ガートナーアナリストが講演
SOA、失望を超えて注目される理由
2008/07/15
米ガートナーのバイス プレジデント兼最上級アナリストのロイ・シュルテ(Roy Schulte)氏は7月15日、イベント「ガートナー SOAサミット 2008」で講演した。シュルテ氏はSOAについて「俊敏性を獲得するのが基本的な目的」と指摘した。
米ガートナーのガートナー リサーチ バイス プレジデント兼最上級アナリストのロイ・シュルテ氏日本企業を含めてITを経営に活用するのは一般的で、一部には「コモディティ化したITでは企業は差別化できない」との指摘もある。シュルテ氏はこの指摘に対して「ITで差別化はできるが、それは短期的な差別化だ」とコメント。ITによって長期的な差別化や優位性を実現するには「テクノロジ以外の設計パターンや開発手法、ガバナンスが重要になる」と話した。「同じ技術を使ってもある企業は成功し、ある企業は失敗する。重要なのは方法だ」
シュルテ氏は企業がITを使って長期的な優位性を保つには、「俊敏性」「仮想企業」「無遅延型企業」「状況認識」という4つの戦略と、その戦略を実現するための設計パターンとしてSOAが必要になると説明した。
俊敏性とはビジネスの変化を先取りして、ITシステムやビジネスプロセスを素早く変化させる能力で、疎結合がベースのSOAが実現する。最近はWSDLやSOAPなどのWebサービス技術のほかに、RESTも注目されていて、「SOAも変わってきている」とシュルテ氏は語る。「米国ではREST対Webサービスの議論があるが、私は両方必要だと思う」
仮想企業とは、企業内のアプリケーション、事業部門、企業の境界を越えてシステムがつながること。SOAによって「システムのシステム」を実現し、迅速なトランザクション処理を行えるようにする。
また、無遅延型企業の実現とは、決済や受注処理、流通、照会などビジネス処理の高速化が求められる市場環境で、いかに企業の業務プロセスをスピードアップするかということだ。これまでは夜間のバッチ処理で行っていたような業務プロセスをできる限りリアルタイムで行うことが求められる。この高速な業務プロセス処理はSOAをベースにした「イベント駆動型アーキテクチャ」(EDA)が必要とシュルテ氏は語る。
さらに、状況認識能力の向上とは、企業がさまざまなビジネス上のイベントに敏感になることを指す。従来の業務プロセスから生まれるイベントだけではなく、Webから発信されるイベントや、他社の業務プロセスから生まれるイベントも的確に認識する必要があるとして、シュルテ氏は「企業は、周りの状況を敏感に感じ取るシマウマのようにならないといけない」と話した。
SOAという言葉は1996年にガートナーが提唱し生まれた。当初は最先端の企業だけが取り組む特別なアーキテクチャだったが、概念の広がりと共に「2次、3次のSOAプロジェクトに取り組む企業もある」(シュルテ氏)ほどに広がってきた。しかし、同時に期待が裏切られたことによる失望も一部にはある。 SOA構築には初期投資が必要だが、そのメリットは構築当初ではなく、後になって得られるからだ。シュルテ氏は「SOAは長期的なメリットをもたらす。新しいプロジェクトをSOAなしで構築することは現実的ではない」と強調した。
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