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 2009年9月25日、都内で仮想化ソリューションセミナー実行委員会が主催する「第2回 仮想化ソリューションセミナー 〜仮想化からその先へ ― 次世代の企業ITシステムを支える最新技術とは〜」が開催された。仮想化技術の進展を反映してユーザー事例を含む講演が行われた。

 基調講演では、大和証券株式会社 常務取締役の鈴木孝一氏が『ニーズありきの仮想化がサプライズを生む――技術偏重からの脱却――』と題して、大和証券におけるシステム構築、IT投資に関する紹介を行った。ここで鈴木氏は、ベンダやメーカー任せにしない、ユーザーサイドのマインドとノウハウについて語った。

 セミナーは「ビジネストラック」と「テクニカルトラック」に分かれ、全体で12のセッションが行われた。以下では「ビジネストラック」の中から3つのセッションの概要を紹介する。

イベントレポート インデックス
『運用管理コストの削減に効果 ITインフラの全体最適を目指す「仮想化」の導入事例』 ‐ F5ネットワークスジャパン
『仮想化運用管理への対応強化が進むマイクロソフト社との協業 〜コスト効果と相互運用性の向上がもたらすメリット〜』 ‐ ノベル
『仮想化環境のデータ保護 事業継続ソリューションで来るべきクラウド時代に備える』 ‐ シーティーシー・エスピー
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ビジネストラック:F5ネットワークスジャパン
『運用管理コストの削減に効果〜ITインフラの全体最適を目指す「仮想化」の導入事例』

F5ネットワークスジャパン
マーケティング シニアプロダクトマーケティング
武堂貴宏氏

 ビジネスセッション1ではF5ネットワークスジャパン(以下、F5)の武堂氏が『運用管理コストの削減に効果〜ITインフラの全体最適を目指す「仮想化」の導入事例』と題して、「ネットワーク仮想化」「ストレージ仮想化」「仮想サーバと連携するネットワーク」をテーマに講演した。

 ネットワーク仮想化はADC(アプリケーション・デリバリ・コントローラ)の機能としてもたらされる。これはシステムごとに設置・稼働する複数のADCによる“論理集約”と“論理分割”の2つ方法の組み合わせとして実現される。

 論理集約は、ネットワークリソースを共有して共通基盤化するもの。リソースが不足した場合、ネットワークの再設計やシステムの停止をすることなく、単純にネットワーク機器を追加するだけでネットワークを拡張できる。

 例えば、F5が提供するシャーシ型のBIG-IP「VIPRION」は、1つのシャーシに最大4枚のブレードを搭載することができる。最初はブレード1枚で運用を始め、必要に応じてブレードを追加できる。これは、ネットワーク再設計やダウンタイムを伴わずに実行できる。

 一方の論理分割は、ネットワークのルーティング範囲および、管理範囲を分割するもの。異なる業務システムと同じプライベートIPアドレスを利用している環境で、1つのネットワークに集約しようとするとIPアドレスが重複してしまい、アプリケーションの改修が必要になることがある。また、通常はアプリケーションごとに管理者グループは別なので、運用の独立性のために集約できない場合もある。

 F5のBIG-IPでは、ルートドメインと管理ドメインを使ってアプリケーションの運用範囲を論理的に分割できるので、ネットワークの集約を行っても、複数のネットワークデバイスで運用してきたときと同じ独立性を保つことができる。

 次にストレージ仮想は、ユーザー(クライアントマシン)やアプリケーションが直接、ファイルサーバを物理マウントするのを切り離し、その間に仮想レイヤー(グローバルネームスペース)を導入するものだ。

 武堂氏は、「今日のファイルストレージ環境は、ファイルの使用頻度やディスク使用量のばらつきに対応できず、非効率が生じている」と指摘する。ここにF5の「ARX」が提供するストレージ仮想化を導入することにより、ユーザーにとっての従来と同じ使い勝手を保持しがら、管理者はデータのバックアップやマイグレーション、ディスクの追加割り当てなどをシステムを停止することなく行えるようになる。

 また武堂氏は調査データを示して「一般に、ディスクの中の保存されているファイルのうち、過去180日間にアクセスされたものは全体のうちの20%にすぎない」としたうえで、ファイルストレージの仮想化を使った階層管理(ティアリング)を提案する。F5のARXを導入すると、ファイルのアクセスを監視して長期にアクセスのないものを2次ストレージ(大容量で安価なストレージ)に自動的に移動し、この移動ファイルにアクセスがあったら再び1次ストレージ(高速ストレージ)に戻すという作業が自動化できる。こうしたストレージの使い分けにより、コスト削減ができるという。

