[Analysis]

SaaSの挑戦

2006/07/04

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 ネットワーク経由でソフトウェアの機能を提供するSaaS(Software as a Service)型アプリケーションに勢いが出てきた。SAPジャパンや日本オラクルなど業務アプリケーションの大手も国内でサービス提供を開始する見込み。米国で注目を集める米ネットスイートも上陸。代表取締役社長にはマイクロソフト日本法人で取締役などを務めた東貴彦氏を迎えた。

 SaaS型アプリケーションで急拡大しているのが米Salesforce.comだ。従来のASPサービスと異なり、ネットワーク経由ながらアプリケーションのカスタマイズや、既存ITシステムとの連携を可能にした点がエンドユーザーの支持を受けた。また、中堅・中小企業をメーンのターゲットにし、ハードウェアやソフトウェアの初期投資を抑えたい企業のニーズをくみ取った。

 SaaS型アプリケーションへの参入を表明したサイボウズの取締役副社長 津幡靖久氏は「Salesforce.comの成功例がある」と語り、SFA(営業支援)アプリケーションを開発し、対抗する姿勢を示した。

 IT予算が少なく、専任のIT担当者を置かないことが多い中堅・中小企業にとって、SaaSはITのメリットを手っ取り早く享受でき、リスクが少ない仕組みだ。Salesforce.com以外のネットスイートやSAPジャパン、日本オラクルなども、パッケージ製品でこれまで獲得できなかった中堅・中小企業を、SaaS型アプリケーションで取り込む考えだ。サイボウズの代表取締役社長 青野慶久氏は「中小市場は横ばいが続いている」としながらも「提供方法を変えることで伸ばすことができる」と語り、SaaS型アプリケーションを次の成長施策にするとした。

 ただ、SaaSの問題も指摘され始めている。1つはネットワークに完全に依存していること。災害などでネットワークが断絶した際にビジネスが停止してしまうリスクがある。通信会社の障害などベンダとは関係ないところで、サービスレベルが落ちる可能性もある。ベンダのいくつかは、ITシステム自体は顧客側のデータセンターに設置し、リモートで運用管理を行うなど、既存のアプリケーション提供方法と組み合わせているケースもある。

 また、顧客データなどの重要なデータを、外部のデータセンターに置くことを嫌がるエンドユーザーも多い。エンドユーザーの設備で管理するよりも専門技術者がそろったベンダのデータセンターで管理した方がセキュリティが万全との考えもあるが、やはりデータは手元に置いておきたいというエンドユーザーの心情がある。SaaS型アプリケーションのベンダはエンドユーザーの意識を変える必要もある。

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