SAS、ビッグデータ対応を強化した新分析プラットフォームiPhone/iPad対応などモバイル対応も強化

» 2011年09月14日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 SAS Institute Japan(以下、SAS)は9月14日、ビッグデータに対応するための分析機能を強化・最適化した分析プラットフォーム「SAS 9.3」を発表した。ビッグデータに対応するため、旧バージョンと比較して分析能力を10〜15倍に強化したほか、iPhoneやiPad向けレポーティングツールも用意する予定だ。価格は基本的なソリューションで2000万〜3000万円程度。

宮田氏写真 SAS Institute Japan ビジネス開発本部長 兼 プロフェッショナルサービス本部長 宮田靖氏

 SAS 9.3は、同社の主力製品である分析ソリューションの最新版。計算処理やBIダッシュボードなどのパフォーマンスを向上させたほか、「SAS Grid Computing」や「SAS In-Database」「SAS In-Memory Analytics」などの機能を搭載したことで、大幅な処理速度の向上も見込めるという。SAS Institute Japan ビジネス開発本部長 兼 プロフェッショナルサービス本部長 宮田靖氏は、「当社は創業以来、主力製品である統計解析ツールを強化・整備してきており、買収によるラインナップの追加をしていない点が特徴だ。必要とするプロセスを自社開発しているため、プロセス統一に不都合が出ることもない。最新バージョンではインメモリ処理やグリッドコンピューティング技術を取り入れ、『ビッグデータ/ビッグアナリティクス』への対応を強化した」と説明した。

 「SAS Grid Computing」は、同社の子会社であるPlatform社の分散処理製品「Platform LSF」を用いたグリッドコンピューティングプラットフォーム。この技術を用いることで、分析の高速化が可能になるという。「SAS In-Database」は、従来SAS側で行っていた“モデリング”や“スコアリング”などの処理をデータベース側で行い、その結果をSAS側に渡すというもの。データベース側で処理することで高速化を図っている。「SAS In-Memory Analytics」では、従来分散データを一度SAS上に収集した上で実行していた処理を、マルチスレッドで分散したまま処理を実行し、その結果だけを収集する。その際、マルチスレッドに加えてインメモリ上で処理を実行するため、さらなる高速化を実現できるという。

 SAS Institute Japan ビジネス開発本部 プラットフォームグループ部長 芝裕一氏は、「米バンクオブアメリカはSAS Grid Computingを採用したことで、40万件のローンのスコアリング処理を従来は3時間かかっていたものが数分に短縮できた。また、SAS In-Memory Analyticsのアーリーアダプターである米国の某小売会社は、毎週アパレル製品3万点の値下げをスコアリングで分析・処理していたが、同製品を導入したことで、その処理時間が5時間から20分に短縮できた。毎週実施していた処理なので、大幅に負荷削減できたという」と事例を挙げた。

 そのほか、SAS 9.3ではデータマネジメント機能やアナリティクス機能、レポーティング機能が拡張された。特にレポーティング機能では、2011年第4四半期に次期BI製品である「SAS Add-In for Microsoft Office 5.1」や「SAS Enterprise Guide 5.1」をリリースするほか、iPhone/iPad、Androidに対応する「SAS Mobile」をリリースする予定。

 「SAS Add-In for Microsoft Office 5.1」は、Microsoft Excelからサーバ上にあるSASデータの抽出やSASプログラムの実行が可能なツール。プロンプトにExcelのセルの値を直接使用することもできるという。「SAS Enterprise Guide 5.1」は、ドラッグ&ドロップでデータの条件検索・加工から高度な予測などのSASの分析機能を利用できるツール。データ加工処理や予測シミュレーション、OLAP分析などが可能だとした。

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