CA、クラウド上にハイブリッド環境を丸ごとバックアップ障害・災害に効くデータ保護製品「CA ARCserve r16シリーズ」

» 2011年09月08日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 CA Technologiesは9月8日、ハイブリッド環境のデータを保護する「CA ARCserve r16シリーズ」を発表した。物理、仮想、クラウドが混在する複雑なシステム環境を、シンプルな操作で包括的に守り、障害・災害時の事業継続性担保に大きく寄与するという。

クラウドストレージに対応した「CA ARCserve r16シリーズ」

 東日本大震災以降、企業にとってBCPが喫緊の課題となっている。だが昨今は、オンプレミスの既存資産に、仮想環境、クラウドサービスが混在し、システム基盤が複雑化。平時の運用管理の手間も増大しがちな中、いかにコストを抑えながら災害時の事業継続性を担保するかという課題に多くの企業が頭を悩ませている。

 今回、CA Technologiesが発表したCA ARCserve r16シリーズはそうした状況を見据えた製品で、物理、仮想、オンプレミス、オフプレミスが混在した「ハイブリッド環境のデータを簡単な操作で、手間なく包括的に保護できる」(ストレージ・ソリューション事業部 プロダクトソリューショングループ シニアコンサルタント 福田康幸氏)という。

 製品は3つ。1つ目はWindows対応のディスクベースのイメージバックアップ製品「CA ARCserve D2D r16」。同製品は低価格、簡単操作、テープ装置不要という小規模システムユーザーのニーズに応えた製品で、「導入時の環境設定が不要でインストールが簡単なため、すぐに運用開始できるほか、ITに不慣れなユーザーでもリカバリ、リストアといった各種操作を簡単に行える」という特徴を持つ。保存先のデータ管理を自動化し、前回バックアップしたデータとの差分だけをバックアップしてディスク使用量を削減するなど、データ管理を効率化できる点もポイントだ。

 今回発表したr16では、以上に加えてクラウドストレージへのバックアップを実現。ファイルの移動、コピー先としてAmazon S3、Microsoft Azureといったクラウドストレージを利用可能とした。

写真 「CA ARCserve r16シリーズ」ではクラウドストレージにデータをコピーできる

 また任意の期間、アクセスされていないファイルを自動的に抽出し、コピーするデータを指定・制限できる「ファイル経過期間フィルタ」機能も搭載。クラウド上へのデータコピーはBCP強化に貢献するが、クラウドストレージはデータの保存・ダウンロードだけでも課金されるため、コストには十分に配慮しなければならない。「しかし、この機能によってアクセス頻度の少ないファイルを抽出してクラウド上にコピー、元データを削除することで、より低コストで効率的にクラウドストレージを活用できる。バックアップの時間も短縮される」(福田氏)という。

 仮想環境への対応も強化した。具体的には、CA ARCserve D2Dを各仮想マシンにインストールすることなく、VMwareホスト環境から仮想マシンを一括してバックアップ可能に。復旧時には、仮想マシン単位、ファイル・フォルダ単位で柔軟に復旧できる。また、CA ARCserve D2Dで保護される仮想サーバのイメージを仮想環境上に自動的にスタンバイしておき、災害・障害時には即座に起動、重要なデータやアプリケーションの可用性を担保し、事業継続性を確実に担保できる機能も搭載した。

 このほか、ネットワーク上の保護対象マシンを自動検出し、管理画面上でバックアップ環境を一元的に可視化することも可能。CA ARCserve D2Dをインストールしていないマシンへの遠隔インストールも実現し、管理の確実化、導入作業の負担軽減を図っている。

複製先を確保できない場合も、クラウドにバックアップすればOK

 2つ目は、バックアップ/リカバリ製品の「CA ARCserve Backup r16」。CA ARCserve Backupは、任意にスケジュールしたバックアップにより、データを世代管理しながらテープやディスクに長期保存する製品で、国内でも多数の導入実績を持つ。

 今回のr16では、クラウドストレージへのバックアップを実現。クラウド内にバックアップサーバを構築することで、クラウド環境に閉じたバックアップ環境を構築できる。また、Windows Preinstallation Environmentもサポート。FDドライブを持たない環境でもネットワークを利用してシステムを迅速に復旧できるという。さらにCA ARCserve D2Dとの連携も強化し、CA ARCserve D2Dでディスクに保管したデータをCA ARCserve Backupでテープに長期保存したり、CA ARCserve Backupで保存したデータから直接復旧したりすることができる。

写真 ITコスト削減のニーズに応え、低価格に抑えた

 そして3つ目は、データをリアルタイムで複製する「CA ARCserve Replication/CA ARCserve High Availability r16」。同製品はWAN環境への対応機能により、災害に備えた遠隔地へのデータ転送を手軽に行える点が特徴だが、r16ではクラウド環境へのレプリケーションも実現。「災害対策を実施したいが、遠隔地に複製先サイトがない。初期費用や管理コストは極力抑えたい」といった中堅・中小企業のニーズにも対応した。

写真 CA Technologies ストレージ・ソリューション事業部 事業部長の江黒研太郎氏

 さらに暗号化通信機能も搭載し、データが社外のクラウド環境に出る際の安全性を向上。また、カスタムアプリケーション保護機能も搭載し、従来のr15ではサービスを監視するために別途スクリプトを書く必要があったが、今回から管理画面上で監視したいサービスにチェックを入れるだけで監視可能とし、誰にでも扱えるよう配慮した。

 今回の発表について、ストレージ・ソリューション事業部 事業部長の江黒研太郎氏は、「メインターゲットはハイブリッド環境を運用する大企業だが、シンプル、低コストという特徴を伸ばしたことで、中堅・中小企業にも、確実なデータ保護、ITコスト・管理負荷の低減というメリットを提供できるようになった。大塚商会をはじめとする販売パートナーと協力し、1年間で5万ライセンスの販売を目指したい」と話している。

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