[Analysis]

FONを試して土日をつぶした

2006/12/11

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 国内で本格展開を始めたコミュニティ型の無線LANサービス「FON」を自宅で試してみた。FONについては「無線LANルータも無償配布! 「FON」が日本で本格稼働」が詳しいが、オープンソースソフトウェアやWeb 2.0関連のサービスなど参加がキーワードになる時代に、面白いサービスだと思う。ネットワークインフラを眠らせずに使用率を向上させるサービスともいえるだろう。

 FONが面白く思えるのは商売ではなく、「ムーブメント」と言い切っていることだ。国内では対応ルータを1980円で販売するが、フォン・ジャパンによるとルータ販売からはほとんど利益は出ないという。ただ、どこからも利益を得られないのであればサービスは継続しない。

 そのためFONは会員を、自らのネットワークに対応ルータを接続し、無線LANアクセスポイントを他人に公開する「リーナス」、アクセスポイントに有償で接続させる「ビル」、アクセスポイントを自らは設置せずに、料金を支払ってビルが設置するアクセスポイントに接続してネットワークを利用する「エイリアン」の3種に分ける。

 エイリアンがビルに支払う料金の50%はFON側に入る。FONはこの料金を使って運用していくが、国内ではビル会員は募集せずに、リーナス会員のみを募る。ただしリーナス会員のアクセスポイントの接続ポータルに表示する広告などを収益源とする。

 FONにはネットワークインフラの使用率を向上させる面もある。サーバのプロセッサ使用率が平均20%程度といわれるように、家庭に設置されたブロードバンド回線の使用率もそれほど高くないのではないか。仕事などで留守にすることが多いなら、なおさらだ。その間の回線は眠ったまま。定額料金が中心なので財布は痛くならないが、なんとなくもったいないような気もする。FONは、その使っていないインフラをほかのユーザーに公開し、シェアするサービスだ。ビルにならない限りお金は入ってこないが、眠らせておくよりはいいのでは、と1人のユーザーとして思う。

 ただ、FONは、第三者がほかの契約者のネットワークを利用するために「ただ乗り」ではないか、との指摘もある。プロバイダの規約に抵触する危険もある。FONのようなコミュニティベースのサービスが広く利用される社会は暮らしやすいだろうなと個人的には思うが、今後どうなるだろう。

 で、試してみたFONだが、記者の設定が悪いのかパブリックネットワークの「FON_AP」はつながるものの、プライベートネットワークの「MySpace」には何度やっても接続できなかった。土日をつぶした。設定をやり直すことにしよう。

 

(@IT 垣内郁栄)

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