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安藤幸央のランダウン[45]
IT業界で楽しく仕事をするための10カ条
安藤幸央(yukio-ando@exa-corp.co.jp)
株式会社エクサ
2009/3/11
「Java News.jp(Javaに関する最新ニュース)」の安藤幸央氏が、CoolなプログラミングのためのノウハウやTIPS、筆者の経験などを「Rundown」(駆け足の要点説明)でお届けします(編集部)
2009年、日本の春は多くの学生さんたちが卒業し、また社会で活躍し始める時期です。
IT業界は3K、7Kなどと、いろいろネガティブな面も取り上げられます。けれども、「ものづくり」の楽しさや、人の役に立つ仕事として@ITで取り上げられるような業種で働こうと考えている人も多いことでしょう。
なんとなくIT業界を選択した人から、もしかしたらあまり気が進まないのに、IT業界に入ってしまった人がいるかもしれません。その一方、プログラミングやコンピュータに関する事柄がとても好きでIT業界に入ってきた人もいるでしょう。
本記事では、IT業界を目指している学生さんや入社間もない新人に向けて、より楽しく仕事や学習をするための10の心掛けを紹介していきます。
コンピュータやネットワーク、プログラミングなどIT業界に興味が出てきたらこんなことを試してみましょう。
■ 其の一、本や雑誌を買って読むべし
初めは専門用語や、さまざまな話題に関して、知らないことばかりかもしれません。これは、コンピュータサイエンスを専門に学んできた人や、研究に従事してきた人にとっても無縁ではありません。会社によっては、独自の省略用語があったり、業種によっては、知っていて当然と思われる業務知識もあるでしょう。
また、初めのうちは言葉を追っていくことだけで必死になるかもしれませんが、ある程度は物事が分かってきて、その知識量がある一定のラインを超えると急に楽しくなってくるハズです。
書店で手に取って買うか買うまいか悩む本があるかもしれません。本との出合いは一期一会であり、ここで逃すと二度と読む機会がないかもしれません。書籍代は自分への投資だと思い、たくさんの良質の書籍から学ぶようにすると、急にではないですが、じんわりと基礎力が付くはずです。
さまざまな技術的情報は、Webで読んだり検索して調べたりすることができますが、ある専門的な事柄を網羅的に知ることができるのはやはり「書籍」です。また、読んだだけで分かったつもりにならず、実際に手を動かして試してみることも大切です。一度手が覚えたノウハウや手順は、必ず近い将来役立つことでしょう。
■ 其の二、分からないことは、なるべく自分で調査するべし
分からない言葉や事柄は放っておかず、すぐに調べるクセを付けると、人物としての評価が上がると考えています。詳しい人に聞けばすぐに分かることも多いですが、手間暇を惜しんではいけません。
まずはじっくりと調べて、分からないことを分からないなりに掘り下げるようにしましょう。じっくり考えたり調べた後に詳しい人から説明を聞くのと、そうでないのとでは、意識や記憶に残る度合いが違います。
また調べたことはメモとして書き残しておく。これは誰かに説明するためではなく将来の自分へ向けてのメモです。
習熟するにつれて、調べるより人に聞いた方が早くて有益だと判断することもあるでしょうが、学生や新人のころは、たくさん悩んでたくさん考えることを心掛けるのが得策です。十分調べたり考えた後であれば、専門家も親切に教えてくれるはずです。
■ 其の三、お気に入りのWebサイトを見つけて読むべし
さまざまな事柄を調べていると、日本語・英語ともども、さまざまなブログやニュースサイトにめぐり会うことができます。有益なブログやサイトを見つけたときは、すかさずブックマークしておき、定期的に巡回するようにしましょう。
英語が不得意だと感じている人も、自動翻訳などを併用しながら、なんとなくでも良いので、英語のページに親しむようにすると、最新の情報に触れることができ、確実に世界が広がります。
| Podcastでプログラマーに必要な英語をStudyしよう! 安藤幸央のランダウン(34) 英語に対する苦手意識を克服し、コンピュータ分野に特化した英語を学習する方法の1つとして、海外のさまざまなPodcast/Videocastを紹介 「Java Solution」フォーラム 2007/5/10 |
■ 其の四、社内外に向けて情報発信するべし
日々の仕事や調べ物の中で得た気付きや、発見、まとめた情報は、社内外の仲間と共有することを心掛けましょう。
