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» 2019年05月28日 10時00分 公開

こだわり駆動が全体を強くする:“個と個”がぶつかり合いながら融合する「未来の弥生」の作り方

UI/UXと実装がときに「バチバチやりあう」。それは“こだわり”を持っているエンジニア同士だからこその「衝突」なのだ。

[@IT]

 「弥生」は中小企業向け会計パッケージソフトだけの会社――というのは昔の話。

 現在の弥生は、クラウドをフル活用し、さまざまな金融サービスとのAPI接続を行い、クレジットカードや銀行口座の明細などを取り込む機能などを、モダンなアプリケーション開発で実現している“IT企業”なのだ。

 個人事業主向け確定申告ツールは群雄割拠の状態ながら、弥生の歴史とノウハウと信頼力、サポート力は強力である。創立41周年を迎えた企業ながら、最新技術を取り込みつつ「弥生クオリティー」の品質管理を死守し、ベンチャーに負けていない。

 前回の「意識改革編」では、大企業にありがちな事なかれ主義や縦割り主義などの状況に陥るどころか、現状に危機感を持ち、常に新しいことに挑戦している弥生の姿を紹介した。

 今回は、その弥生の中でも、特に“こだわり”を持つ2人のエンジニアに話を聞いてみた。弥生という企業が今、どのような挑戦を行っているか、彼らの働き方と考え方からひもといていこう。

元テクニカルライターがUI/UXのエキスパートに

 いきなり「私はエンジニアではないんです」と語るのは、開発本部 ビジネスプラットフォーム開発チーム プロジェクトマネジャーの飯塚隆一氏だ。

飯塚隆一氏

 飯塚氏はこれまで弥生の中で、マニュアルやサポート用のコンテンツを作ってきた。現在は、とあるきっかけから、弥生のプロダクトにおけるUI、UX制作に携わっている。

 大学卒業後は出版社で著名な指南書シリーズを手掛けるテクニカルライターとして働いていた飯塚氏。その後製品付属マニュアルの制作会社を経由し、3社目として入社したのが弥生だ。当初はそのスキルを買われマニュアル制作に携わっていたが、マニュアルを書いているうちに、プロダクトの使い勝手の問題が見えてきたという。

 「そういった問題に対して『この画面はこうしたらいいのでは?』というようなことを延々と提案していったら、いつの間にか『じゃあ、それをお前がやれよ』ということになった」と、飯塚氏は現在の仕事につながったきっかけを語る。

 「だから私は今も、自分はエンジニアというよりもテクニカルライターだと思っています。インタラクティブなマニュアルを作る感覚でUIを作っているつもりです。マニュアルを分かりやすくするよりも、UIを変えた方がお客さまに対する効果が高いときはそうします、そういうアプローチもあります」(飯塚氏)

 会計や給与など、弥生のプロダクトは基本的に日本の法令をベースに動いているため、毎年のように制度が変わり、それを正しく製品に実装していかねばならない。しかし、その法令変更を「パラメーターの変化」とだけ捉えて実装すると、出来上がるUIは独りよがりなものになってしまう。

 「その法令変更が『単なる条件分岐』なのか、それとも『考え方と判断基準が変わった』のかを見極めなければなりません。考え方が変わったのにUIが変化しなければ、お客さまにとって分かりにくいものになってしまうのです」(飯塚氏)

弥生のクラウドの先陣が、弥生製品同士をつなげる

 “こだわり”を持つもう1人のエンジニアは、弥生の全てを知る人間だ。

渡邉昌祐氏

 弥生のプロダクトは、一般会計だけでなく、給与、見積納品請求、顧客管理、個人事業主向け確定申告など多岐にわたっている。そこで、弥生製品の利用者、そして関係者のための「マイポータル」を提供している。プロダクトの情報をとりまとめ、つなげるためのポータルサイトを作り出したのが、開発本部 ビジネスプラットフォーム開発チーム テクニカルリーダーの渡邉昌祐氏だ。

 大学在学中からeラーニング関連の企業でパッケージ開発を経験してきた渡邉氏は、2013年に弥生に入社。設定のバックアップ、関連する書類の共有が可能なクラウドストレージ「弥生ドライブ」の立ち上げプロジェクトに参加する。この経験をきっかけとして、基幹となるこれまでの弥生製品を「横につなげる」ツールに携わるようになる。

 「弥生ドライブをきっかけに、弥生はクラウドに関わるようになりました。しかし、個別のスタンドアロン製品ごとにクラウド機能を実装すると、個別進化してしまう可能性がありました。そのため、共通部隊として私が入り、各種弥生製品の仕様調整を行う役割も担うようになりました」(渡邉氏)

 その結果、弥生ドライブは全ての弥生利用者が触れるクラウドサービスとして、弥生で最も利用されるプロダクトになった。

 現在では、デスクトップへのインストール製品でもクラウドを活用した「スマート取引取込」などが実装され、製品間をつなげる機能は、必ず渡邉氏が携わる「マイポータル」の機能を活用している。

 クラウドなどの最新技術によりプロダクトの開発自由度は高くなったが、関係者が増えると仕様は煩雑になり、もめる要因になる。クオリティーを維持しつつ、開発スケジュールに間に合うように調整することも、渡邉氏の大きな役割の一つだ。

こだわりの2人が“仲良く衝突”しながら向かう先にあるもの

 開発本部 ビジネスプラットフォーム開発チーム 統括リーダーの山田達也氏は、弥生製品の入口となるマイポータルの重要性を「歴史があり、ずっと使ってもらっていることが強みの弥生プロダクトにおいて、これまで接点のある経理担当や業務担当の“その先にいる人たち”とのつながり方を考える上でマイポータルの立ち位置はとても重要だ」と述べる。

