
工事進行基準を現実に浸透させるためには
2009/6/11
2009年4月、日本のIT業界は1つの転機を迎えたといえる。いままでほとんどのSIerや受託開発企業が採用してきた「工事完成基準」による売上計上が、「工事進行基準を原則的に適用すべき」と変更されたからだ。
強制適用ではないため、まだ工事完成基準を採用することも可能だが現在、ヨーロッパ各国や国際会計基準審議会(IASB)が中心となって、世界の会計基準を「IFRS(International Financial Reporting Standards)」に統一しようという大きな流れがある。そして、独自の会計基準を採用している日本では、序々にIFARSに沿う形に変更していく「コンバージェンス」を行っている最中だ。このようにコンバージェンスが行われているため、日本においても将来的に強制適用になる可能性がある。
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一方で、「では実際、現場の開発プロジェクトでは何をしなければならないのか?」という疑問も湧きあがる。すでに適用が始まっている現在、工事進行基準の適用を迫られているSIerや受託開発企業は何をしなければならないのか。今回はこの疑問に応えるべく、「5分で絶対に分かる工事進行基準」の著者でもあるトーマツイノベーション 経営コンサルティング本部 シニアマネジャー 安達裕哉氏に話を聞いた。
まずは工事進行基準を理解しよう
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ではまず、工事進行基準の概要を理解しよう。工事進行基準とは、日本の会計基準が変更されたため、ソフトウェア/システム開発の売り上げを計上するタイミングが、「その時点での進ちょく度合いに応じて少しずつ計上する方法」になったことを指す。従来は、主に「完成時に一括計上する方法」を採用していたため、大きく異なる。
進行基準の対象企業は、IT業界ではユーザーの要望でソフトウェアやシステムなどを開発するSIerや受託開発企業だ。企業規模は関係ないが、税制改正によって「1年以上の工期、請負金額10億円以上」の長期大規模工事は、進行基準が強制適用になっている。従って、多くの上場企業や大型案件を抱えるSIerなどは、基本的に進行基準を適用しなければならないといえる。
進行基準はデスマーチをなくす救世主になり得るのか
そして、この工事進行基準に対応するうえで重要なのは、「見積もりの精度を上げること」だと安達氏はいう。
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| トーマツイノベーション 経営コンサルティング本部 シニアマネジャー 安達裕哉氏 |
進行基準を適用するためには4つの条件があるのだが、その条件には“信頼性をもって”、見積もりを行ったり、売上総額を明確にしたり、進ちょくを見積もらなければならないからだ。特にプロジェクト進ちょく度の見積もりは非常に難しいポイントでもある。このため、見積もり精度を上げることが非常に重要なポイントになるというのだ。
ただし、この点については実現が難しい背景もある。日本のソフトウェア/システム開発においては、初期段階で要件定義を明確化せずにあいまいなままスタートし、作りながら修正を加えていくパターンが多い。しかし、この方法では初期段階で正確な見積もりを出すことが非常に難しいからだ。
このため、進行基準に対応するためには、営業部員に大きな負荷が生じることが予想されると同氏は指摘する。従来の商習慣を変えて、ユーザーに要件定義を詰めてもらわなければならないうえに、「何を作ったらいくらになるか」「仕様変更したらいくらか」といった点もユーザーと協議しなければならないからだ。
一方で、進行基準にするメリットもある。前述のように、進行基準ではあらかじめ仕様を明確化し、納品物などに対してもユーザーの合意を得ているため、ユーザーからのクレームや仕様変更要求が減る可能性が高いからだ。この点については、営業部員だけでなく、仕様変更で大きな負担を強いられる開発部員にとっても大きい。
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ホワイトペーパー(TechTargetジャパン)
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