Android端末が一気に登場する今こそ注目

レビュー:Nexus Oneこそ少し先の未来が見られる端末だ

2010/04/07

 グーグルが2010年1月に投入したNexus Oneは、現段階でいまだAndroidの最先端を見せてくれる端末である。NTTドコモのXperia(4月1日発売)、ソフトバンクのDesire(4月下旬以降発売予定)、KDDIのIS01(6月下旬以降発売予定)と日本国内のAndroid端末が登場してきた今こそ、1GHz動作Snapdragonプロセッサと、Android2.1登載のリファレンス機でもあるこの端末の意味がより深く理解できるようになった。「少し先の未来」を今見せてくれる端末、それがNexus Oneだったのだ。

 このデバイスをいじっていると、スマートフォンの未来が見えてくるのを感じる。同時に、「今」使う端末としての若干の不満も。今回は、これらの長所、短所をまとめてみた。

Nexus Oneのここが凄い

とにかく速い

 「爆速は七難隠す」と言いたくなる速さで、特にブラウザの体感速度が速い。Webページを読み込んで表示する待ち時間が短いため、ブラウザを使う頻度が高まった。

SIMロックフリー

 海外旅行のときにも、高価な国際ローミングに頼らずに現地でプリペイドSIMを買って装着すれば使える。

マルチタスクは使ってみればやっぱり便利

 バックグラウンド動作でTwitterタイムラインを取得してくれたり、アプリのインストールと同時にほかのアプリを実行できたりする。iPhoneにマルチタスク機能を追加することの是非にはいろいろな意見があるようだが、使ってみればやはり便利だ。

インテントによるアプリ連携が便利

 “インテント”はアプリケーション連携の仕組みで、Androidの大きな特徴である。「共有」メニューから、多種多様なほかのアプリを呼び出せる。その汎用性には時々驚く。カメラアプリで撮影して、写真とともにTwitterにツイートしたり、ブラウザからページURLをそのままメールし、Twitterでツイートし、はてなブックマークやDeliciousにブックマークしたり。この連携の自由さは、体験してみないとちょっと分からない。



クラウドが母艦

 iPhoneでは必ず「母艦」となるPCまたはMacが必要だった。そして、Gmailのアカウントを登録し、グーグルカレンダーと同期する設定のために、ちょっとした知識と手間が必要だ。これに比べてAndroid端末の設定ははるかに楽だ。一回グーグルアカウントを登録すれば、Gmail、カレンダー、PicasaWebなどがすぐ利用可能となる。「クラウドが母艦」という感覚を味わえる。

アプリも結構そろってきた

 日本語入力の「Simeji」(これさえあれば、海外端末でも問題なく日本語を入力できる)、Twitterクライアント「twicca」を愛用している。カメラで撮影した美術作品、風景、書籍などを認識する「グーグル ゴーグル」(参考記事:GoogleのAndroidアプリに“未来の検索”の一端を見る)、指先で文字を描いてアプリや電話帳などを検索できるゼスチャ・サーチなど、実験的なグーグル製アプリもAndroidならいち早く利用できる。標準ブラウザ以外のブラウザなど、iPhoneの世界では御法度のジャンルのアプリもある。ブラウザ、グーグルマップなど、主要アプリではiPhone風マルチタッチ(2本指でつまんで拡大するピンチ動作など)が有効となっている。

ウィジェットがある

 アプリを立ち上げずに天気、ニュースが分かる。

有機ELディスプレイ

 見やすく、低消費電力。液晶とはちょっと違った味わいだ。

 ほかにもNexus Oneのメリットの番外編として、

(1)バッテリー交換が可能。ほかのケータイでは当たり前だが、バッテリー交換ができないiPhoneと比較すると重要なポイントだ。

(2)トラックボールがある。ゲームや細かい文章のエディットに意外と重宝する。

(3)カメラを無音にできる。着信音量を無音にするだけだ。雰囲気を壊したくない時には意外と便利。

などが長所として挙げられる。

Nexus Oneのここが弱い

タッチパネルの誤差が大きい

 iPhoneの着実な操作感に比べると、時々とまどうことになる。完成度ではまだまだ及ばない。

MenuやHomeが物理ボタンではない

 「Menu」「Home」など操作ボタンが物理ボタンではなくタッチパネル上のアイコンになっている。振動によるフィードバックがあるが、物理ボタンに比べると押しにくい場合も。

iPhoneに比べるとアプリが少ない

 iPhoneに比べるとアプリケーションの品ぞろえはまだまだ。辞書アプリ、PocketGuitarのような楽器アプリ、生活密着型アプリの品ぞろえでは圧倒的に負けている。

ディスプレイの色再現が忠実ではない

 きれいなディスプレイだが、肌色の表現はちょっと極端だ。

カメラの完成度が今ひとつ

 Nexus One搭載のカメラは、きちんと撮ればそれなりに写る良いカメラだ。ただし、オートフォーカス動作が遅いのに、合焦しなければシャッターが切れない仕様に最初はとまどう。カラーバランスをオートにしておくと、時として極端な色の写真になる。

日中韓で共通の文字フォント

 時々、漢字が見慣れない字形で表示されるのに馴染めない人もいるだろう。

訴訟問題を抱えている

 アップル対HTCの訴訟問題がある。最悪の場合、Androidのイノベーションが減速するおそれがある。

iPhoneではない

 アップル流のインダストリアルデザイン、洗練されたUI、あのiPhoneが欲しいと思う人は、やはりiPhoneを買うべきだ。

最大の魅力は「iPhoneではない」こと

 最後に断言。Nexus Oneの最大の魅力は「iPhoneではない」ことだ。アップルがすべてを決め、アプリケーションの生殺与奪を司るiPhoneに対して、オープンソースのプラットフォームに基づくAndroidと、審査のないAndroidマーケットには大きな自由がある。私たちは、選択肢を持っているべきなのだ。そして、Android搭載スマートフォンが発展すれば、iPhoneとそれを取り巻くエコシステムにも健全な競争原理が働くはずである。より良いiPhone環境が欲しいと思う人こそ、Androidを経験してみるべきなのだ。

(星暁雄=コモンズ・メディア)

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