国内で複数のデータセンターを提供予定

AWSが日本データセンターを運用開始、責任者に聞いた

2011/03/02

 Amazon Web Servicesは日本時間3月2日23時、日本データセンターの運用開始を発表した。東京リージョン(正式名はAsia Pacific (Tokyo) Region)として運営する。同社は今後複数のデータセンターを日本に開設し、東京リージョンにおいて複数のAvailabilityZoneを提供するという。

 まず気になるのは東京リージョンの価格だ。AWSのサービスはリージョンごとに価格が異なるが、下の表のとおり、「ジャパンプレミアム」は非常に小さい。シンガポールと比べた場合、例えばAmazon EC2のオンデマンドLinux/UNIXインスタンスについては1時間当たり0.5から数セント高いが、Windowsについては同料金だ。

aws01.jpg 東京リージョンのAmazon EC2の価格。東京リージョンは現在もっとも高価だが、他のリージョンとの差は小さい
aws02.jpg シンガポール・リージョンの価格(AWSのWebサイトより)

 AWSの上級副社長 アンディ・ジャシー(Andy Jassy)氏は、「当サービスの価格をほかの選択肢、例えば自分でサーバを立てるとか日本における他社のサービスを使う場合と比べれば、当社の価格は非常に魅力的だと分かるだろう。日本の価格と、例えば米国のリージョンの価格差は非常に小さい。米国のグローバル企業も、日本の顧客の満足度を高めるため、Tokyo Regionを使うケースが増えるだろう」と話した。

 AWSが自社でデータセンターを用意したのか、他のデータセンター事業者の施設を利用しているのかについて、ジャシー氏は非公開だと答えた。「しかし需要に応えるに十分なキャパシティは確保できた。そしてわれわれはデータセンターを増やすことを考えている。なぜなら、日本はAWSにとって世界最大の地域の1つだからだ」。

 東京リージョンでは無償のAWSベーシックサポート、有償のAWSプレミアムサポートともに、日本のエンジニアによる日本語のサポートを提供開始した。決済についても、数ヶ月以内に日本円を選択できるようになるという。

 AWSによる日本データセンターの開設は、1年以上前からうわさとして広まっていた。日本での開設を待ち望んでいた人も多い。しかし、アジアでは例えばインドなど、ほかにも需要が急速に伸びている国があるはずだ。なぜアジア2番目のデータセンター設置国に日本を選んだのか。

 「シンガポールに開設したことで、アジアの多数の国に十分なサービスを提供できるようになった。シンガポールとインドの間のネットワーク遅延は非常に小さい。米国の東海岸と西海岸との間の遅延と同等か、それよりいいくらいだ。しかし、日本には数千の顧客がいるにもかかわらず、ネットワーク遅延を抑えながら大量のワークロードに対応する手段は、日本に来る以外になかった」

 東京リージョンは、アーリーアクセス顧客として三井物産、米ソーシャルゲーム会社Zynga、リクルートの「SUUMO」などがすでに利用を開始している。

(@IT 三木泉)

情報をお寄せください:

Server & Storage フォーラム 新着記事
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

キャリアアップ

- PR -

注目のテーマ

ソリューションFLASH

「ITmedia マーケティング」新着記事

有料動画サービス 34歳以下では過半数が利用経験、4割は1日1回以上利用
「ニールセン・ビデオコンテンツ アンド アド レポート 2024」を基に、テレビ画面での動...

2024年のGW予算は横ばい 賃上げよりも物価高と円安の影響が勝る?――インテージ調査
インテージが全国の15歳から79歳の男女を対象に実施したゴールデンウイークに関する調査...

CNN幹部が語る、メディアビジネスにとってのAIのリスクと機会
生成AIがコンテンツを量産し、真偽の明らかでない情報があふれかえる中、メディアの価値...