ここで出し惜しみをしてはいけません。
新しく知ったノウハウをすべて実践できる人はそう多くはいません。ライバルが多くなると考えるよりは、協力者や情報提供してくれる仲間が多くなると考えることができます。情報は発信する人の元に集まってきます。
また気を付けなければいけないのは、仕事上で知った機密事項を安易に勝手に誰でも見ることのできる状態で公開してはいけないことです。社内規約や就業規則を守った中、適切な発表手続きを踏んだうえで社外へ情報発信するようにしましょう。
手間が掛かり、面倒な事務手続きなどがあるかもしれませんが、長い目で見ると、確実に大きなリターンがあることでしょう。
■ 其の五、勉強会やセミナーに出席するべし
首都圏で活躍されている方々へは、数多くの展示会やセミナー、無料のセミナーから有料のセミナーまで数多くのイベントが開催されていますから、積極的に足を運ぶことをお勧めします。都心であれば、無料のセミナーも多く、最近では「ハッカソン」と呼ばれるプログラミングセミナーも開催されています。
多くの自分と同じような技術者と交流することは、自分の力を実感するとともにモチベーションアップに大いに役立ちます。
発表をコンパクトにまとめてレポートしたり、積極的に質問するなど、有益に活用しましょう。大勢の人の前で質問するのが恥ずかしければ、発表後の講演者が壇上を降りたところをつかまえて質問する方法もお勧めです。
@ITには「イベントカレンダー」があり、Googleカレンダーの共用カレンダーにも「IT勉強会カレンダー」というものがあります。全国で開催される数多くのセミナーが毎日多数登録されています。
また、地方在住でそうそう気軽に都内のセミナーに参加できない場合は「ウェビナー」と呼ばれる、Web上のセミナーや、YouTubeに登録されているセミナーのビデオなどを探して自学自習するといいでしょう。
■ 其の六、専門家であるべし、さらに多くの“基本”を網羅的に知っておくべし
どういう将来像を描いて仕事をするにもよりますが、何でも詳しく知っている人はなかなか難しいものです。それであれば、「○○の分野なら、自分が第一人者だ」と周囲に認めてもらえるようにある特定の事柄の専門家であるべく興味ある分野を掘り下げるのがお薦めです。
また、相反するアドバイスに聞こえるかもしれませんが、ある特定分野の周辺にも詳しくなることによって、得意な専門分野の知識をさらに生かすことができます。
複数の知識があることによってブレイクスルーが得られる事象も存在します(例えば、プログラミングのバグだと思っていたら、ネットワーク設定のミスだったというようなときや複数の事象が組み合わさって不具合が生じているときなど)。
また、最新技術も重要ですが、新しいことばかり追いかけず、基礎的なことも学ぶようにしましょう。ITの世界は、そうそう歴史があるわけではないので、基礎的な事柄は長く広範囲にわたって役立ちます。
■ 其の七、誰が何を知っているのか、人的ネットワークを広げるべし
IT分野は複雑で広範囲にわたっているため、1人ですべての専門家になるのは難しいことです。例えば、Java言語1つ取っても、携帯電話での利用、サーバサイドでの利用、デスクトップでの利用と、大きく分野が違います。
そこで1人ですべてを把握するのは無理と認識し、外部リソースを活用するのです。つまり、「誰々に聞けば、分かりそう」「誰々が詳しい」といった、人的ネットワークを築き、広げていくのです。逆に、「○○の分野なら、自分に任せておけ!」といった分野を持つことによってより頼りにされる機会が増えることでしょう。
■ 其の八、自分のコンピュータと気に入った新しい携帯電話を持つべし
仕事でさんざんコンピュータに触るのだから、家でまでコンピュータに向き合いたくないという人もいるかもしれません。
最近は高性能のパソコンも安価に手に入れることができます。さまざまなツールを試したり、インターネットを活用して情報を得たり、オンラインショッピングをしたり、生活を豊かにする仕組みとして活用しない手はありません。
コンピュータに仕事としてかかわるだけでなく、普段、実際に使う人としてかかわることによって、ものづくりをする心配りが得られるようになることでしょう。
また、最新の携帯電話や、スマートフォンを手に入れることを考えてみてください。携帯電話を活用し、移動中などちょっとした時間で情報を得たり、学んだりすることに生かせます。
■ 其の九、1つのプログラミング言語だけではなく複数の言語を使いこなすべし
