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» 2013年05月09日 17時00分 公開

5分で分かる製作現場(6):モバイルファーストの本当の意味と、実践方法 (2/5)

[角谷 仁,TAM]

2分−モバイルファースト実践事例―仕組みをモバイルに最適化させる

 モバイルファーストを実践している事例を紹介していこうと思います。以下は、日本マクドナルドの事例です。

 読者の方でもマクドナルドのモバイルクーポンやメルマガを利用されている方は多いと思います。それだけ日本マクドナルドのモバイル戦略は社会に浸透していますが、もう一度その大規模な仕組みを振り返ってみましょう。

事例1.日本マクドナルド−日本最大級のモバイルファースト実践企業

モバイルに最適化されたマーケティング戦略の展開

 まずメルマガですが、これは昼食前の時間に送信することで、昼に何を食べようか決めかねているユーザーの意識を引き付けています。PCのメルマガだと、メールボックスに埋もれてしまいますが、モバイルのメルマガはすぐに開いてもらえる傾向があるので、効果的な戦略となっています。

 また、「マクドナルドに行きたい」と思ったユーザーが近くの店舗を探せるように、モバイルアプリではGPS機能で簡単に店舗検索ができるようになっています。そうして店舗にやって来たユーザーはツールのような感覚でモバイルを取り出し、気軽に自分の使いたいクーポンを探して利用します。

 こうして説明をすると、ありきたりな仕組みのようですが、その利便性は徹底されています。モバイルアプリのユーザビリティはもちろんのこと、クーポンの内容が魅力的に見えるように注力されています。また、店舗のオペレーションもモバイルクーポンをスムーズに利用できるよう、レジの仕組みやスタッフの教育まで徹底して行われています。すべて、モバイルユーザーに対する利便性の向上をベースに考えられています。

 つまり日本マクドナルドはサイトやアプリの画面だけを使いやすくしたのではなく、全体の仕組みをモバイルに最適化させて構築したことで、大きな効果を生んだわけです。これは、モバイルファーストの素晴らしい実践例でしょう。

 さらには、よりユーザーの生活に密着したアプローチとして、かざすクーポンで1000万のユーザーの購入履歴から個々のライフスタイルや嗜好に合ったクーポンを提供するといった巨大なシステムも構築しています。

事例2.ANA−サイトでチケット購入・搭乗手続きの簡略化も

シンプルにサービスのコアにフォーカスした戦略

 ANAでは、PCサイトから購入する場合には10分以上の時間をかけるユーザーが80%なのに対して、スマホの場合は80%のユーザーが10分以内に購入完了するそうです。

 スマートフォンは画面が小さく、通信もPCに比べて遅いので、商品の比較検討にはストレスが掛かります。スマホユーザーがサイトにあまり長い時間滞在しないのはそういう理由があると考えられます。

 そこでANAはスマホサイトをより直感的なUIにして、チケットの購入しやすさを徹底しています。

 さらに、QRコードやおサイフケータイ、PASSBOOKを用いた「チェックイン不要」で搭乗できる仕組み「スキップサービス」も導入するなど、モバイルならではの機能をうまく活用し、新たなサービスを提供しています。

 マクドナルドの事例と共通しているのは、自社のサービスの中でユーザーに必要な機能や情報にフォーカスしている点です。特に「スキップサービス」に関しては、ただサイトやアプリの画面を使いやすくしただけでなく、購入までを通した全体の仕組みをモバイルに対応させています。こうしてユーザーに新しい価値を提供しているのはルーク氏が提唱する「イノベーション」に当たると思います。

事例3.Bistroひつじや−ある飲食店の話

 モバイルファーストは大企業だけのものではありません。

 飲食店では通常、紙で注文を取り、レジで1枚1枚チェックして金額を打ち込みますが、Bistroひつじやという東京の飲食店ではモバイルを使って業務を行っています。

 伝票の代わりにアプリを使いオーダーを取り、データを管理システムに送信することで、レジで金額を1つ1つ手で打ち込まずに会計できます。これにより業務が簡略化されただけでなく、伝票の記載ミスや精算時のレジの打ち間違えといったミスの軽減にもつながります。

 このモバイルアプリはすでにパッケージサービスとして販売されており、Bistroひつじや以外にもさまざまな飲食店で導入されています。専用機器を導入しなくても、モバイルアプリや簡単なシステムを入れるだけでこういったことが実現できるようになっています。

 こうして身近なところからもモバイルファーストは浸透し始めてきています。

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