連載
» 2017年01月11日 05時00分 公開

仕事が「つまんない」ままでいいの?(25):その「こだわり」は、犬も食わない――エンジニアの「本質」とは (2/3)

[竹内義晴(特定非営利活動法人しごとのみらい),@IT]

エンジニアの「本質」とは?

 では、「エンジニアの本質」とは何でしょうか。個人的には、エンジニアの本質は「技術的な価値を通じて、人を豊かにする」ことだと思います。

 でも、エンジニア時代には「エンジニアの本質」なんて考えたことがなかったなぁ(私はかつてエンジニアでした)。興味があったのは、「最新の技術動向は?」とか、「このシステムをどんな技術を使って作り上げるか」ということだけで。

 逆に、「エンジニアの本質とは、技術的な価値を通じて、人を豊かにすることだ」なんて誰かから言われたら、「まぁ、それはそうだけど、そんなこと、当たり前でしょ?」と、軽く受け流していたと思います。

 このように「本質」は、言葉にしてしまうと「そんなの、当たり前」になってしまいます。例えば、人が生きる本質は「幸せになること」だと思うのですが、そんなの、当たり前ですよね。

 そして、多くのエンジニアの意識は、本質よりも「いかに優れた技術力を身に付けるか」「その技術力で、いかに優れたシステムを作るか」に向きがちです。もっとも、エンジニアの仕事はシステムを作り上げることですから、そう考えるのは、何ら悪いことではありません。むしろ、当然。

 でも、技術力やスキルに傾倒するあまり、エンジニアの本質を忘れてしまうことも、あると思うのです。かつての私がそうだったように。

その「こだわり」は、犬も食わない

 私はエンジニア時代、結構、技術力に自信がありました。Java言語が好きで、オブジェクト指向プログラミングが大好きで、ソースコードの書き方やドキュメントの作り方など、「プログラミングとは、こうあるべし」みたいなこだわりを強く持っていたタイプです。

 技術屋には技術に対するこだわりは必要ですし、とことん追究すべきだと思います。なので、当時の自分に恥ずべきことはありません。

 でも、あらためて当時の自分を振り返ってみると、「そのこだわりで、周りに迷惑を掛けたこともあったな」とも思います。

 例えば、あるシステムを開発するときに、本来なら別の仕組みでもいいし、その方がむしろ簡単にできるかもしれないのに、ユーザーの意向などお構いなしに、自分の好きな、もしくは、自分が作りたい、あるいは、自分にとって大切な方法で、システムを提案したり、実際に作ってしまったりしていた時期がありました。

 エンジニアから離れた今、私はどちらかというとユーザー側にいます。その視点でシステムを見ると、「システムやITのツールとは、簡単で、しかもちゃんと動いてくれれば、仕組みはぶっちゃけ何でもいいんだよな」と感じすらします。技術にこだわっているエンジニアからは怒られるかもしれないけれど。

 もちろん、「仕組みなんてどうでもいい」と言いたい訳ではわけではありません。ユーザーには見えないバックエンドで、確かな技術力で作られたシステムがある。だから、使いやすいシステムがあるのですから。

 でもね。昔、ある人から痛烈な皮肉を言われたことがあるんです。

 「竹内さんはスキルに偏り過ぎています。あなたにとってそれは大切なことかもしれませんが、そのこだわりは……犬も食わない

 それを聞いて私は、イラッとしました。というか、当時はそれがどういう意味なのか、正直よく分かりませんでした。でも、今ならその意味が、よく分かります。

多くの問題の原因は「こだわり」

 「偏ったこだわり」は、時にプロジェクトの進行を止めたり、いざこざを生じさせたりもしてしまいます。

 例えば、@ITの「エンジニアライフ」で、エンジニア同士の主張の衝突や、いざこざが起きているのを時々見かけます。頭が柔らかい人なら「まぁ、そういう考え方もあるよな」と軽く流せるのですが、こだわりが強い人ほど「○○は、こうすべき」のように、食って掛かることが多いようです。

 技術屋さんだから、もちろんこだわりは大切です。というより、エンジニアの仕事は、こだわるのが楽しいのですよね。

 でも、こだわりが強いが故に起きるいざこざもあるように思います。職場でも、上司や他のエンジニア、顧客との会話で、「そこのこだわり、いま、必要?」と思った経験がある人、多いのではないでしょうか。

 どうやら多くの問題の原因は「こだわり」によるもののようです。

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

TechTargetジャパン

この記事に関連するホワイトペーパー

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。