仕事の都合で何でも選択できるわけではないとは思いますが、複数のプログラミング言語を学ぶとより実力が付くことでしょう。メジャーなプログラミング言語だけではなく、手軽に自分用のツールなどを作ることのできるいくつかのスクリプト言語に習熟しておくのも得策です。
将来的に設計やマネジメント、上流工程の担当を目指している人も、プログラミングの素養があるとないとでは、長い目で見ると大きく能力の差が生まれてくることでしょう。
不具合が生じたときの対応や、どれくらい作業工数が掛かるのか正確な見積もりをするとき、パフォーマンスを得るためのアーキテクチャを考えるときなど、さまざまな場面で役立つことでしょう。
また、OSに関してもWindowsだけではなく、LinuxやSolarisなどUNIX系のOSも学ぶよう心掛けると、仕事の幅が広がります。
■ 其の十、適切なメモを取るクセを付けるべし
特に、学生時代は授業の中でこそ時間割があり、細かくスケジュールが規定されます。その一方、日々の行動内容を細かくスケジューリングする機会は少ないかもしれません(アルバイトにいそしんで、分刻みでスケジュールが詰まっている人もいるかもしれませんけど)。
さまざまな仕事のうち、特に複雑な仕事の場合は、作業ログを取ることを心掛けましょう。これはミスをしたときに原因を探る意味と、誰かにノウハウや方法を伝えるとき、将来の自分が再度同じ作業をするときに効率化するための意味があります
また、手帳でもメモでもいいので、時間を管理するようなクセを付けましょう。学生時代と社会人の大きな差は「時間」だといってもいいでしょう。自分の行動をプロファイリングして適所をチューニングすれば、より効率よく時間が使えようになることでしょう。だらだらと仕事することなく、ON(仕事)でもOFF(遊び)でも有意義な時間を過ごすことができるでしょう。
■ “当たり前”の継続は難しいが、誇り高い技術者を目指せ
ここまで紹介した事柄を少しずつでも実践していけば、モチベーション高く、楽しく仕事をしていくことができるでしょう。
“当たり前”のことばかり述べているようですが、実際にこれらすべてを充足するのは大変難しいことです。それぞれ自分の得意な部分から広げていき、役立てるとともに苦手な部分も意識し、継続して挑戦していけばよいでしょう。
IT技術者は歴史の浅い職業です。
遠い将来も全自動で何でもできるコンピュータが登場するとはあまり考えられず、技術者という職業はますます重要な意味を持ってくると考えられます。学生や新人の皆さんにも、よりコンピュータや、ネットワークの仕組みに興味を持ち、誇り高い技術者を目指してほしいものです。
次回は2009年5月初めごろに公開の予定です。内容は未定ですが、読者の皆さんの興味を引き、役立つ記事にする予定です。何か取り上げてほしい内容などリクエストがありましたら、編集部や@ITの掲示板までお知らせください。次回もどうぞよろしく。
■ 関連書籍
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| プロフィール |
安藤幸央(あんどう ゆきお) 1970年北海道生まれ。現在、株式会社エクサ
マルチメディアソリューションセンター所属。フォトリアリスティック3次元コンピュータグラフィックス、リアルタイムグラフィックスやネットワークを利用した各種開発業務に携わる。コンピュータ自動彩色システムや3次元イメージ検索システム大規模データ可視化システム、リアルタイムCG投影システム、建築業界、エンターテインメント向け3次元
CG ソフトの開発、インターネットベースのコンピュータグラフィックスシステムなどを手掛ける。また、Java、Web3D、OpenGL、3DCG
の情報源となるWebページをまとめている。ホームページ Java News.jp(Javaに関する最新ニュース) 所属団体 OpenGL_Japan (Member)、SIGGRAPH TOKYO (Vice Chairman) 主な著書 「VRML 60分ガイド」(監訳、ソフトバンク) 「これがJava だ! インターネットの新たな主役」(共著、日本経済新聞社) 「The Java3D API仕様」(監修、アスキー) |
安藤幸央のランダウン バックナンバー 連載インデックスへ»
- 第1回 Javaを速くするための心構え
- 第2回 サーバサイドで進化するグラフィックス
- 第3回 ユーザビリティ(使いやすさ)の大切さ
- 第4回 Javaプログラマのお役立ちサイト
- 第5回 伝説のイベントJava Night
- 第6回 次世代のインターネット言語curl登場!
