store management
トヨタ生産システムのかんばん方式の基本原理を、事務・営業・開発などのホワイトカラー作業に適用して仕事の見える化を行い、現場での自律的な作業負荷の平準化をうながしたり、プロセス改善を実現したりするマネジメント手法のこと。
まず一定の時間(2時間程度が多い)を作業単位として、小分けにした仕事を作業カード(作業指示書)に書き出し、これをストアと呼ぶ置き場(掲示ボードなど)に貼るなどして集中管理する。事務的な仕事は一般に不規則に発生するが、これを各担当者が属人的に管理するのではなく、すべてを集約して1列待ちの形に整理して管理するのである。これにより、全体のリードタイム短縮を図る。
作業者はストアから作業カードを1つずつ引き取り、作業を行う。このとき、1度に2つ以上の作業を引き取らず、手元の作業が終わってから次の作業に取り掛かるようにする。いわゆる「一個流し」を実現することで、作業者の頭の切り替えの無駄や段取りロスを縮小する。
また、ストアによってどの作業者にも作業待ち件数や作業効率などを見えるようにすることで、各自が果たすべき役割の自覚をうながすこともプラクティスの1つである。「目で見る管理」によって、現場で作業負荷と処理能力のばらつきを自律的に平準化したり、改善活動に主体的に取り組んだりできるようになる。
ストア管理は、コンサルソーシングの松井順一らが提唱、導入指導を行っており、一般事務や営業のほかにソフトウェア開発への適用事例もある。なお、ストアとはトヨタ生産システムにおける工程間の中間部材・予備部材(仕掛品)置き場のことで、後工程引き取りのかんばん生産の基点となる場所をいう。ここから、本手法で仕事の基点となる作業指示書の置き場を「ストア」と呼び、ストアによる管理という意味で「ストア管理」と名付けられた。
▼『職場の「かんばん方式」――トヨタ流改善術 ストア管理』 松井順一=著/日経BP社/2006年11月
▼『実践!! IT屋の「トヨタ生産方式」』 富士通プライムソフトテクノロジ=著/風媒社/2005年7月
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