[Analysis]

IT不況がサルのは2004年?

2003/12/23

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 IT業界にとって2004年は薄明かりがさす年になりそうだ。すべてを照らす強い光が復活するにはもう少し時間がかかるが、何とか希望の光が見えてくるというのが2004年だろうか。

 米IDCは2003年12月初旬、2004年における世界のIT投資の見通しを従来の4.9%増から6〜8%増にの上方修正した。業績回復を果たした企業が増え、ITに対する投資が活発になってきた。米ガートナーが発表した調査結果でも、2004年のIT投資は2003年と比較して1.6%増えると予測。大企業よりも中小企業での投資が活発になり、ハードよりもソフトに多く投資をするという傾向があるという。

 業績の回復に従いIT投資が増えるという傾向は、ITを単にコスト削減の道具としてではなく、競争力を生み出す源泉として活用しようという考えが広がってきたことの証拠。IT投資はこれまで、ユーザー企業がベンダの言いなりで、業務に適合しないシステムを高コストで導入させられるというケースが少なからずあった。しかし、ユーザー企業主導のIT投資が広がり、技術を見る目がユーザー企業の中でも確立されてきたといえるのではないか。

 IT投資の回復は国内でも顕著だ。これまで日米のITでは、米国の景気回復が先行し、遅れて日本が回復するというケースが多かった。しかし、IDCジャパンが発表した国内IAサーバの2003年上半期のサーバ出荷状況では、出荷金額が前年同期比で2.3%の増加。IAサーバの出荷金額が増加したのは3期ぶりだった。メインフレーム、UNIXを含むサーバ市場全体では出荷金額で前年比16.1%の減少だったので、サーバ市場の色分けが明確になってきたこと、低価格化が進んでいることなどが分かる。

 もっとも年末くらいは翌年へのよい夢を見たいと思うのは誰も同じだろう。IT業界の回復も、2004年になってみなければ実際のところは分からない。「来年こそは回復!」というせりふはもう何年も聞いているような気がする。2004年の干支にあやかり、IT不況が“サル”ことになればいいのだが。

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