- 第7回 次世代を予感させるグリッドコンピューティング
- 第8回 音声はコンピューティングを変える?
- 第9回 GoogleをWebサービスから利用するAPIの登場
- 第10回 これは使える!Java風スクリプト
- 第11回 PtoPはいよいよビジネスのステージに
- 第12回 ハリウッド映画並のCGがPCに到来する日
- 第13回 知的ゲーム「Robocode」でJavaのチャンピオンに
- 第14回 海の上のJava Night
- 第15回 Java版テラリウム? ただいま開催中
- 第16回 進化したアプレット、Viewletとは?
- 第17回 Eclipse:新しい開発環境モデルの誕生
- 第18回 Webサービス、どこまで実用になっている?
- 第19回 SWTは本当に高速なGUIを実現するのか?
- 第20回 JavaOne 2003の注目トピックを振り返る
- 第21回 SIGGRAPH 2003に見るJavaの進化
- 第22回 AmazonWebサービスの可能性
- 第23回 オープンソースの検索エンジン登場
- 第24回 技術者の祭典JTC BOFとJava Night
- 第25回 リッチクライアント時代の到来
- 第26回 Eclipse 3.0のリッチクライアントとは?
- 第27回 データ中心型、簡単リッチクライアントJDNC
- 第28回 浸透する新世代のシンクライアント
- 第29回 WebプログラマはRailsに乗るべきか?
- 第30回 Ruby On Railsのチームに学ぶ仕事術
- 第31回 JavaプログラマはAjaxに乗るべきか
- 第32回 Java SE 6へ移行する理由と移行をとどまる5つの理由
- 第33回 見つけて得するソースコード専用の検索エンジン
- 第34回 Podcastでプログラマーに必要な英語をStudyしよう!
- 第35回 人気のAPI/フレームワークを作るための39カ条
- 第36回 あなたのサイトはiPhoneで見られますか?
- 第37回 バッチ処理はJavaでバッチリ?その現状とこれから
- 第38回 Cometに代表されるサーバ・プッシュ技術の復権
- 第39回 ソースコードの宝石箱、●●Forgeを見逃すなかれ
- 第40回 Webアプリ開発環境としてのSafariを知ってますか?
- 第41回 夏休みに世界へ挑戦! プログラミングコンテスト
- 第42回 開発者が知っておくべきJavaと仮想マシンの歴史
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1970年北海道生まれ。現在、株式会社エクサ
マルチメディアソリューションセンター所属。フォトリアリスティック3次元コンピュータグラフィックス、リアルタイムグラフィックスやネットワークを利用した各種開発業務に携わる。コンピュータ自動彩色システムや3次元イメージ検索システム大規模データ可視化システム、リアルタイムCG投影システム、建築業界、エンターテインメント向け3次元
CG ソフトの開発、インターネットベースのコンピュータグラフィックスシステムなどを手掛ける。また、Java、Web3D、OpenGL、3DCG
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