SAP、デジタルコンテンツ配信の課金・請求システムを発表「シンプルなUIで、現場のマーケ担当者でも設定できる」

» 2010年07月28日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 SAPジャパンは7月27日、デジタルコンテンツ配信の課金・請求ソリューション「SAP Consume-to-Cash」を発表した。デジタルコンテンツ配信の料金計算から課金、請求、収益/未収金管理まで行える製品で、電子書籍や音楽、ゲームなどのコンテンツを配信するメディア・エンターテイメント企業、コンテンツ配信のプラットフォームを提供する通信事業者、クラウド事業者などをターゲットに販売活動を行うという。

 近年、通信・メディア業界ではデジタルコンテンツの拡充を受け、音楽コンテンツのダウンロードをはじめ、新たなビジネスが発展しつつある。一方、iPhoneをはじめとするスマートフォンやタブレット型端末の普及を受けて、アプリケーションや各種コンテンツをアプリケーションストアを通じて提供するスタイルが浸透しているほか、最近はコンテンツやサービス単位で課金するのではなく、「どれだけ使ったか」という従量課金制を採用する動きも目立ち始めている。

 こうした状況を受けて、同社では「課金・請求の確実な遂行とともに、市場環境の変化に応じて料金プランを迅速・柔軟に変更できる仕組みが求められている」と考え、本製品の開発・提供に踏み切ったという。

写真 SAPジャパン インダストリー戦略本部 通信・メディア産業担当部長 早川正明氏

 同製品の特徴は3つ。1つは自社のビジネスの在り方に応じて、短期間・低コストで構築・導入できること。SAPジャパン インダストリー戦略本部の早川正明氏によると、「グラフィックを使用したシンプルなUIにより、現場のマーケティング担当者レベルでも料金プランの設定・変更を容易に行える。このため、通常は3〜6カ月かかる新料金プランも、数日〜数週間程度で導入可能だ」という。

 2つ目は、多様な請求形態に対応できること。個別契約単位だけではなく、複数種類の契約分をまとめて請求する「まとめ請求」や、複数のユーザーに対してまとめて請求する「集約請求」にも対応している。

 そして3つ目はパフォーマンスの高さ。「分散型アーキテクチャの採用により、オンライン課金作業において、他社製品に対して4倍の速さで処理できる」(早川氏)という。また、1秒間に数万トランザクションを処理できるほか、海外に200社ある先行導入事例においても99.999%の運用安定性を持っているという。

 早川氏は今後の展開について、「スマートフォンをはじめとする各デバイスメーカー、通信キャリア、クラウド事業者らは現在、デジタルコンテンツ流通網を制するためにアプリケーションストアの立ち上げを急いでおり、高機能かつ低コストで利用できる課金・請求システムに対するニーズは着実に高まっている。また、通信技術の発展にともない、金融業における決済サービス、公益事業における水道料金請求など、SAP Consume-to-Cashの機能を適用できる分野は今後急速に拡大していくはずだ」と解説。

 同社ではそうした傾向も見据えつつ、当面は出版・音楽・ゲームなどのコンテンツを配信するメディア・エンターテイメント企業やクラウド事業者などを中心に「多くの企業に積極的に販売展開を図っていく」という。製品提供は2010年第4四半期を予定している。

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