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» 2016年04月08日 05時00分 UPDATE

Tech TIPS:Windows 10をクリーンインストールする手順と注意点 (1/2)

無償提供中のWindows 10アップグレード。だがデフォルトの上書きインストール(インプレースアップグレード)では、システムが不安定になることもままある。そんな時、Windows 10を「クリーンインストール」する方法は? 何に注意すべき?

[島田広道,デジタルアドバンテージ]
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連載目次

対象OS:SP1適用済みのWindows 7 Starter/Home Premium/Professional/Ultimate、Update適用済みのWindows 8.1 無印エディション/Pro、Windows 10 Home/Pro



解説

 期間限定で正規ユーザーに提供されているWindows 7/8.1からWindows 10への無償アップグレードでは、デフォルトで、アプリケーションや各種設定などをそのまま引き継ぐ「インプレースアップグレード」(上書きアップグレード)が実行される。これで問題なく利用できれば、そのまま使い続けるのが最も手軽で簡単だ。

Windows 10のインプレースアップグレードは手軽で簡単 Windows 10のインプレースアップグレードは手軽で簡単
これはWindows 7に自動配信された「Windows 10を入手する」アプリ。数ステップというわずかな操作だけで、既存の環境を引き継ぎつつWindows 10へインプレースアップグレードできる。これで問題が生じなければ、そのまま使い続けるのが最も手軽で簡単だ。

 だが(Windows 10に限らず)Windows OSのインプレースアップグレードでは、アップグレード後にシステムが不安定になる、起動が遅いといった問題が生じることがある。特にアップグレードを2回以上実施したシステムでは、その傾向が強い。

 そんな場合、インストール時にアプリケーションや設定などを引き継がずに、Windows 10とアプリケーションを新規インストールし、データや設定は別途移行するという手法がある。アップグレードを阻害する要因を引き継ぐことなく、初期化して「キレイ」な状態でインストールすることから「クリーンインストール」などと呼ばれる。

 また、インプレースアップグレードではWindows OSのプラットフォームを32bitから64bitに変更できない。一方、クリーンインストールなら可能だ。

 本TIPSでは、無償アップグレード期間中にWindows 7/8.1の正規ライセンスを利用して、Windows 10をクリーンインストールする際の手順と注意点を説明する。

操作方法

 無償提供のWindows 10のインストールイメージを使う場合、クリーンインストールの大まかな手順は次のようになる。

  1. (必要なら)ハードウェアを増強する
  2. アプリケーションを最新版に更新する
  3. Windows 7/8.1のライセンス認証が有効であることを確認する
  4. ユーザーデータやアプリケーションの設定をバックアップまたはエクスポートする
  5. システムイメージを含むフルバックアップを行う
  6. Windows 10をクリーンインストールする
  7. (必要なら)デバイスドライバを更新する
  8. Windows Updateでセキュリティパッチなどを適用する
  9. (必要なら)システムやネットワークの設定を変更する
  10. (必要なら)ユーザーアカウントを作成する
  11. ユーザーデータとアプリケーション設定をリストアする
  12. アプリケーションを再インストールする
  13. Windows Updateで残りのパッチを適用する

 本TIPSではクリーンインストールで重要なポイントとして、ライセンス認証とバックアップ、移行作業、クリーンインストール自体の各作業をピックアップし、基本的な手順と注意点を説明する。

●ライセンス認証とプロダクトキー、エディションに注意

 無償アップグレード期間中にWindows 10をクリーンインストールする際には、元のWindows 7/8.1のプロダクトキーが利用できる。ただ、それには「ライセンス認証(アクティベーション)」でいくつかの条件を満たす必要がある。

■ライセンス認証(アクティベーション)とは?

 Windows OSのライセンス認証(アクティベーション)とは不正コピーを防ぐための仕組みで、単一のプロダクトキーで許可された台数を超えてPCにインストールさせないようにするものだ。

 このライセンス認証が実行される際、インストールされたWindows OSの種類と、そのプロダクトID(プロダクトキーから導き出されるユニークなID)、インストール先のPCのハードウェア構成情報がひも付けされつつ、一緒にマイクロソフトのライセンス認証用サーバに登録される。

 すると以後は、別のPCに同じWindows OSとプロダクトキーでインストールすると、アクティベーションの確認時に別のPCであることが検出されてエラーとなり、そのWindows OSを使い続けられなくなる。

■事前にWindows 7/8.1でライセンス認証を済ませておく

 無償アップグレード期間中にWindows 7/8.1のライセンスを使ってWindows 10をクリーンインストールするには、まず、インストール先のPCで元のWindows 7/8.1のアクティベーションが有効になっている必要がある。

 アクティベーションが無効の状態でWindows 10のクリーンインストールを始めると、途中で「ライセンス条項が見つからない」といったエラーが生じてインストールに失敗する。

ライセンス認証の確認に失敗したときのエラーメッセージ例 ライセンス認証の確認に失敗したときのエラーメッセージ例
アクティベーションの条件を満たしていないと、このようなエラーメッセージが表示され、インストールウィザードの初期画面まで戻されてしまう。

 これに関連して注意したいのはハードウェアの増強だ。Windows 10へ移行する際、HDDからSSDへの換装やメインメモリの増量、グラフィックスカードの追加など、ハードウェアの増強を図ることはよくある。だが大幅にハードウェアを変更すると、元のPCとは違う別のPCだと判定されてしまい、アクティベーションが無効になることがある。その場合、Windows 10のクリーンインストールも失敗する恐れがある。

 従って冒頭の手順に記したように、ハードウェアの増強はWindows 7/8.1で実施しておく方が確実だ。アクティベーションが切れたとしても電話認証で復旧できるだろう。

