[コラム:Spencer F. Katt]
マイクロソフトのCRMに暗雲と雷鳴

2003/3/4


 米北東部は大雪にすっかり覆われてしまった。今回のブリザードのおかげで吾輩は、やはり記録的な大雪に見舞われた1978年の、あの心優しいローテク時代を懐かしく思い出した。当時、雪に閉じ込められた人々の姿から連想されるものといえば、マテウスのボトルであり、ビニール製のアルバムであり、大切な人と過ごす時間だった。実際、無粋なVPN回線やインスタント・メッセージングといった通信手段はなく、自宅で仕事をするなんて考えられなかった。まったくテクノロジってやつは、ありがたいものだね……。

 マイクロソフトは先週、同社の新しいCRMスイート製品をベースとするソリューションの開発・販売で、リセラー850社およびISVパートナー100社と契約したと発表した。が、吾輩はその直後、リセラー業界で今回の動きに暗雲が広がりつつあるという話を耳にした。ある情報屋によると、CRM専門業者の間では、CRMアプリケーションの販売、サポートに関する説明がほとんどない、との不満が高まっているという。そんなものは簡単に用意できるはずだというのだ。

 また、その情報屋の話では、マイクロソフトが出荷時期を明確にしていないため、各社は長期的な製品計画を策定することができないでいるらしい。パートナーたちは情報を入手するために、IT関連のニュースソースを必死に読みあさっているとか。

 一方、レドモンドの重役室では雷鳴が響き始めたもよう。マイクロソフトの上層部はビジネス・ソリューション・グループに対して、もっとビッグネームのパートナーと契約するように強いプレッシャーをかけているそうだ。

 先週のコラムでも触れたけど、マイクロソフトのソリューション部門とプラットフォーム部門は、それぞれの製品間でCRM機能がオーバーラップするため、今後確執がさらにエスカレートしそうな雰囲気だ。吾輩が得た情報によると、プラットフォーム部門に属すSQL Serverチームは、ソリューション部門との連携に極めて消極的だという。

 ところで、ノースカロライナ州シャーロットで開催された「Microsoft Technet Conference」に出席した友人からの情報だけど、開発中の新技術を展示するためにマイクロソフトが用意したPCの中に、“AMD 64”という名前のサブディレクトリがあったそうだ。友人が会場の担当者に確認したところ、ビル・ゲイツのレーダー網にAMDの次期x86-64チップの影が確実に捕捉されていることを、彼らは静かに認めたという。

 また別の情報筋によると、インテルの新しいIA-64アーキテクチャに不安を覚えるITバイヤーに対して、AMDが提供しようとしているスムーズなアップグレードパスに、マイクロソフトの上級技術者たちが熱い視線を送っているそうだ。

 それはさておき、コネクティクスの「Virtual PC for Windows」の開発チームがマイクロソフトのレドモンド・キャンパスに移ることになりそうだ。ただし、Mac OSチームはベイエリアに残るもよう。もし吾輩がMac OS製品の開発者だったら、Windowsチームが安全なレドモンドに移動し、なぜ自分たちだけが危険な活断層の上に残らなければならないのか疑問に思うけどね。


*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Katt Plows Through Blizzard of Rumors.

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