読者調査結果

@IT読者調査結果:情報マネージャ/ITアーキテクト編(1)
〜SOAによるシステム構築状況は?〜

小柴 豊
アットマーク・アイティ
マーケティングサービス担当
2004/10/26

 2004年のシステム構築をめぐる主なキーワードの1つ、SOA(サービス指向アーキテクチャ)。主要ITベンダからは、“SOA対応”をうたった製品が数多く登場しているが、企業の情報マネージャやアーキテクト層はSOAをどこまで現実解としてとらえているのだろうか? @IT情報マネジメントIT Architectフォーラム共同で実施した読者調査の結果から、その状況をレポートしよう。

ビジネス環境とSOAの必要性

 今回の調査では、SOAを「ビジネスプロセスの構成単位に合わせて実装された再利用可能なサービスを組み合わせることで、企業システムを柔軟/迅速に構築するアーキテクチャ」と定義した。しかし、そもそも現代の企業がこうしたアーキテクチャを必要としているのかどうか。始めに読者の勤務先のビジネス環境から確認しておこう。

 図1を見ると、「外部環境(市場動向/取引形態など)の変化は速いが、組織や業務プロセスの変更には時間がかかっている」企業が全体の54%を占めており、「外部環境の変化が速く、組織や業務プロセスも頻繁に変更されている」=“変化適応型企業”(28%)、「外部環境は安定しており、組織や業務プロセスもほとんど変更されていない」=“安定型企業”(18%)を大きく上回っている。全体の過半数が環境変化への不適応を生じている現在、SOAを必要とする素地/潜在市場は、十分大きいといえそうだ。

図1 ビジネス環境の変化状況(N=471)

SOA導入準備ができている企業は少数派

 とはいえ、アーキテクチャの導入はツールのそれと異なり、“ライセンスを購入してネットワークにつなげば動く”わけではない。特にSOAの場合、ビジネスプロセスとソフトウェア・サービスの同期が求められるだけに、ビジネス処理単位の整備/モデル化が前提条件となる。そこで読者の勤務先における“ビジネスモデリング”の実施状況を聞いた結果、現在の実施率は「社内で実施している」および「外部コンサルタントなどに委託して実施している」を合わせて23%となった(図2)。「現在は実施していないが、必要性は認識されている」との回答が44%に上ったことから、今後ビジネスモデリングの一般化が進むと思われるが、現段階でSOA実現の準備ができている企業は、まだ少数派であるようだ。

図2 ビジネスモデリング実施状況(N=471)

SOAによるシステム構築の予定は?

 では実際にどのくらいの企業が、SOAに基づいたシステム構築を予定しているのだろうか? 図3を見ると、「すでに構築を始めている」「1年以内に構築を開始する予定」といった具体的な予定を示したのは、回答者の10%にとどまった。過半数が「構築予定はないが、情報は収集している」を選んでいることから、SOAの全体的なフェーズは、まだ“情報収集段階”を脱していないもようだ。ちなみに「ビジネスモデリングを実施している」と答えた企業では、SOAによるシステム構築/予定率が全体の約3倍の33%に達していた(図2)。やはりビジネスプロセスを確立した企業ほど、SOA導入をスムーズに進められるようだ。

図3 SOAによるシステム構築予定(N=471)

SOAによるシステム構築の目的は?

 次に、読者がSOAによるシステム構築に何を求めているのか、その主要な目的/用途を聞いた結果が、図4だ。「社内システム連携/統合に要する工数の削減」を筆頭に、「ビジネス要求の変化に、迅速/柔軟に対応できるシステムの実現」「既存資産の活用による、IT投資対効果の最大化」の3点が上位に挙げられた。逆に「業務プロセスのリエンジニアリング/アウトソーシング」や「取引先とのサービス連携によるバリューチェーンの構築」といった、より革新的な目的意識は、まだあまり高くない。これらを見ると、初期のSOAは既存のシステム連携/統合手法の代替手段として、SBA(サービスベース・アーキテクチャ)的な側面に注目が集まっているようだ。

図4 SOAによるシステム構築目的(N=471)

 では、読者の勤務先で現在利用されているシステム連携/統合手法とは、どのようなものなのだろうか? 参考に尋ねてみたところ、全体の半数が「個別アプリケーションごとにインターフェイスを開発」していることが分かった(図5)。確かにこの状況では、迅速/柔軟なシステムの連携・変更は困難であるだろう。ビジネスプロセスとリンクした“理想のSOA”の実現にはしばらく時間が必要かもしれないが、Webサービスなどによるソフトウェア・インターフェイスの標準化と公開は、今日現在から有効なソリューションといえそうだ。

図5 現在使用しているシステム連携/統合手法(複数回答 N=471)

課題はビジネスプロセスのデザイン

 最後に、今後SOAによるシステム構築を進めるうえで、解決すべき課題を聞いた結果が、図6だ。「最適なサービス単位(粒度)の設定/サービス定義」「再利用可能なソフトウェア開発スタイルの確立」といった開発側の要因を超えて、「ビジネスプロセスの適切なデザイン」がトップ課題に選ばれたのが特徴的だ。

図6 SOAによるシステム構築上の課題(複数回答 N=471)

この点について、読者からは以下のようなコメントが多数寄せられた。

  • SOAで柔軟性を持った経営システムを実現できると信じているが、ITガバナンスの確立が必須だと考えている
  • (SOAは)バズワードで終わる可能性が高い。ITの課題以上に、経営戦略・ビジネスモデル・業務プロセスの課題が大きい
  • ITエンジニアとモデリングプロセスを考える人との共同分担作業が重要になる

SOAの実現には、企業風土や経営者マインドの改革を必要とする場合もあるだけに、社内のさまざまな階層の意識統一/共同作業が必要となりそうだ。@ITでは、情報マネージャ/ITアーキテクト/ITエンジニアの各観点から、SOA実現に向けたさまざまなコンテンツを用意しているので、関心のある方はぜひ関連記事にもお目通し願いたい。

調査概要
調査方法 @IT情報マネジメント/IT ArchitectフォーラムからリンクしたWebアンケート
調査期間 2004年7月20日〜8月13日
有効回答数 471件

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