山田達也氏

 「困ったらマイポータル。ここに来れば必ず解決できる、という世界を作り出したいのです」(山田氏)

 その上で必要なことこそが、優れたUIによる「迷わない」設計だと飯塚氏は考える。

 そのためにまずできることは何だろうか。飯塚氏は意外にも「コンテンツを減らすこと」だと述べる。

 「『現状の作り』で困るからサポートコンテンツが必要になるわけです。『お客さまが困らない状態』を作り出せれば、コンテンツは必要ありません。目指すは『画面を進めていったらあっという間に解決!』です。ソフトウェアを変えることでコンテンツを減らすという取り組みは、どんどんとやっていくべきだと思います。お客さまにとって『選ぶ』のは手間。ならば、ソフトウェアがお客さまの判断ポイントを減らし、できることはソフトウェア側で対応すべきでしょう」(飯塚氏)

 その思想を実装する側である渡邉氏は苦労する。「選択肢を問う画面なら、以前入力したことがあれば省けるのでは?」というUI的な改善ポイントを、弥生プロダクト全般を見回し、矛盾点や不足点がないかを考える。

 「飯塚さんのチームから依頼がきたら、それが迷子にならないように検討するのが自分の仕事。弥生のエンジニアとして、自らが考え、設計上こうあるべきというものを作ります。画面が必要最小限になるように調整しつつ、そのために足りない情報はこれですよ、というのを相談しながら作ります」(渡邉氏)

 2人のやりとりを遠目で見ている山田氏は、「たまにバチバチやり合っていますよ」とその関係を表現する。

 全てのメンバーに対して「迷ったときにはお客さま視点」というメッセージを、山田氏は送り続けているという。当然ながら品質が重要。しかし、それを第一にしつつもメンバーの“こだわり”を生かし、プロダクトを形作っていく。

 渡邉氏はこう語る――「弥生の製品群は、当然ながら法令を逸脱しないように作られており、その面では『こうしなくてはならない』が基本です。しかしマイポータルなどは法令によるものではないので、携わる全ての人が便利に進められるよう、自分たちで決められるプロダクトです。だからアイデアは無限大なんです」。

 これは、私たちが持っているであろう「弥生の堅いビジネス」の印象とは大きく異なる点だろう。渡邉氏はこうも述べる。

 「だからといって、みんなで良い案を出し合いましょうなんていうことをすると、良いものとは程遠いものができてしまいます。しかもたいていギリギリまで決まらず、スケジュールも遅延します。むしろこだわりを持つメンバーが、あらかじめシステム上の制約を入れ込んだ『良い素案』を提示することが重要です。飯塚さんはそういう責任を持つ仕事をする人なので、とても話が早いんです。お互い『これ何なんだよ!』とか『もっと考えてよ!』みたいな言い合いはしますけどね(笑)」(渡邉氏)

メンバーの“こだわり”を受け入れる、包容力のある組織がここにある

 飯塚氏はUIの調整により複雑なことを簡単にしていくことを、「自分の趣味」と語る。その趣味を受け、渡邉氏は優れたUIを実装し、放っておけば複雑になり続ける製品間の仕様を調整し、マイポータルといういまだ道の途中である壮大な構想を実現すべく、活躍している。

 2人が、そして弥生が最終的に向かう先は「お客さま視点」で弥生クオリティーを感じてもらうことだ。そのために、山田氏は世にあるさまざまな開発手法の「いいとこ取り」でお膳立てを行う。

 「弥生の開発スタイルは、アジャイルとウオーターフォールのいいとこ取り。渡邉さんが話したように、プロダクトの仕様を上流で決め、確実にプロセスを回しつつ、飯塚さんの取り組みのようにレビューし、案をたたいて変えていくものもある。それらの制約をうまく組み合わせて進められるようにしています」と山田氏は述べる。

 それらのプロセスに、各メンバーが生来持つ“こだわり”を生かし、それが最終的にエッジの効いたプロダクトとして世に出るのだ。

 渡邉氏が弥生に入社した理由は「パッケージメーカーであること」だった。自分のやりたいことを製品にまで落とし込めることができ、設計だけでなく企画にも携わるにはコンサルティング企業かパッケージベンダーだと思ったと述べる。

 そして40代になった今も、弥生の最前線で働き続けている。

 「ここでは誰もがいわゆる『プロジェクトマネジャー』にならなくてはいけないわけでありません。やる気があれば、どこでも勝手に会議に入り込み、口を出せば自然とそれに携われるようになります。それが『越権行為』なんて呼ばれることはありません」(渡邉氏)

 飯塚氏もそうやって、弥生の最前線に居続けている。

 「私は要求具現化チームに所属するとともにコンテンツチームのプロジェクトマネジャーもしていますが、マネジャーという肩書は、箔(ハク)を付ける程度のもので、『自分のこだわりを最大限に発揮する』ことが仕事だと思っています。管理的なことを全くやっていないわけではありませんが(笑)」(飯塚氏)

 弥生では、飯塚氏、渡邉氏が持つような“こだわり”が、製品作りにそのまま直結している。

 老舗であり、ベンチャーであるこの企業では、やりたいことを持ち、こだわりのある仲間を求めている。弥生の“包容力”が、あなたの力をさらに伸ばすかもしれない。あなたのこだわりで、ぜひ弥生をコーポレートロゴのように“右上”へ引っ張り上げてほしい。

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提供:弥生株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT自分戦略研究所 編集部/掲載内容有効期限:2019年6月27日

弥生株式会社

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