[コラム:Spencer F. Katt]
ブログをググられ入国拒否

2005/12/13


 吾輩はちょっと心配になって、パスポートをチェックし、ブログをスキャンし、Webブラウザのキャッシュをクリアした。昨今、旅先でどんな災難に遭遇するか、わかったもんじゃない。カナダの市民権を持つトロント在住の有名なイラン人ブロガー、ホセイン・デラクシャンの身に降りかかった不幸な出来事を考えれば、神経質といわれようが、念には念を入れておく必要がある。

 デラクシャンはニューヨーク市の友人宅に1カ月ほど滞在した後、一晩だけトロントに戻り、再び合衆国に戻るつもりでいた。ところが、長距離バスで国境を越えようとしたことが思わぬ事態を招く。ニューヨーク州バッファローの国境検問所で、彼の入国目的がブログ関連カンファレンス「ConvergeSouth」に出席するためだと分かると、係官はデラクシャンという名前をグーグルで検索し、彼のブログを見つけ出した。彼はそのブログに、「ニューヨークをベースに活動中」と書いていた。トロント在住と書くよりも“セクシー”な感じがしたからだ。しかし係官は、ブログのエントリーを丹念に読んだあと、その記述からデラクシャンが偽カナダ人であると判断し、合衆国への入国を拒否したのである。

 国境で立ち往生する不幸な事態に至らないためにも、吾輩はさまざまなケースを念頭に、検問所を突破する方法を考えておかなければならないと思った。最悪の場合、まぁ、ペットキャリアという手もある。

 ところで先日、ネットワーク・アプライアンスのCEO、ダン・ウォーメンホーヴェンが、ボストン・サウスエンドのレストラン「イカルス」で同市在住の技術系ジャーナリスト数人を相手に熱弁を振るっているとの情報が入った。これはもうウエイターにでも変装して盗み聞きするしかないと考えた吾輩は、さっそくそれらしい身なりを整え、レストランの裏口から侵入した。ちょうどデザートを運ぼうとしていたので、横からワゴンを強奪してテーブルまで持っていくと、ウォーメンホーヴェンがジャーナリストたちに哲学的な問いかけをしているところだった。

 「では諸君、バックアップテープが盗まれたら、法律的には“損失”ということになるが、もしテープが暗号化されてしまったら、いったいどういうことになるだろう?」。その場にいた者は誰も明確に答えることができず、CEOは1人ご満悦の様子だった。

 数日後、吾輩は再びウエイター姿に変装し、今度はボストン・ハーバー・ホテルで開かれたボストン大学チーフ・エグゼクティブ・クラブのランチミーティングに潜入した。そこではEDSのCEO、マイケル・ジョーダンが今期の業績改善についてスピーチしていた。それによると、同社の経営建て直し戦略の柱の1つである「Agility Alliance」、すなわちEMCやデル、サン、シスコなどの業界大手各社の技術を標準化する計画は、じつはEDS自身のアイデアではなく、ある意味ではEMCのCEO、ジョー・トゥッチからのOEMだというのだ。

 なんでも数年前、ジョーダンとトゥッチがボストンでコーヒーを飲みながら談笑しているとき、トゥッチがふと「仮想IBM」というアイデアを思いついたらしい。それは広範な、しかし限定されたハードウェアとソフトウェアとサービスの体系を提供する存在のことだ。「それができるのは、われわれだけだ!」と、トゥッチは叫んだという。ジョーダンはそのアイデアを持ち帰り、過剰なカスタマイズは結局、EDSの利益を損なうだけだという認識に至る。そしてアウトソーシング信奉者たちがいうように、「足りないところを補完」しあって、株価低迷から脱出するタイミングがやって来たというわけだ。

 吾輩はトレーの上に乗ったスイーツを指先ですくい取り、一口味見しながら皮肉っぽくつぶやいた。「ちょっと甘いね」

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
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