リアルタイム分析製品「SAP HANA」の拡販専門部隊を新設「昨年12月の発表以降、導入企業が続出している」

» 2011年04月20日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 SAPジャパンは4月20日、リアルタイム分析アプライアンス製品「SAP High-Performance Analytic Appliance」(SAP HANA)の拡販を狙い、「リアルタイムコンピューティング推進本部」を新設したと発表した。2010年12月の発表以来、同製品がメーカーや商社など、大量データを扱う企業を中心に、順調に導入を伸ばしていることを受けたもので、今後は拡販に一層注力していくという。併せて略称だった「SAP HANA」を正式名称に変更した。

 SAP HANAはインメモリコンピューティング技術を活用して超高速分析を実現した「インメモリカラム型DB」のアプライアンス製品。全データをメモリ上に展開し、“インメモリだけで検索・分析”する点が特徴で、米国では4600億件の実データで稼働している実績もあるという。

 SAPジャパン リアルタイムコンピューティング推進本部長の馬場渉氏は、いまリアルタイム分析が求められている背景として、「近年はBtoCの世界でも、大容量の音楽データを高速転送できるiPodや、独自の高速データ処理技術を生かしたグーグルのサービスなどが支持されている。“情報爆発”が起きている今、BtoBの世界でも、市場環境変化に迅速に対応できるリアルタイム性がビジネスの大きな鍵を握っている」と解説した。

 また、既存のデータベースを使う場合、業務アプリケーションに高パフォーマンスを発揮させるためにはコードに工夫が必要となる。従って、パフォーマンスを追求するほどコーディング量や開発日数も増えてしまいがちだが、「SAP HANAを使えば超高速・大量データ処理が可能なため、そうした工夫も必要なく、コーディング量を75%削減、開発日数を70日まで短縮した例もある」という。加えて、従来型のデータベース製品はハードウェアにコストが掛かっていたが、SAP HANAはHPやIBM、富士通などの低価格な汎用サーバを使う。この点で、従来型の平均的な製品より大幅な低価格を実現している点も強みだという。

 馬場氏は「商社やリテール、メーカーなどに導入が進んだのも高速処理、低価格というメリットが支持されている結果だろう。今年3月に提供開始した企業情報管理製品、SAP BusinessObjects Enterprise Information Management 4.0との連携により、non-SAPデータをSAP HANAに取り込める点も利用価値を高めている。今後は、5社のハードウェア提供企業と連携し、具体的な活用方法を提案しながら拡販を狙う。インメモリカラム型データベースは、データウェアハウス市場の中で次第に主流を占めるようになっていくはずだ」と今後の展開に自信をうかがわせた。

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