日本アスペクトに新代表、垣貫巳代治氏が就任「UCに世界的なニーズの波。国内トップシェアを目指す」

» 2010年08月25日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 日本アスペクト・ソフトウェアは8月25日、垣貫巳代治氏が7月1日付で新代表に就任したと発表した。氏は2008年に締結した米マイクロソフトとの戦略提携の強化、導入支援体制の強化などを通じて、「2013年度までに対前年比でビジネスの規模を3倍に伸ばし、ユニファイドコミュニケーション/アウトバウンドソリューション分野で国内トップシェアを目指す」と抱負を述べた。併せて、中小規模のコンタクトセンター向けソリューション「Aspect Unified IP スモールエンタープライズ・パッケージ」を発表した。

中国、インドなどの新興国で導入実績が大幅に拡大

 米アスペクト・ソフトウェア(以下、米アスペクト)は、ワールドワイドで5000社以上の導入実績を持つコンタクトセンター・ソリューションベンダ。2008年3月にはユニファイドコミュニケーション(以下、UC)分野で米マイクロソフトとの戦略提携を発表し、米アスペクトのコンタクトセンターソリューション「Aspect Unified IP」に、マイクロソフトのユニファイドコミュニケーション・プラットフォーム「Microsoft Office Communication Server 2007」(以下OCS)との相互運用性を確保した。

 これにより、ACD(自動着信呼分配装置)、IVR(自動音声応答装置)など、Aspect Unified IPが統合的に提供する各種コンタクトセンター機能に加えて、OCSのインスタントメッセージング機能、在席確認を行うプレゼンス機能が利用可能になった。つまり、コンタクトセンターのオペレータが、顧客からの問い合わせに対し、最適な知識を持った社員の在席を確認したうえでコールを回せるようになったことで、1回のやり取りで顧客対応を完了させる初回回答率が向上する――すなわち「対応品質と業務効率を両立できる」として話題になった。

写真 米アスペクト ワールドワイド・セールス担当取締役上級副社長のマイケル・シェリダン氏

 垣貫氏に先立ち登壇した、米アスペクト ワールドワイド・セールス担当取締役上級副社長のマイケル・シェリダン氏は、「UCとコンタクトセンターソリューションを組み合わせたことは、アジアパシフィック地域におけるビジネスの進展に多大な影響を与えた」と解説。特に新興国の中国、インドでの導入が顕著であり、インドではセールスやテクニカルサポートなどを行うBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)企業のトップ15のうち、14社が同製品を導入しているという。このほか、200席から導入を開始し1年で5000席に拡大した生命保険会社のケースもあるという。

 「弊社自身もAspect Unified IPとOCSを連携させた製品を使っているが、通信費を中心とした2億円のコスト削減、初回回答率10%向上などの成果を得ている。着実に進みつつあるコンタクトセンターのIP化のトレンドも受けて、今後、UCに対する需要の波は世界レベルで高まっていくはずだ」(シェリダン氏)

コンタクトセンターと企業内を結ぶUCにフォーカス

 続いて登壇した垣貫氏は、ワールドワイドではワークフォースマネジメント製品、アウトバウンド支援製品で米アスペクトがトップシェアを獲得していながら、日本国内ではトップシェアに至っていないことを指摘。今後、マイクロソフトとのマーケティング/営業活動の連携強化、導入コンサルティング体制の強化などを通じて、「需要の伸びが期待されるUC分野とアウトバウンド分野で、2013年までに国内トップシェアを目指す」と力説した。

写真 垣貫巳代治(かきぬき みよじ)氏。シスコシステムズ、ネットワーク・アプライアンス社(現ネットアップ社)、ナイスシステムズ社を経て、2010年7月1日付で日本アスペクト・ソフトウェアの代表に就任した

 その一環として、中小規模のコンタクトセンター向けソリューション「Aspect Unified IP スモールエンタープライズ・パッケージ」を発表。これは「Aspect Unified IP」を100席以下の中小規模コンタクトセンター向けにパッケージ化した製品で、ACD、IVRなどセンター運用に必要な機能を統合的に提供する。アウトバウンド/インバウンド機能の運用を統合管理できるコールブレンディング機能を持ち、1人のオペレータが1つのクライアントでインとアウト、両方のコンタクトに対応可能としている点が1つの特徴だ。2011年3月末までと期間は限定するが、既存の同等製品に対し約3割価格を引き下げたキャンペーン価格で提供し、50システムの販売を目指すという。

 さらに、2010年11月には「Aspect Unified IP」の新バージョン「Aspect Unified IP 7」を発表予定。OCSとの連携を拡充し、インスタントメッセージングのルーティングなどを可能にするほか、Microsoft Office SharePoint Serverとの連携強化も行う。具体的には、コンタクトセンターのオペレータが、問い合わせに対して適切な知識を持つ社内の専門家を検索する際、問い合わせに関連するドキュメントの検索・閲覧も可能にするなど、「より一層の対応品質・効率向上に寄与する」という。

写真 コンタクトセンター基盤製品、コンタクトセンターのパフォーマンス最適化支援製品、UCの3分野で販売に注力する

 垣貫氏は「現在、UCに対するニーズは世界的に高まりつつあるが、弊社の場合、社内のコミュニケーションを効率化するバックオフィス向けのUCではなく、コンタクトセンターとバックオフィスを連携させる“センター主体のUC”にフォーカスしている。対応品質と業務効率の両立は多くの企業にとって必須の課題。弊社としては、マイクロソフトとの戦略提携などを通じて、センター、企業、顧客を結ぶ新しいコミュニケーションスタイルを提案し、販売の拡大を目指していきたい」と話している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