VMDirectPath I/OとvMotionの両立は実現されている

シスコのサーバ第3世代は、どう変わったのか

2012/03/14

 シスコシステムズは3月13日、サーバ、データセンター関連スイッチなどの新製品や機能強化を、集中的に国内発表した。全般的に性能や帯域幅といった体力の強化が図られた。

 第3世代の「Cisco Unified Computing System」は「Cisco UCS B200 M3ブレードサーバ」「Cisco UCS C220 M3ラックサーバ」「Cisco UCS C240 M3ラックサーバ」の3種で構成される。すべてインテルのXeon E5-2600に対応した2ソケットサーバであり、8コアのCPUを選択すれば1サーバで16コアが使えることになる。シスコはまた、インテルがXeon E5で今後発表するCPUにも対応していくという。

cisco01.jpg Cisco UCS C240 M3ラックサーバ

 B200ブレードと2UのラックサーバC240は、24本のDIMMスロットを搭載。当初は1枚当たり16GBまでのDIMMしか使えないが、今後32GB DIMMを提供の予定。これを使えば、上記2機種については最大768GBが搭載できる計算になる。前世代のUCSでは、メモリ増設ASICによる大容量メモリの実現を、セールスポイントの1つとしていた。今回は、DIMMスロット数および搭載可能な最大メモリ量について、他社と比べた優位性はない。

 サーバ単体のスペックは、他社と大きな違いはない。しかし、UCSは当初から、一般的なサーバと大きく異なる特徴を持っている。2009年3月、このサーバがうわさに過ぎなかった時点で書いた記事の内容は、シスコの第1世代のサーバが登場した時点から着実に実現されてきた。

 UCSの最大の特徴は、「Cisco UCS Manager」(ファーストホップのスイッチである「Cisco UCS 6100/6200ファブリックインターコネクト」に組み込まれたサーバ管理機能)による、論理的な一括管理だ。UCS Managerから「サービスプロファイル」というサーバの設定情報を一括して適用できるのが、UCSの最もユニークなポイントだ。

 例えばあるUCSサーバクラスタに、サーバを増設する場合、新たなサーバ機をUCS 6100/6200にネットワーク接続するだけで、そのサーバ機が自動的に検出される。これにサーバの設定情報を記述したテンプレートであるサービスプロファイルを適用するだけで、他のサーバとの一貫性を確保しながら、即座に利用開始できる。UCSの販売に力を入れているネットワンシステムズによると、サービスプロファイルによるサーバ設定管理は、サーバの新設や増設だけでなく、多数のサーバを対象として、特定の設定項目の一括変更ができるという点で、便利だという。

 UCS Managerでは、以前できなかったブレードサーバとラックマウントサーバの統合管理が、現在はできるようになっている。今年下半期には、複数のデータセンターに配置されたUCSの複数ドメインを一括管理し、共通のサービスプロファイルを適用できる機能強化がなされる。数千台規模のサーバを、1単位として管理できるという。

 UCSのサーバブレード(そしてラックマウントサーバ)は、仮想化インターフェイスカード(VIC)を搭載することができ、これを通じてシャーシのバックプレーンと接続する。VICでは、単一の物理インターフェイス・コンポーネントから、複数のネットワーク/ストレージ・インターフェイスを切り出せるようになっている。

 VICは文字どおり、サーバ内部と外部(ブレードサーバの場合はシャーシのバックプレーン)の間のネットワーク/ストレージ接続を、仮想化できるアダプタ。このVICでも、「Cisco UCS VIC 1280」「Cisco UCS VIC 1240」が新たに登場した。VIC 1280はバックプレーンとの接続帯域が、80Gbpsに向上した。さらにVIC上に構成できる仮想NIC/仮想HBAの数が、最大256となった。

 VICではこれまでも、ヴイエムウェアのいう「VMDirectPath I/O」をサポートしていた。VMDirectPath I/Oは、仮想マシンからのI/Oをそれぞれ特定のNICやHBAにひも付ける機能。各仮想マシンは専用のNIC/HBAを持つことができ、ハイパーバイザの仮想スイッチを通さずに直接外と通信することで、I/Oの高速化が期待できる。だがこれまでのVICでは、構成できる仮想インターフェイスの数が限定されていた。今回、VIC 1280では、最大256に増えたことで、多数の仮想マシンに対して直接I/O環境を提供できるようになったという。

 もう1つ大きな変化がある。以前はVMDirectPath I/Oを使うとvMotionができないという制限があった。しかし、VMware vSphere 5で提供開始されたヴイエムウェアとシスコの共同開発によるVMDirectPath I/Oの新モードを使えば、仮想マシンのvMotionが可能だという。これにより、vMotionのパフォーマンス向上も期待できる。このVMDirectPath I/Oの新モードを使ったvMotionとの両立には、シスコのVICとソフトウェアが必要だ。

[2012/03/16訂正]初出時には「VICではこれまでも、SR-IOVに対応し、」と記述していましたが、VMDirectPath I/OはSR-IOVを使っていないことが判明しましたので「SR-IOVに対応し、」を削除しました。VMDirectPath I/OとvMotionが両立できるようになったことは事実です。VMDirectPath I/Oは、アダプタをPCIeデバイスとして仮想マシンに見せる仕組みであるため、以前はvMotionに対応していませんでした。しかし2社の共同開発による新モードでは、仮想マシンに対して準仮想ドライバを適用し、通常は仮想マシンのI/OをVICの仮想NICに直接通します。vMotion時には、この準仮想ドライバを標準ドライバに切り替えて実行し、vMotion終了後に準仮想ドライバに戻すとのことです。

 上述の、UCS Managerが組み込まれたファーストホップ・スイッチであるファブリックインターコネクトでも、新製品「Cisco UCS 6296UP」が発表された。96ポートを搭載し、総帯域は2Tbpsと、従来の6100シリーズの2倍に強化された。

Nexusシリーズも帯域強化

 データセンターネットワーク製品の「Cisco Nexusシリーズ」では、まず最上位モデルの「Cisco Nexus 7000」で、新たなモジュールが2つ、第2四半期に販売開始の予定だ。1つは100Gbps×2ポート、もう1つは40Gbps×6ポートを搭載する。40Gbpsポートは、Nexus 5000でも今後対応の予定だ。シスコは第2四半期に、Catalyst 6500でも40Gbps×44ポート/10Gbps×176ポートのラインカードを提供する。こちらにもTRILL、OTV、LISPといったシスコのクラウド対応ネットワーク機能を実装する予定という。

 もう1つのデータセンタースイッチ新製品は「Cisco Nexus 3064-Xスイッチ」。1/10Gbps×48ポートの固定構成に、4ポートのQSFP+を搭載する。こちらも第2四半期に販売開始予定。

 シスコはさらに、ハイパーバイザの仮想スイッチに入れ替えて使えるソフトウェアスイッチの「Nexus 1000V 1.5」も紹介した。1.5ではVXLANにも対応する。別の記事でも紹介したとおり、VXLANは仮想レイヤ2セグメントを構成するためのトンネリングプロトコル。このプロトコルは、IaaS事業者におけるVLAN ID枯渇対策を重要な目的としている。Nexus 1000Vでは今後、分散仮想スイッチとして、1万以上の仮想NICに対応する予定という。

(@IT 三木泉)

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