 最後に武堂氏は、仮想サーバの性能を引き出すネットワークについて触れた。これを実現するのに必要な要素の1つ目は、ネットワークによる仮想サーバのヘルスチェック機能。何らかの問題があって仮想マシンが再起動したとき、その間にBIG-IPが負荷を割り振ってしまうと、外部からはサービスが止まっているように見える。そこで武堂氏は仮想サーバが止まったら、それをネットワークが検知して振り分けを止め、ゲストOSとサービスの起動が完了したら振り分けを再開する仕組みが必要だとした。

 2つ目は仮想マシンのオーバーヘッドを減らすために、VMWareやHyper-Vを稼働するサーバの負荷――例えばSSL暗号化やトラフィック圧縮などをネットワーク側にオフロードすること。こうしたネットワークを導入することで物理サーバのVM稼働率を向上できる。

 そして3つ目が仮想サーバ側の動的なリソースプロビジョニングに対応したネットワーク。例えば、ある仮想マシンを立ち上げて処理能力を増やしてもネットワーク側が検知できないと負荷の振り分けは開始されない。BIG-IPで仮想マシンの自働稼働や縮退を検知すれば、迅速かつ自動的にスケールアップ/スケールダウンするシステムが構築できる。

 武堂氏は、「サーバ仮想化するならネットワーク仮想化、ストレージ仮想化をぜひご検討いただきたい。さらにVMWareやHyper-Vをお使いのお客さまはそれに適したネットワークを構築することで、コストメリットが高く、運用管理負荷の低いシステムを構築できるはず」と締めくくった。

さらに詳しい資料を、TechTargetジャパンでご覧いただけます。
【運用管理コストの削減に効果】
ITインフラの全体最適を目指す「仮想化」の導入事例

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 関連リンク: F5ネットワークスジャパン 



ビジネストラック:ノベル
『仮想化運用管理への対応強化が進むマイクロソフト社との協業 〜コスト効果と相互運用性の向上がもたらすメリット〜』

斉藤氏
ノベル
パートナー&アライアンス営業統括部 統括部長
斉藤雅美氏

 ビジネスセッション2では、ノベルの斉藤雅美氏が『仮想化運用管理への対応強化が進むマイクロソフト社との協業 〜コスト効果と相互運用性の向上がもたらすメリット〜』と題して講演を行った。

 斉藤氏はまず、「今日のIT投資環境は厳しくコストプレッシャーは高まっているが、戦略的なIT投資だけは確保しなければならない。これが消えてしまうといざ景気が回復したときにいち早く立ち上がることができない」としたうえで、喫緊の課題は予算の確保だとした。そして、IT予算確保のために、いますぐに削減できるものは固定費――すなわち運用管理費や保守費などであり、その見直しを提唱した。

 ノベルでは現在、他社製Linuxを使っている企業が対象のプログラム「Replacement Program」を展開している。これは、2年の間にノベルの「SUSE Linux Enterprise Server」に移行することが条件で、当面は既存Linuxディストリビューションをそのまま使い続け、保守をノベルにするだけで50%以上の割引率を適用するというキャンペーンだ。

 例えば、100台を更新する場合なら年間480万円以上の削減になるという。「50%以上という表現になるのはあくまでも最低値引き額とお考えいただいてかまわない」(斉藤氏)。移行期間中、他社製Linuxのパッチもノベルがデリバリし、移行サポートツールの提供、移行費用負担などの提案もあるという。

 続けて、斉藤氏はその「SUSE Linux Enterprise Server」の優位性を語った。

 まず、「仮想環境のうえで使うゲストOSとしてLinux OSを検討する場合、ぜひSUSEを検討してほしい」と訴えた。それはライセンスが物理サーバ単位での課金になっており、1台の物理サーバ/ホストOSの上にいくつSUSEを立ててもライセンス料金は1台分だからだという。また、パフォーマンスについてもベンチマーク値を示して、VMWare ESX、Hyper-V、XenのどのVM上でも最速であることを説明した。

 Hyper-Vでは「パラバーチャルドライバーを入れるとネイティブに近い値」(斉藤氏)になるとしたが、これはノベルとマイクロソフトは相互に技術者を出し合って共同開発したもの。ノベルはマイクロソフトと技術面だけではなくビジネス面でも提携しており、マイクロソフトはSUSEのライセンスを大量にノベルから仕入れて提供しており、ノベルにとってマイクロソフトは世界最大のディストリビュータだという。