■ライセンス認証をしたWindows 7/8.1のプロダクトキーを指定する

 アップグレードも含めて全くWindows 10をインストールしたことがないPCに、初めてWindows 10をインストールする場合、(Windows 10のライセンスがなければ)Windows 7/8.1のプロダクトキーを指定する必要がある。そしてそのキーは、該当PCにインストールしたWindows 7/8.1でライセンス認証を済ませたときのものを指定しなければならない。

 プロダクトキーが不明な場合は、Windows 7/8.1上でプロダクトキーを調べるプログラムを実行すればよい。

 いったんWindows 10のインストールとライセンス認証に成功すると、「デジタル登録情報(Digital Entitlement、デジタル権利付与とも呼ばれる)*1がそのPCに発行される。すると以後Windows 10を再インストールする際には、このデジタル登録情報が確認され、プロダクトキーの入力なしで自動的にライセンス認証が完了する。

*1 Windows 10 バージョン1511(正確にはBuild 10565)より前のバージョンでは、Windows 7/8.1のプロダクトキーを明示的に入力してクリーンインストールすることができなかった。そのため、デジタル登録情報を発行させるために、クリーンインストールする前に、いったんWindows 10へのインプレースアップグレードを先に実行するという手間が必要だった。現在のバージョンでは、そうした手間なくクリーンインストールが可能だ。


■ライセンス認証をしたWindows 7/8.1と同じエディションのみインストールできる

 以上のような仕組みのため、元のWindows 7/8.1のプロダクトキーを指定する限り、それと同種のエディションのWindows 10しかインストールできない(インプレースアップグレードでも同じだ)。具体的には次の通りだ。

  • Windows 7 StarterHome BasicHome Premium → Windows 10 Home
  • Windows 7 ProfessionalUltimate → Windows 10 Pro
  • Windows 8.1 無印with Bing → Windows 10 Home
  • Windows 8.1 Pro → Windows 10 Pro

 一方、Windows OSのアーキテクチャ(プラットフォーム)は32bit/64bitのどちらも選択できる。例えば32bit版Windows 7 UltimateをインストールしたPCには、64bit版Windows 10 Proをクリーンインストールできる。

●元のWindows 7/8.1に戻せるようにバックアップを取得しておく

 Windows 10をクリーンインストールする場合、元のWindows 7/8.1に戻せるフルバックアップは必須といえる。

 バックアップせずにWindows 10をクリーンインストールした場合、何らかの理由で元のWindows 7/8.1に戻したくなっても、それはできない(ここがインプレースアップグレードと決定的に異なる点の1つだ)。\Windowsフォルダやユーザープロファイルは同じドライブ内の別のフォルダにバックアップされて残るものの、そこから元のWindows 7/8.1を起動できるように復旧することは無理だと考えた方がよい。

 それにWindows 10が正常に起動できない、使い勝手が良くない、互換性問題で従来のアプリケーションが使えない、など元のWindows 7/8.1に戻す理由は幾つか考えられる。

 ここでいうフルバックアップでは、元のWindows 7/8.1を起動できる「システムイメージ」を作る必要がある。例えばWindows 7の場合、「Windows 7のシステム復元機能」で説明しているように、標準機能でシステムイメージ作成や復元ができる。

 システムドライブであるHDD/SSDをPCから取り出せるなら、次のようなハードウェアを利用して、丸ごと別のディスクにコピー(クローニング)するという方法もある(ただしソフトウェアのライセンス条件に抵触しないように注意)。

●ユーザーデータとアプリケーション設定を移行する

 Windows 10のクリーンインストールでライセンス認証と並ぶ難点は、ユーザーデータとアプリケーション設定の移行だろう。なぜなら、PC間あるいはWindows OS間でこれらを移行するためのソフトウェアツール(移行支援ツール)がWindows 10には付属しておらず、手軽に実行できないからだ。

 Windows XP/Vista/7/8.xには「Windows転送ツール」が標準装備されていて、ウィザードに従って容易にデータと設定の移行ができる(ちなみにMac OS Xにも「移行アシスタント」という同種のツールが付属している)。だがWindows 10にはないので、市販の移行支援ツールを利用するか、手動で移行作業をするぐらいしか選択肢はない。

■市販の移行支援ツールの例

 市販の移行ツールとしてマイクロソフトは、AOSデータの「ファイナルパソコン引っ越し」シリーズ(有償)を紹介している。

 個人ユーザーだけでなく企業向けの製品もある。手間を省きたければこうしたツールの購入を検討すべきだろう。

■ユーザーデータを手動で移行する

 ユーザープロファイル(%UserProfile%)にある文書や写真などのユーザーファイルを手動で移行する方法の1つは、外付けハードディスクにコピーして、クリーンインストール後にリストアするというものだ。特別なアクセス権を設定していなければ、エクスプローラ上でコピー&ペーストすれば済む(ただしエクスプローラで隠しファイルを表示させるように設定しておくこと)。

 あるいは、クラウドベースのオンラインストレージを利用してもよい。Windows 7/8.1でオンラインストレージにユーザーファイルを同期しておき、Windows 10のクリーンインストール後、オンラインストレージをセットアップして再同期すれば、自動的にユーザーファイルをPCに復旧できる。移行完了後も、ディスク故障におびえずに済むオンラインバックアップとして利用できる。

 電子メールのメッセージについても同じことが当てはまる。旧来のメーラがPC上に蓄えてきたメッセージを、Gmailに代表されるクラウドベースのメールボックスサービスに移す、という手法だ。その移行作業には手間がかかるものの、いったん移行できると、Windows OSの更新などに伴う移行や、障害時の復旧作業はほとんど不要になる(単にWebブラウザでWebメーラにログインし直すだけ)。

 PC上のメーラからGmailへの移行手順については、(古いものだが)次の記事が参考になるだろう。

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