最優秀賞は、社内外コラボで生まれたサービス

NTT流、スタートアップ・イノベーションの起こし方

2012/06/13

 NTTレゾナントは6月12日、イノベーティブな新サービス創出を目的としたビジネスコンテスト『Challengers Spring 2012(以下、Challengers)』を六本木アカデミーヒルズで開催した。審査を通過したチームには、最大500万円の予算措置が行われるほか、最優秀チームには「TechCrunch Disrupt SF 2012 Startup Alley」に出展し世界にアピールできるチャンスが与えられる。今回のコンテストには、主催であるNTTレゾナントからのメンバーだけでなく、NTTグループ各社および社外エンジニアやベンチャー企業の人なども参加し、計10組のプレゼンテ―ションが行われた。コンテスト当日の会場には、スタートアップ企業から140名が集まり、新サービス創造に向けたNTTグループの意気込みが垣間見えた。

Challengers Spring 2012 表彰式 Challengers Spring 2012 表彰式

 今回のコンテストでは、Facebookユーザーなどのライトな層をターゲットとした写真編集サービス「like! camera」や、スマートフォンがポイントカードになるアプリ「PetaPon」など、スマートデバイスやWebアプリケーションといったプレゼンが多く見受けられた。そんな中、NTTレゾナントの横見進也氏と園田充氏は、物の形を伝える「Internet Object」というプロダクトを発表。コンセプト中心の発表が多かった一方、技術的な話もあり興味深かった。

 Internet Objectとは、遠隔地の物体を目の前に再現するサービスである。現在、インターネット上では、映像や音声、テキストといった情報を共有するサービスは多くあるが、物の形を伝えるサービスはまだ少ない。彼らはその分野の挑戦を試みた。実現の方法は、物の形や表面の状態の特徴を掴んで、その情報をプロジェクターで映像を映し出すことによって再構築するといったものだ。

Internet Objectのプロトタイプ構成 Internet Objectのプロトタイプ構成

 再構築は、物理情報をデジタル情報に変換する技術や、モノを捕らえて認識する画像認識機能、3次元の映像を作成/再生するプロセッシング、物体にデジタルデータをプロジェクターで投影する技術など、今ある技術を組み合わせることで実現。実際に普及するにはまだまだ難しそうではあるが、将来的には3Dスキャナーや3Dオブジェクトと本サービスを連携することで、マネタイズも視野に入れているという。「離れた土地にある花を、いまこの手に再現したい」という彼らの明確なビジョンも、強い印象を植え付けた。

 最優秀賞に選ばれたのは、自分のパソコンやカメラなどの持ち物を登録できる、オンラインプロフィールページ作成サービス「おれのそうび」。「おれのそうび」チームは、「20世紀の終わりごろは、自分のホームページを自分で作っていて、自己紹介には必ず『俺のスペック』的なことが書かれていた。その後、プロフィールサイトは格好良く進化したが、あのころのような、昔ながらのギークなプロフィールページが作りたかった」とビジョンを語る。

「おれのそうび」チームのプレゼン 「おれのそうび」チームのプレゼン

 何かを購入したときに、Facebookなどで友人に共有する人が増えているが、「おれのそうび」を使えば、自分の持ち物情報などがタイムラインによって流されることなく、アピールし続けられるという。また、今回のコンテストで、ビジネスモデルが一番はっきりしていたのがこのサービスだったように思う。具体的な収益源としては、アフィリエイト収入やタイアップ記事広告、リアル店舗との連携などを想定している。プレゼンも昔のゲーム風に仕立てられ、観ている人の目をくぎ付けにした。

 今回の『Challengers』は第2回目の開催であり、第3回目は2012年11月末に行われる予定。Challengersのプロデューサー安元淳氏は、「NTTグループだけでなく、社外の人との連携で新しいサービスを創ることに可能性を感じている」とコメント。NTTレゾナントは、このような取り組みを、NTTグループ各社とベンチャー企業が互いに成長しあうビジネススキームにしたいと考え、今後も活動を続けていくという。

Challengers Spring 2012 集合写真 Challengers Spring 2012 集合写真

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(@IT 太田智美)

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