 また、SUSEに同梱されている「Xen」も仮想化ソフトウェアとしては極めて安価であるため、企業インフラの中でエッジ部分に当たるサーバを仮想化する際に導入される例が増えていることを紹介した。

 続けて斉藤氏は、仮想環境の構築・運用に話を転じた。ノベルでは「PlateSpin」というツールを提供しており、仮想化の導入と運用管理を支援している。「PlateSpin Recon」はITインフラの現状を把握するツールで、どの機能を組み合わせて1台にまとめたらよいかなどが分かるというものだ。これに基づいてシナリオを組み立て、構築・マイグレーションを行う。「PlateSpin Migrate」はP2V(物理サーバから仮想サーバ)、V2V(仮想サーバから仮想サーバ)などを行うツール。i2i(イメージからイメージ)も可能で、自由に仮想・物理環境の移行ができる。「PlateSpin Orchestrate」は運用管理ツールで、自動化の機能があり動的なリソース割り当てやワークロード調整ができる。なお、「PlateSpin」は“ハイパーバイザーフリー”で、さまざまな仮想化ソフトウェアが混在した環境でも利用できる。

 仮想化導入はこのような流れで進めていくことになるが、斉藤氏は「この流れは1回で終わりではなくて、PDCAサイクルとして回すことが大切」と、仮想化自体を見直すことの重要性を強調した。

 さらに斉藤氏は、これからのデータセンターは“サービスを基本に考えたデータセンター”になるとして、「サービスドリブン・データセンター」となるために3つを考える必要があるとした。

 1つはビルド(構築)でミッションクリティカルであることに加えて、仮想化に適したOSを使うことが大切だとした。それを支援するためにノベルは「Just Enough OS」と呼ぶ製品をリリースするという。具体的には「SUSE Studio」というソフトウェア・アプライアンスを簡単に作り検証するシステムとして提供する予定だ。これは顧客の環境に合ったOSやミドルウェアを含めたソフトウェアスタックとしてDVD化するもので、それ全体がノベルによるサポート対象となる。「SUSE Studio」はSIerやデータセンター向けに提供されるもので、11月に詳細が明らかになるという。

 次にマネージ(管理)――すなわちデータセンター管理で、ノベルとしては上述の「PlateSpin」が該当する。3つ目のメジャメント(評価)は、データセンターの可視化だ。「仮想化された環境は常に変わるので、常時見直しを行っていかなければいけない」(斉藤氏)ので、現状を把握して関係を理解したうえで手を打つことが求められる。こうしたソリューションもノベルが提供していくした。

さらに詳しい資料を、TechTargetジャパンでご覧いただけます。
仮想化運用管理へ対応強化が進む マイクロソフト社との協業
-データセンターのコスト削減策と今後の方向性

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 関連リンク: ノベル 



仮想化セミナー ビジネストラック:シーティーシー・エスピー
『仮想化環境のデータ保護 事業継続ソリューションで来るべきクラウド時代に備える』

シーティーシー・エスピー
営業推進部 井上悦義氏

 ビジネスセッション3では、シーティーシー・エスピーの井上悦義氏が『仮想化環境のデータ保護 事業継続ソリューションで来るべきクラウド時代に備える』と題して講演を行った。

 井上氏はまず、仮想環境におけるデータ移行とデータ保全に関する問題を指摘した。物理環境においてはサーバ1台にストレージ装置を1台接続するという構成が一般的だ。それに対して仮想環境では複数の仮想マシンがストレージを共通して利用できるように共有ディスクを導入することになる。

 したがって仮想化を導入する際にはシステムごとに設置されていたストレージ内のデータを共有ディスクに移行する作業が発生する。単純にコピー機能を使ってディスク内容を移行しようとすれば、ディスクへの書き込みが発生しないようにシステムを停止することが望ましい。つまり、「ダウンタイムが必ず生じる」(井上氏)のである。

 これはデータ保全のためのバックアップでも同じだ。1アプリ‐1サーバ(1ストレージ)環境ではバックアップ作業を、夜間などのシステムが“非稼働”な時間帯に行うことが多い。しかし、仮想環境おける共有ディスクでは複数のアプリケーションが稼働しているために、1日24時間のうちでディスクアクセスのない時間帯はほとんどないと考えられる。

