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» 2017年08月09日 05時00分 公開

ユーザーが“自ら”アプリを改善するべき理由:「使われ続ける社内システム」ってなに? 四苦八苦アプリ改善の先にあるものとは (3/3)

[唐沢正和,ヒューマン・データ・ラボラトリ]
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ユーザーフレンドリーなインタフェースをどのように実現するのか:リクルートライフスタイル/サインウェーブ

 リクルートライフスタイルは、2013年に新事業として、無料で簡単に使えるPOSレジアプリ「Airレジ」の提供を開始。ユーザーは順調に増えており、2017年3月時点で27万9000アカウントに達しているという。

リクルートライフスタイル データマネジメントGの奥山晃次氏

 この「Airレジ」の普及促進を図るべく、2016年4月には、家電量販店との協業によるAirレジサービスカウンターを店舗内にオープン。現在は、家電量販店のパートナーを拡充し、全国にAirレジサービスカウンターを展開している。

 Airレジサービスカウンターのスタート当初は、販売パートナーとの業務環境をExcelで構築。しかし入力データの不備や業務負荷の増大などのさまざまな課題を抱えるようになっていた。「そこで、これらの課題を解消するツールとしてkintoneを採用。日々のデータを活用し、販売パートナーとのシームレスな情報連携と接客のPDCA実施によって、顧客に最高の利用体験を提供することを目指した」と話すのは、リクルートライフスタイルの奥山晃次氏。

 Excelベースの環境では申し込みデータの不備確認と修正を手作業で行っていたが、新システムでは入力チェック機能を組み込むことで、申し込みデータの3社間連携におけるリードタイムを最短化した。

 また、受発注データの管理では、閲覧権限を細かく設定するとともに、受注データの処理を自動化した。「発注業務を約10分の1に効率化し、発注処理効率を大幅に改善。接客情報の入力項目を拡充し、データの品質を高めたことで、1接客ごとの成約率が約4倍にまで向上した」(奥山氏)

サインウェーブ 鈴木佑介氏

 システム構築を手掛けたサインウェーブの鈴木佑介氏は、高いユーザビリティ実現への取り組みを紹介。「ドラック&ドロップで操作できる画面設計、ラベルやけい線などによるセクション表示によって、直感的なユーザーインタフェースを実現した。また、組織やユーザーごとに必要項目のみを表示するようにした」(鈴木氏)

 この他、スペース、アプリ、レコード、フィールドそれぞれにおいて、細かく権限を設定。その中で閲覧や編集などの最小限の機能と権限を解放し、できるだけ使いやすいようにシンプル化した。さらに、コミュニケーションにはメールではなく、アプリに付随しているコメント機能を利用。レコードに対してコメントを行うことで、部門間の認識の食い違いを起こりにくくした。

スペース、アプリ、レコード、フィールドにおけるそれぞれの権限設定の図

 「今回は、業務要件定義の段階から伴走をしたことで、業務上最適なシステム要件をユーザーと共に設計していくことができた。このことも、ユーザーフレンドリーなインタフェースの実現につながった」(鈴木氏)

業務要件定義から入ることで、ユーザーフレンドリーなインタフェースを実現

 最後に、奥山氏が再び登壇し、「私たちは実現したいこととして、『顧客に最高の利用体験を提供する』を掲げた。ビジネスのゴールを認識し、システムの設計を始めたのが今回の取り組みにおける成功の一番のポイントだった」と講演を締めた。


 エンドユーザーが使い慣れているシステムを変えようとすると、なかなか浸透しなかったり、反発が起きてしまったりすることも少なくない。しかし、業務プロセスは時代によって変わるものであり、「使われ続ける社内システム」を開発するには、業務部門のニーズに合わせて、UIを改善したり、機能を追加したりすることが必要となる。時にはシステム自体を入れ替えて、業務を効率化しなければビジネスで勝ち残るのは難しくなるだろう。

 今回紹介した3社とも、エンドユーザーにシステムを使ってもらうために、四苦八苦しながら工夫を凝らしている。今後、「使われ続ける社内システム」を開発するときの参考にしてもらえればと思う。

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