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iSCSI対応ストレージ 「CLARiX AX100i」実践導入記 導入編

iSCSI対応ストレージ 「CLARiX AX100i」の導入でストレージ統合を目指す

 
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1. 導入コストが安いiSCSI対応ストレージ「CLARiX AX100i」
 

 @ITで実施した読者調査の結果、サーバのストレージ管理はシステム管理者の大きな悩みとなっていることが分かった。実際、編集部においても、記事原稿や取材メモ、取材写真、ホワイトペーパーやプレゼンテーションなどの資料といったデータが日々サーバのハードディスクに蓄積されている。グラフや写真が使われたプレゼンテーションともなると、数メガバイト級は当たり前で、しばらく運用しているとサーバのハードディスクがあふれてしまうことになる。かといって、過去の記事原稿や資料を簡単に削除できるわけではない。一時ファイルなどを消去したり、過去の参照頻度が下がったデータ(取材写真など)を移動したりすることで、ハードディスクの空き容量を確保することになる。しかし、日々増加するデータの保存領域を、こうした努力によって確保するにも限界がある。最後には、ハードディスクを増設する決断に迫られる。

 だが、サーバにハードディスクを増設するのは簡単ではない。サーバのハードディスクは、データ保護のためRAIDを構築しているので、一度、データをバックアップし、ハードディスクを増設、RAIDを再構築して、データを書き戻す(リストアする)、といった何段階もの手順が必要だ。もちろん、サーバを利用している間は、こうした作業が行えないため休日に実施することになる。システム管理者にとっては、1日仕事になる大変な負担を強いられる作業だ。また万が一、リストアに失敗すると、データが失われてしまうというリスクもある。ストレージ管理は、システム管理者にとって大きな負担となる業務の1つといえるだろう。

 実際、編集部でも何度かハードディスクの増設を行ったが、もはやサーバの内蔵ベイには空きがなく、これ以上、内蔵ハードディスクを増設できなくなってしまった。そこで、複数サーバのストレージ統合が可能なことから、ネットワーク・ストレージの導入を検討してみることにした。ストレージ統合が実現できれば、目的別に導入している複数サーバのストレージ管理の問題を一気に解決できるからだ。シリアルATAディスク採用のネットワーク・ストレージが登場したことで、導入価格も手ごろになってきている。またインターフェイスとしてiSCSIを採用したモデルならば、導入コストも大幅に引き下げることが可能だ。

 今回は、EMCジャパン株式会社のエントリ向けネットワーク・ストレージ「CLARiX AX100i」を導入してみる。まずは業務用のファイル・サーバ(OSはWindows 2000 Server)とプログラムの開発などに利用しているサーバ(OSはWindows Server 2003)の2台に接続し、ストレージ統合を試みた。

IP SANのネットワーク構成
IP SANのネットワーク構成
CLARiX AX100iを接続するため既存の社内LAN(上)とは別に、IP SANを構築する(下)。これにより、CLARiX AX100iを2台のサーバの内蔵ハードディスクと同様に利用することが可能になる。
 
 
非常に容易なCLARiX AX100iの導入

 CLARiX AX100iは、接続インターフェイスとしてiSCSIを採用している。そのため、サーバとCLARiX AX100iはギガビット・イーサネットで接続し、いわゆるIP SANを構築することになる。

 2台のサーバと接続するためには、サーバ用のギガビット・イーサネットに対応したネットワーク・カード(キガビットNIC)が2枚、ギガビット・イーサネット対応のスイッチング・ハブ、カテゴリ6(ギガビット・イーサネット対応のネットワーク・ケーブル)が3本必要になる。iSCSIを利用する場合でも、ごく一般的な量販店などで販売されている2000円程度のキガビットNICで問題ない。また管理用ネットワークに接続するため、LAN(100BASE-T)への接続が必要になるので、カテゴリ5のケーブルが別途必要になる。

IP SAN構築に必要な機材
IP SAN構築に必要な機材
IP SANを構築するためには、ギガビットNIC、スイッチング・ハブ、ケーブルが3本が必要になる。これらは量販店などでも購入できるもので、すべて合わせても1万5000円程度で済む。

 導入作業の手順は以下のとおりである。

  1. サーバにギガビットNICをインストールする
  2. Microsoft iSCSI Software Initiatorをインストールする
  3. CLARiX AX100iを管理用ネットワーク(社内LAN)に接続する
  4. CLARiX AX100iの管理用ネットワーク設定を行う
  5. サーバとCLARiX AX100iを接続する
  6. iSCSIを設定する
  7. CLARiX AX100iのディスク・プール/仮想ディスクを作成し、仮想ディスクをサーバに割り当てる
  8. サーバ側でCLARiX AX100iで設定した仮想ディスクをマウントし、フォーマットする

 では、順を追って設定のポイントを見ていこう。

1. サーバにギガビットNICをインストールする
 最近のサーバでは、ギガビット・イーサネットを2ポート装備する機種も増えている。そうした機種では、あらためてギガビットNICをインストールする必要はない。社内LANに接続していない、空いているポートをCLARiX AX100iとの接続に利用すればよい。