 こうした状況で効率的なディスク移行/保全を行う方法として、井上氏が提案するのが「Double-Take」である。これはWindowsとRedhat Linuxに対応したレプリケーション&フェイルオーバー・ソフトウェアだ。

 Double-Takeの基本機能は非同期のレプリケーションである。ソース・サーバで発生したデータをリアルタイムにターゲット・サーバに送る。ハードウェアベースのレプリケーションシステムやクラスタリングソフトウェアに比べれば、遥かに安価なシステムが構築できる。

 井上氏はDouble-Takeをバックアップに使うメリットとして「直前までのデータを複製できる」ことを挙げる。一般的なテープバックアップの場合、最終バックアップ時と障害発生時の間のデータはロストすることになるが、Double-Takeではリアルタイムに複製を採るため、失われるデータはほとんどない。また、Double-Takeはフェイルオーバー機能を持ち、特別なリストア作業なしに障害からの復旧が行える。

 Double-Takeの送信元と送信先は、物理サーバ/仮想サーバを問わず、アプリケーション、データベース、ファイルサーバのいずれにも対応する。また、データを圧縮して転送する機能や転送に利用する帯域幅を制限する機能があるので、ナローバンド環境からデータ転送しなければならない場合でも、通常業務への影響を最小化できる。

 Double-Takeのレプリケーション機能はデータ移行でも威力を発揮する。例えば仮想環境を構築して仮想サーバを立ち上げ、物理サーバからのマイグレーションを行う場合、物理サーバのアプリケーションを止めてデータコピーを行うのではなく、物理サーバから仮想サーバへのレプリケーションを設定して並行稼働させれば、ダウンタイムなしにデータ移行が完了する。このとき、ハードウェアに依存するデバイスドライバなどについてDouble-Takeが自動判別して、選択的な移行を行うので、物理/仮想といった環境の違いを吸収したうえで移行や切り替えが行える。

 なお継続的なレプリケーションではなく、一時的なマイグレーションだけを行いたい場合には「Double-Take Move」があるという。これはDouble-Takeとほぼ同等の機能を30日限定で提供する特別ライセンスだ。

 加えて井上氏は「Double-Take Cargo」を紹介した。これはディスクの空き容量やアクセス履歴などを見たうえで、例えば3カ月以上アクセスのないデータを別ストレージにアーカイブするDouble-Takeのオプション製品だ。安定稼働のために高価なストレージ装置となりがちな共有ディスクを効率的に使うことをサポートする。

 井上氏は最後に「Double-Takeは、データ移行に加えてデータ保全や事業継続を適切なコストで行える製品だ」と述べて、講演を締めくくった。

さらに詳しい資料を、TechTargetジャパンでご覧いただけます。
仮想化環境のデータ保護
事業継続ソリューションで来るべきクラウド時代に備える

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 関連リンク: シーティーシー・エスピー 



提供: F5ネットワークスジャパン株式会社
ノベル株式会社
シーティーシー・エスピー株式会社

企画:アイティメディア 営業局
制作:@IT情報マネジメント編集部
掲載内容有効期限:2009年11月13日


イベントレポート インデックス
『運用管理コストの削減に効果 ITインフラの全体最適を目指す「仮想化」の導入事例』 ‐ F5ネットワークスジャパン
『仮想化運用管理への対応強化が進むマイクロソフト社との協業 〜コスト効果と相互運用性の向上がもたらすメリット〜』 ‐ ノベル
『仮想化環境のデータ保護 事業継続ソリューションで来るべきクラウド時代に備える』 ‐ シーティーシー・エスピー

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ネットワーク機器も集約と仮想化することでどのような効果があるのあだろうか? ネットワークリソースを共有、余剰投資を回避できること。アプリケーションやトラフィックの成長に合わせて簡単に拡張できること

提供:F5ネットワークスジャパン 

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コスト削減効果、仮想化した際のパフォーマンス・管理の課題をクリアした仮想化運用のポイントを伝授。また、今後のデータセンターを構築する上で注意すべきポイントとノベルが提供できるサービスをお伝えする。

提供:ノベル 

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コスト削減の切り札「サーバ仮想化」にも課題がある!それが、仮想化環境導入‘前’に発生するデータ移行だ。また仮想化環境導入‘後’には1ホスト上で複数の業務が稼働するため、効率の良いバックアップが必要だ。

提供:シーティーシー・エスピー 


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