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強制適用判断に向けた議論は

XBRL Japanがシンポジウム開催、熱く語られるXBRLとIFRS

2011/03/04

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 XBRL Japan、日本公認会計士協会は3月3日、XBRL Japan シンポジウム「XBRL Everywhere」を都内で開催した。会計・監査業界のキーパーソンが講演し、XBRL利用拡大への期待を述べた。同時にIFRSについての見解も示された。

 XBRL Japan会長の高木勇三氏は「XBRLは財務データの比較可能性を高める言語」と指摘。財務データ評価のモノサシを世界的に統一するIFRSと組み合わせることで、「国を越えた企業の財務分析が可能になる」と話した。また、日本公認会計士協会 会長の山崎彰三氏はXBRLが電子開示システムの「Edinet」、米国の「EDGAR」など、世界各地で使われていることを説明し、「今後は蓄積されたデータを企業の財務分析で再利用することが期待される」と述べた。

xbrl01.jpg XBRL Japan会長の高木勇三氏
xbrl02.jpg 日本公認会計士協会 会長の山崎彰三氏

 またIFRS財団 評議員の島崎憲明氏は「財務諸表の基準と開示の双方で世界的な統一化が図られることで、財務情報に限って言えば、市場において企業と投資家が1つの言語で結ばれることになり、その結果として財務情報の質の向上や、財務分析のトータルコストの削減が期待できる」と話した。

 また、財務諸表の作成者側にとってもXBRLを活用してグループの業務アプリケーションを統合的にデータ連携させる基盤を導入できると指摘。「一気通貫で(会計処理から)XBRLの電子開示まで持っていくような利便性が高いシステムを開発できる」と訴えた。

アジア各国の動向に注視を

 基調講演でXBRLと同様に熱心に語られたのがIFRSだった。IFRS財団 副議長の藤沼亜起氏はIFRSとIFRS財団のこれまでの経緯と今後の方向性を説明。その中で、従来の日本の会計基準の特徴について取得原価主義や税務会計の影響を受けていること、単体決算重視などを指摘した。その上で、IFRSへのコンバージェンスが進んでいるにもかかわらず「メンタリティー的にここから脱却できていない人がいるのが問題だと思っている」と述べた。

xbrl03.jpg IFRS財団 副議長の藤沼亜起氏

 さらに、2012年にも行われる日本のIFRS強制適用の判断については「日本では伝統的に時価会計に疑問を呈する人や、包括利益が分からないという人、税法との調整が難しいと指摘する人がいて、(IFRS適用から)後戻りする議論がある。だが、ここは国際的な会計基準を一本化するという大きなビジョンに向かって進めないといけない」と話し、IFRSの受け入れを訴えた。

 島崎氏もIFRSの強制適用の判断について、金融庁企業会計審議会が示した2009年の中間報告を説明し、「IFRSの内容の検証」「基準設定プロセスへの日本の関与」「作成者、監査人、投資家、当局などの受け入れ準備状況」「国際的動向の見極め」の4つのポイントが強制適用判断の要素になると話した。

xbrl04.jpg IFRS財団 評議員の島崎憲明氏

 国際的動向では、日本経済への影響が大きい米国のIFRS適用状況が判断材料として最重要視されている。その米国は2011年中に適用の判断を行う予定だ。ただ、島崎氏は「米国の状況を注視しながらも、日本としてどうするのかという視点を持たないといけない」と話し、日本との経済的結びつきが年々強まっているアジア各国の動向に注目すべきと強調した。「今後5年から10年の企業や国の成長戦略を考える場合、アジア市場にいかにコミットしていくかを抜きに語れない」。

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(IFRSフォーラム 垣内郁栄)

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