ルータやスイッチのOSをバッチ処理でバージョンアップ

EMC、ネットワーク機器の構成を自動化する管理ツールを発表

2012/04/05

 EMCジャパンは4月4日、ネットワーク機器の構成管理ツール「EMC IT Operations Intelligence Network Configuration Manager」(NCM)を販売開始したと発表した。大規模なネットワークを運用するユーザー企業向けに、基本的には直販で提供する。NCM自体はあくまでも構成管理の製品で、監視や障害解析の機能は持たない。しかし、EMCが提供する監視製品との高度な連携ができることが大きな特徴の1つだという。

 NCMでは、ルータ/スイッチやファイアウォール、負荷分散装置などのOSバージョンアップ、スクリプト投入、パスワード変更といった作業を自動化できる。例えば同様な機能を提供するシスコシステムズの管理製品はtelnetベースだが、NCMではパッチ処理として行える、と同社のテクニカル・コンサルティング部 毛利洋一郎氏は説明する。このため、必要なレビューなどのプロセスを経て、一気に自動的な適用ができる。手作業によるミスも防げる。企業や組織としてのネットワーク運用ポリシーを確保しやすく、設定の再利用もやりやすい。

emc01.jpg NCMで省力化できる作業の例

 例えば200台以上のルータのパスワード変更を手作業で実施しようとすると、夜間に行う必要もあり、応援人員を呼ぶなどして1回200万円程度かかってしまうこともある、と毛利氏はいう。このため、やらなくてはいけないと思っていても短期間でのパスワード変更を怠るケースがある。ネットワーク機器のOSにぜい弱性が発見された場合のパッチ適用も同様だ。NCMによる構成管理作業の自動化は、このようにやらなくてはならないができなかったことを低コストで実現し、コンプライアンスやガバナンスの向上につなげることができると、EMCでは説明する。また、NCMには標準で「PCI Advisor」機能が備わっており、PCI-DSSの要件とNCMが収集したネットワーク機器の構成を自動的に照らし合わせ、ダッシュボードやレポートに示すことができるという。

emc02.jpg NCMの機能概要。ワークフロー機能もある

IT Orchestratorを中核とする管理製品群

 EMCはクラウド基盤を構成するサーバ、ストレージ、ネットワークを統合的に管理する製品群を展開しつつある。全体を統合するのが「EMC IT Orchestrator」で、ここでITインフラ運用のポリシーを維持する。そしてIT Orchestratorの「アダプタ」として、今回のECMを含む個別の管理製品がぶら下がる形になっている。「VMware vCloud Director」も、仮想環境の管理を担うアダプタの1つという位置付けだ。

emc03.jpg EMCは包括的な物理/仮想のIT環境管理製品群を構築しつつある

 ただし、NCMはIT Orchestratorなしに、監視・障害分析の機能を持つその他の製品(旧「EMC Smarts」を含む)と緊密に統合できるという。この統合により、NCMで検出した機器を監視製品側に自動登録したり、NCMが管理する構成変更イベントを監視製品のコンソールに通知し、障害分析に生かしたりできるという。

 NCMの標準価格は、ネットワーク機器50台の構成・変更管理ができるもので150万円(税抜き)から。

(@IT 三木泉)

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