監視ツール「HP Operations Manager software」を提供している。SPIはそのプラグイン製品であり、HP Operations Manager softwareのエージェントにSPIをアドオンすることで、仮想環境の監視にも対応する。

写真 日本HP マーケティング部 マーケティングプログラムマネージャー 星野敏彦氏

 従来はVMwareにのみ対応していたが、今回からVMware vSphere 4.0/ESXとマイクロソフトのHyper-Vの両方に対応。物理・仮想の混在環境により幅広く対応できるようになった。なお、HP Operations Manager softwareはシステム全体の監視機能に加え、構成情報を検出してシステム構成をマップ表示する機能も持つ。これにより、仮想マシンの移動を行っても、システム構成を常に正確に把握できる点もポイントだ。

 2つ目は運用オペレーション自動化ツール「HP Operations Orchestration software 7.60」で、あらかじめ作業手順を設定しておくことで、運用管理上の定型的な作業を自動化できるランブック・オートメーション機能を最大の特徴としている。これにより、例えば仮想サーバのプロビジョニングなど「定型作業を大幅に効率化できるほか、人手を介さない分、人的エラーの防止に役立つ。また、自動的に行った操作履歴が残るためコンプライアンスにも寄与する」(日本HP マーケティング部 マーケティングプログラムマネージャー 星野敏彦氏)という。

 また、同社では構成管理データベース「HP universal CMDB software」も提供しているが、そちらと連携することで仮想サーバの配備や移動を行った際、自動的に構成情報を更新することも可能だ。

仮想環境の運用管理を効率化するコツ

 3つ目はデータ保護・バックアップ管理製品「HP Data Protector software 6.11」。これまでもVMware vSphere 4.0/ESXに対応し、物理環境と同じ管理画面でイメージバックアップ、ファイルバックアップを実行できたが、今回からHyper-Vを使った環境におけるVSS(Virtual Switching System)機能を使ったオンラインバックアップや、日本HPのストレージ製品「HP StorageWorks EVA/XP/LeftHand」ディスクアレイとの組み合わせによるゼロ・ダウンタイム・バックアップ、Citrix Xen環境におけるプロキシサーバ経由のオンラインバックアップにも対応した。

 そして4つ目のネットワーク管理製品「HP Network Automation software 7.60」は、マルチベンダのネットワークデバイスに対して、そのプロビジョニングやポリシーベースの変更管理、セキュリティ管理などの統合的な運用を支援する製品だ。今回は、VMware ESX環境における仮想スイッチ「vSwitch」に対するサポートを強化したことで、vSwitchと物理ネットワークデバイス間の、よりシームレスな統合運用を可能にした。

写真 今回発表した4製品の位置付け。今回の製品以外にも、ITILに即した確実・効率的な運用管理をサポートする各種製品をラインナップしている

 日本HPの星野氏は、物理、仮想の混在したシステム環境を効率よく活用するための要件として、「まずシステム全体の構成と稼働状況を可視化して現状をつかむ。また、運用担当システムのサイロ化などに起因する運用管理作業の無駄や重複を見直し、効率的なプロセスに改善するとともに、プロセスに合わせてツールの機能も統合する。さらに、定型的な作業は自動化して効率化とコンプライアンスの徹底を図る」という3つのポイントを指摘。今回の4製品がそうした要件の実現を支援することで、「仮想化ROIの最大化に寄与する」とまとめた。

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