日本オラクル、「Oracle BI」をスマホでも利用可能に本部と現場が情報をリアルタイムに分析、迅速にアクションに

» 2011年06月28日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 日本オラクルは6月28日、ビジネスインテリジェンス製品の最新版「Oracle Business Intelligence R11.1.1.5」(以下、Oracle BI)の提供を開始した。データソースにできるデータベースの種類を拡充したほか、iOSに対応した本製品専用のアプリケーションを用意。社内に散在するデータの閲覧・分析効率を高めながら、モバイルからもOracle BIを活用可能とした。これにより、本部と現場の連携を強化し、分析結果を次のアクションに迅速・確実につなげられる体制を整備できるという。

社内データを一元管理して分析し、確実にアクションにつなげる

 Oracle BIは、あらゆるベンダのデータベースに保管されているデータを仮想統合し、リアルタイムでの分析を実現する製品。異なるデータベースに収められた各種データを単一画面で一覧できるほか、売り上げ実績など、各種業務データの変動要因を調整しながら、今後の実績変化をシミュレーションすることもできる。また、分析結果を迅速・確実にアクションにつなげられるよう、BIの管理画面上から基幹システムにアクセスできる点も特徴だ。

写真 あらゆるベンダのデータベースに保管されているデータを仮想統合し、複数のデータを単一の画面で一覧できる

 今回は、仮想統合できる対象データベースを拡充。同社のインメモリ・データベース「Oracle Times Ten」や、SAPのオンライン分析処理システム「SAP Business Information Warehouse」などにも対応した。加えて、iOSに対応したOracle BI専用のアプリケーションも提供。本部や管理層のスタッフだけではなく、現場スタッフもiPhone/iPadを使ってOracle BIの分析機能を利用可能とした。さらに「Actional BI」と呼ぶ機能を使うことで、モバイル端末からも基幹システムの業務指示を実行可能にしたという。

写真 同社 執行役員 ソフトウェアライセンス事業 製品事業統括 EPM/BI事業統括本部長 関屋剛氏

 「多くの企業では、社内の各部門がBIやデータベースを個別に持っている。これが全社的な分析効率の悪化や意思決定の遅れ、コスト増大を招く原因となっている。Oracle BIの大きなポイントは、社内に散在するデータを仮想統合して“全社的な情報活用基盤”にできること。また、基幹システムと連携することで、データの分析結果を、迅速・確実に次のアクションにつなげられる点にある。今回は仮想統合できるデータベースの拡充と、モバイル対応により、データ分析・活用の利便性、機動性をいちだんと高めた」(同社 執行役員 ソフトウェアライセンス事業 製品事業統括 EPM/BI事業統括本部長 関谷剛氏)

写真 Oracle BIは社内に散在する各種データベースをまとめる情報活用基盤として利用できる。基幹システムと連携させ、Oracle BIの画面上から各種業務処理を実行することも可能

 例えばメーカーの場合、自社製品の販売実績と生産実績を、それぞれ個別のデータベースで管理しているケースが多い。その点、Oracle BIを使えば、本部スタッフはOracle BIの単一の画面上で、販売実績と生産実績を同時に閲覧できる。その結果、例えば「あるエリアの販売実績が大幅に伸びているのに、生産実績が伸びていない」、すなわち「適切に発注・生産されていない」と分かれば、現場の販売担当者に連絡。iPadを使ってOracle BIにアクセスしてもらい、その場で本部スタッフが見たものと同じ販売実績、生産実績を確認してもらうことができる。

 販売担当者は担当エリアの販売実績について、iPad上で変数を調整しながら今後の実績をシミュレーション、工場への適切な発注量を判断して、その場で基幹システムにアクセスして発注処理を行う、といったことも可能だ。

写真 Oracle BIのポイントは「仮想統合」「リアルタイム分析」「リアルタイム実行」の3つ。アクションにつなげる力、スピードを向上させる

 Oracle BI単体の価格は550万円から。変動要因を調節しながらの分析・シミュレーション機能を提供するツール「Essbase」など、全社情報基盤の整備からリアルタイム分析・実行までに必要な各種機能をパッケージした製品群「Oracle Business Intelligence Foundation Suite」は1000万円から。

 関屋氏は、「社内に散在するデータの『仮想統合』と、『リアルタイムな分析・意思決定』、基幹システムとの連動による『リアルタイムな実行』の3つがポイント。これにより経営スピードを大幅に向上させ、市場変化やビジネスチャンスを確実にとらえられる」と話している。

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