最新規格LTO5に対応した製品群を発表

米HP担当者が語るテープバックアップの“伸びしろ”とは

2010/05/31

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は5月27日、LTOの最新規格「LTO5」に準拠したテープバックアップ製品群を発表した。LTOはデータバックアップ用テープ規格の主流。HPのほか、IBM、クアンタムが策定している。LTO5規格は、テープカートリッジ1本で1.5TBの容量(2対1圧縮だと3TB)を実現した。

 サーバからの直接的なバックアップでは、テープに代わってディスクが利用されることが増えている。しかし、テープバックアップにはまだまだ伸びしろがあると、米HPでテープシステム担当ディレクターを努めるクリス・パワーズ(Chris Powers)氏は話す。「当座のバックアップ/リカバリを超えた部分で、テープバックアップシステムは保険を提供できる。テープは非常に長期間の保存を実現する。テープメディアは30年間にわたる利用に耐え、非常に古いデータも確実に復旧できるという安心感を与えている。ほかのメディアからの移行も進んでいる。保存可能期間が長く、今後のロードマップもはっきり定められているLTOに、例えば歴史的な古い映像をデジタイズして保管するといった大きな可能性が開けている」

hp01.jpg LTOは第8世代までの規格が定められている

 WORM(一度書き込んだデータを変更できない)機能やデータ暗号化機能を備えたLTO規格は、コンプライアンス目的でのデータ保存に向いている。また、ディスクではデータを書き込んだ後も回転を続けることになるが、テープではバックアップ後にはどこかに保管すればよいためスペースコストとエネルギーコストを抑えられる。安全な場所に移動しておけば、災害対策にもなる、とパワーズ氏は続ける。

 「新規格のLTO5では、前世代に比べて容量が約2倍になり、転送速度も大幅に向上した。さらに同規格では、今後3世代にわたるロードマップも発表している」(パワーズ氏)

hp02.jpg 米HPのパワーズ氏(右)と日本HPの志渡氏

 新製品では、前世代の製品に搭載されたハードウェアベースの暗号化機能を引き続き搭載している。「テープではデータを圧縮した後に暗号化するため、大容量の暗号化が可能であり、ハードウェアベースなのでホストコンピュータのCPUを消費しない」と志渡みず絵氏(エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 ストレージワークスビジネス本部 プロダクトマーケティング本部)は説明する。また、今回から「Tape Assure」という管理ツールが、無償ダウンロード提供される。このツールではメディアとドライブの状態を管理できる。テープドライブとサーバのパフォーマンスを監視でき、どちらがボトルネックとなっているかを知ることができる。メディアがデータ保存に適した状態であるかをチェックし、品質の高い状態でデータの読み書きができているかどうかの評価を行えるという。テープバックアップシステムがいまだに批判されるのは、復旧の際に本当にできるのかが分からないという点だが、Tape Assureの無償提供は、こうした懸念に応えるための対策の1つという。

hp03.jpg テープライブラリ製品の新ラインナップ

 新製品は「HP StorageWorks LTO5 Ultrium3280 SAS テープドライブ」(外付け型/内蔵型)、「HP StorageWorks LTO5 Ultrium3000 SAS テープドライブ」(外付け型/内蔵型)、「HP StorageWorks MSL2024 1 LTO5 Ultrium3280 FCライブラリ」「HP StorageWorks MSL4048 1 LTO5 Ultrium3280 FCライブラリ」「HP StorageWorks MSL8096 2 LTO5 Ultrium3280 FCライブラリ」「HP LTO5 Ultrium 3TB データカートリッジ」など。すべて6月中旬に出荷開始の予定。

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(@IT 三木泉)

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