 ギガビットNICのインストールは、一般的なNICの増設と同じだ。ただIPアドレスは、手動で割り当てる必要がある。この際、社内LANとiSCSI用ネットワークのIPアドレスは、セグメントを分けておいた方がよい。こうすれば、ネットワークがブリッジしてしまうなどのトラブルを未然に防止できる。この段階でNICが正しく設定できているかどうか、別のコンピュータとの接続を確認しておいた方がよいだろう。

2. Microsoft iSCSI Software Initiatorをインストールする
 NICの設定が完了したら、マイクロソフトのダウンロード センターからiSCSI用プロトコル・スタックとドライバである「Microsoft iSCSI Software Initiator Version 1.06 (build 302)」をダウンロードし、インストールする。すでにマイクロソフトからバージョンアップした「Microsoft iSCSI Software Initiator Version 2.0 (build 1653)」が提供されているが、今回はEMCジャパンで動作検証済みのMicrosoft iSCSI Software Initiator Version 1.06を用いた。このMicrosoft iSCSI Software Initiatorによって、一般的なNICでも、iSCSIが利用できるようになる。なお主要なLinuxディストリビューションならば、同様のソフトウェア・イニシエータが提供されている。

 Microsoft iSCSI Software Initiatorは英語版のみ提供されているが、日本語環境でも問題なく利用可能だ。インストール後は、Windowsを再起動しておいた方がよいようだ。再起動は要求されないが、再起動しないで作業を行った結果、iSCSIの論理インターフェイス(IQN)が複数表示されてCLARiX AX100iと接続できないという障害が発生した(この点は、Microsoft iSCSI Software Initiator Version 2.0で改善されている)。

Microsoft iSCSI Software Initiatorのインストール画面
Microsoft iSCSI Software Initiatorのインストール画面(拡大画面
インストール・ウィザードの指示に従って進むと、インストールするモジュールの選択となる。ここでは「Install Complete iSCSI Initiator」を選択する。

 ここまでで、サーバ側の設定はいったん終わり、CLARiX AX100iの設定に入る。

3. CLARiX AX100iを管理用ネットワーク(社内LAN)に接続する
 CLARiX AX100iは、iSCSIでサーバと接続するためのギガビット・イーサネット・ポートのほか、管理を行うための100BASE-Tのネットワーク・ポートが装備されている。この管理用ネットワークによって、内部の設定を接続されたコンピュータからリモートで行えるようになる。このネットワークは、社内LANに接続しておけばよい。これにより、システム管理者のコンピュータからCLARiX AX100iがリモートで管理できるようになる。

4. CLARiX AX100iの管理用ネットワーク設定を行う
 CLARiX AX100iを社内LANに接続したら、管理ネットワーク用のポートを設定する。CLARiX AX100iに付属するサポートCD-ROMに含まれる「Navisphere Storage System Initialization Wizard」を、社内LANに接続されたWindowsマシン(以下、管理用PC)にインストールする。

 次にCLARiX AX100iのネットワーク設定を初期化するため、電源を落として1分以上経過した状態から、背面にある電源ボタンを長押し(LEDが点灯してから1秒以上)する。これで初期化が完了する。管理用PCにインストールした「Navisphere Storage System Initialization Wizard」を起動すると、サブネット上に接続されたCLARiX AX100iが自動で検索される。

 ウィザードの指示に従って、CLARiX AX100iの管理ネットワークのIPアドレスを設定する。DHCPによる動的なIPアドレスは、DHCPサーバなどが故障するとCLARiX AX100i(つまりサーバに接続されたハードディスク)が認識されなくなる、あるいはDHCPにより再割り当てされたIPアドレスが以前と異なってしまった場合にCLARiX AX100iに接続できない、といった重大な障害が発生する。そのため、管理用/データ用ともに静的にIPアドレスを割り当てた方がよい。割り当てるIPアドレスは、DHCPサーバ側の設定も行い、ほかのネットワーク機器と衝突しないようにする。

CLARiX AX100iの管理ネットワークのIPアドレス設定
CLARiX AX100iの管理ネットワークのIPアドレス設定(拡大画面
Navisphere Storage System Initialization WizardでCLARiX AX100iの管理ネットワークのIPアドレスが設定できる。社内のDHCPサーバに障害が発生したときでも、CLARiX AX100iが管理できるように静的にIPアドレスを設定しておく。

 ここまで設定ができたら、あとはサーバとCLARiX AX100iを接続して、CLARiX AX100iの設定を行えばよい。次ページからはCLARiX AX100iの設定手順について見ていこう。

 
iSCSI対応ストレージ 「CLARiX AX100i」実践導入記 導入編
1.導入コストが安いiSCSI対応ストレージ「CLARiX AX100i」
2.ツール類の充実で簡単に導入できる「CLARiX AX100i」

提供:EMCジャパン株式会社
企画:アイティメディア 営業局
制作:デジタルアドバンテージ
掲載内容有効期限:2005年7月31日
 
関連リンク
ストレージ活用をサポートする情報提供サイト 『ストレージ・ソリューション・エキスプレス』

EMCジャパン

EMC CLARiX AX150/AX150iの製品情報
 
記事リンク
解説:IP SANに普及の兆し?

解説:情報ライフサイクル管理がストレージ危機を救う?

中堅・中小企業のストレージ統合を加速するネットワーク・ストレージ「CLARiX AX100」
 


 
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