加工・集計バッチ時間を短縮し、本当のリアルタイムをSAP、HANA導入支援サービス3種類を発表

» 2011年07月05日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 SAPジャパンは7月5日、インメモリソフトウェア「SAP HANA」の導入支援サービス3種類を発表した。順次提供を開始する。

 発表された支援サービスは、導入前の効果検証を可能にする「データウェアハウス高速化アセスメント」と「Proof of Concept実機検証サービス」。導入時に分析テンプレートを用いて効率的に導入を支援する「分析テンプレートを用いた導入コンサルティング」の3種類。

馬場氏写真 SAPジャパン リアルタイムコンピューティング推進本部長 馬場渉氏

 SAP HANAは、2010年5月の同社イベント「SAP SAPPHIRE NOW」で発表されたリアルタイム分析ソリューション。インメモリデータベース技術と独自のデータ圧縮技術を採用したことで、非常に高速な分析処理を可能にした。また、各ハードウェアベンダと共同で開発を進めており、SAP HANAがプリインストールされたアプライアンス製品として提供されるのも特徴だ。2010年12月の発売後、すでに数十の新機能を追加したほか、アプライアンス製品としてもHPやデルなど5社から15モデルがリリースされている。

 SAPジャパン リアルタイムコンピューティング推進本部長 馬場渉氏は、「HANAは、SAP史上最速で普及している製品だ。また、進化も非常に早く、すでに1度バージョンアップして数十の新機能を搭載したほか、年内にもう一度バージョンアップを予定している。ハードウェアもすでに第二世代がリリースされるなど、かなり高速に進化している。特に日本での導入が進んでおり、独SAP本社も日本のHANA市場を非常に重要視し、HANAのワールドワイドの製品戦略立案担当者3名のうち1名を日本人にしたほどだ。今後、日本の先行導入企業からのニーズをますます反映させていく予定だ」とコメントした。

 今回の導入支援サービスは、「企画(初期)」「企画(後期)」「導入・運用」の3つのフェイズ向けに提供。企画(初期)段階では、既存DWHの状況をヒアリング・分析して解決策を提示する「データウェアハウス高速化アセスメント」を提供。その後の企画(後期)では、実データを利用して実機による処理速度などを比較・証明する「Proof of Concept実機検証サービス」を提供。導入・運用段階では、先行事例を基に作成したHANAの導入方法論と分析テンプレートによる「分析テンプレートを用いた導入コンサルティング」をそれぞれ提供する。

 今回の支援サービスは、約500社存在するSAP BWの既存顧客と、SAP ERP顧客でBWを利用していない残りの約500社、SAP BusinessObjectを複数領域で利用している数百社を対象とする。

 馬場氏は、「いままでのITシステムの導入選定は、要件定義後、なるべく要件に合った製品を選定する“守りの発想”が多かった。これからは『要件に合う製品がなければ、合う製品を作れば良い』という攻めの発想でいくべきだ。SAP HANAはスクラム開発を採用し、短期間に顧客ニーズを迅速かつ広く吸収して製品開発を進めているため、これが可能だ。この点は、リリース後半年程度でメジャーバージョンアップしている点からも明らかだろう。最近のIT部門では少なかった“前向きに要件を出して実現する”ということがHANAなら実現できる可能性が高い。従来のRDBでは苦手な分野や、テクノロジ的に難しい点もHANAなら解決できる可能性は高い。例えば、従来のDWHでもロード時間やクエリの処理時間は短縮できた。しかし、加工・集計の段階では数時間のバッチ処理を必要としているケースがほとんどだった。それをHANAにすることで、この加工・集計部分も数時間から数分に短縮可能であり、いままでやれそうでやれなかった“真のリアルタイム”を実現できるようになる」と説明した。

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