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» 2021年04月22日 10時00分 公開

Microsoftの“今と未来”が分かる「Microsoft Ignite 2021」の見どころをギュッと凝縮!――日本のコミュニティリーダー厳選の発表内容総まとめ「Microsoft Ignite Recap Community Day」をダイジェストで紹介

Microsoftが自社の最新テクノロジーとその展望を披露する年次カンファレンス「Microsoft Ignite」。そのMicrosoft Igniteを聴講した日本の技術コミュニティのリーダーが“特に気になった発表内容”を厳選して紹介する日本独自の振り返りイベント「Microsoft Ignite Recap Community Day」をダイジェストでお届けする。

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日本独自のイベント「Microsoft Ignite Recap Community Day」をダイジェストで紹介

 Microsoft米国本社が主催する年次グローバルカンファレンス「Microsoft Ignite」は、コロナ禍の影響もあり、2020年からはオンラインでの開催となった。2021年の「Microsoft Ignite 2021」は、日本時間の2021年3月3〜4日に開催された。

 Microsoft Ignite 2021開催後の2021年3月24日には、400以上のセッションで公開された多くの情報の中から、Microsoftの技術に携わる人々が特にチェックしておくべきポイントを日本の技術コミュニティをリードするMicrosoft MVP(Most Valuable Professional)受賞者やコミュニティリーダーがピックアップして紹介する振り返りイベント「Microsoft Ignite Recap Community Day」がオンラインで開催された。本稿では、同イベントの内容をダイジェストで紹介する。

 なお、Microsoft Ignite 2021の主要セッションの動画は、下記イベントページで無料で公開されている。キーノートとブレークアウトセッションを含む一部のセッションについては、日本語音声翻訳/字幕で視聴できるので、ぜひチェックしてほしい。

 Microsoft Ignite Recap Community Dayでスピーカーが使用したプレゼンテーション資料は、全て「connpass」上の同イベントページで一覧できる。また、技術エキスパートのMicrosoft MVP受賞者20名がおすすめするMicrosoft Ignite 2021セッション集をまとめた資料が公開されている。Microsoft Igniteの各注目のセッションに加えて、関連技術ドキュメント・ブログ・動画なども紹介しているので、新たな技術の学習の一助として活用できる。

 本稿を読んで気になるテーマを見つけたら、まずは日本語で書かれているMicrosoft Ignite Recap Community Dayの資料を見て、その上でMicrosoft Ignite 2021公式サイトにある動画や資料に当たれば、内容をより深く理解できるはずだ。

「Microsoft Ignite 2021」でMicrosoftが本当に伝えたかったメッセージとは?

 「Azure三つ巴チームが送るIgnite振り返り!」と題されたセッションでは、Microsoft MVP for Microsoft Azureであり、Japan Azure User Group(JAZUG)の主要メンバーとしても活動する松田恭明氏(札幌 Azure もくもく会)、武井宜行氏、山本誠樹氏の3人が、それぞれ「キーノートの見どころ」「現場で使えるAzureのアップデート」「AKS(Azure Kubernetes Service)の地味だけれどもうれしいアップデート」というテーマを取り上げた。

ALT 画面上から順に、山本誠樹氏、小田祥平氏(モデレーター)、松田恭明氏、武井宜行氏

 松田氏は、Microsoft Ignite 2021のキーノートとその「見方」についてのアイデアを披露。Microsoft Ignite 2021のキーノートは、以下の6つのテーマで展開された。

1.CEO Satya Nadella's keynote

2.Envisioning Tomorrow(主にAIをテーマにした内容)

3.Microsoft Cloud 'unplugged'

4.Building Future Agility(企業の事例紹介)

5.Security for All(ゼロトラストへの取り組みなど、セキュリティに関する内容)

6.The Hybrid Workplace(Microsoft 365、Teams Roomsについて)


 松田氏は、得意とする製品やサービスの技術セッションを見る以外にも「社会の変化を受けて今までとは異なる視点を得たり、仲間との議論を通じて知見を広げたりという観点で、より広いテーマを扱うキーノートを見るのも良いと思う」とした。サティア・ナデラ(Satya Nadella)氏のキーノートでは、テクノロジーによる「コミュニケーションの変化」への取り組みとして、「Microsoft Teams」「Microsoft HoloLens 2」「Microsoft Mesh」を紹介した。

 また、松田氏自身はナデラ氏のキーノートで、Microsoftがクラウドを提供する対象を企業や学校などに限定せず、より広義の「(全ての)コミュニティ」という表現を用いたことが印象的だったと語った。

 武井氏は、Microsoft Ignite 2021で公開された「Microsoft Azure」の新機能、将来実装予定の機能について、実際にAzureを日々の業務で使っている立場から気になったトピックを紹介。武井氏が気になったトピックは以下の9つだ。

1.Azure AutomanageのLinuxサポート(仮想マシンの最適な設定を自動的に行う機能のLinux対応がプレビュー)

2.Windows Server 2022(次期Windows Server)

3.Azure Kubernetes Service(AKS)の条件付きアクセスが正規版に

4.Application GatewayのAKSアドオンが正規版に

5.App ServiceのAPEXドメインサポート

6.Azure API ManagementのVisual Studio Code用拡張プラグインが正規版に

7.アプリケーションをコンテナ化し、App ServiceやAKSに移行できる機能がプレビュー

8.Azure Active Directory(Azure AD)のパスワードレス認証が正規版に

9.Azure Chaos Studio(信頼性向上や脆弱《ぜいじゃく》性の発見などを目的に、複雑な構成のシステムに対して疑似的に障害を発生させて対策を行う「カオスエンジニアリング」と呼ばれる手法の実践をサポートするツールセット)


 中でも、「Azure AutomanageのLinuxサポート」「Azure Migrateによるオンプレミスアプリのコンテナ化とAKS移行」「App Service Managed CertificateのAPEXドメイン対応」の3つは、武井氏自身が実際にAzureを使用し、その挙動をチェックしている。詳細は、武井氏が所属するサイオステクノロジーのテックブログでも紹介されているので参考にしてほしい。

 山本氏は、Microsoft Ignite 2021で発表されたAKSに関する多数のアップデートから、「地味だけれどもうれしいもの」として以下の3つをピックアップした。

1.Dynamic IP Allocation & enhanced subnet support in AKS

2.Planned maintenance windows in AKS

3.Just-In-Time Access support in AKS


 (1)は、「Azure Container Networking Interface(Azure CNI)」で動的IP割り当て、クラスタとは別のサブネット割り当てが可能になるというもの。従来、Azure CNIの利用時にはPodの一つ一つに個別のIPを割り当てる必要があり、結果としてIPが枯渇してしまうケースがあった。この機能を利用することで、そうした状況を避けられる。

 (2)は、クラスタのメンテナンス時間をユーザー側で制御できる機能だ。クリティカルな業務を行っている時間帯でのメンテナンスを回避できる、といったメリットがある。特にエンタープライズ領域でAKSを活用している場合、運用時の対応が容易になる。

 (3)は、必要な時に限定して、必要な人にクラスタへのアクセス権限を与えられる機能。リリース作業時やトラブル対応などの緊急時に、一時的に権限を与えたいユーザーがいる場合にこの機能を使うと、事後の権限抹消忘れなどのトラブルを回避できる。

Microsoftが目指す「ハイブリッドワークプレイス」、その本質は?

 ナデラ氏のキーノートでも単独の時間をとってコンセプトが紹介された「ハイブリッドワークプレイス(Hybrid Workplace)」については、「Microsoft 365」の利活用に詳しい、Office Apps & ServicesのMicrosoft MVPである太田浩史氏(Japan Office 365 Users Group)、平野 愛氏、中村太一氏(Home 365 User Group主宰、Japan Power Apps Orchestra《JPAO》主宰)とWindows and Devices for ITのMicrosoft MVPである村地 彰氏の4人が対談形式でポイントを語った。

ALT 画面上から順に、中村太一氏、平野 愛氏、村地 彰氏、太田浩史氏

 コロナ禍で2020年は世界中の人々の「働き方」が大きく変化した転換点となった。ネットワークやデジタルデバイスを活用し、オフィスへの出勤や直接対面せずに仕事を進める「リモートワーク(テレワーク)」も広く認知された。今後、アフターコロナの時代を迎えたとしても、この変化はコロナ禍以前と同じ状態には戻らないというのが、ハイブリッドワークプレイスの前提にある。

 自宅で仕事をする人、現場やオフィスで仕事をする人、状況に応じて両方を使い分ける人が混在する状況において「物理的な場所、空間にとらわれずに、人々が共同で作業を行える環境」がハイブリッドワークプレイスの基本的なコンセプトになる。Microsoftでは、それをMicrosoft 365に含まれるさまざまな技術やプロダクトを通じ、クラウドで提供しようとしている。

 2020年来のリモートワークの普及で、一気にユーザーの利用機会が増えたのがMicrosoft Teams(以下、Teams)だ。この1年間でTeamsには100以上の新機能が追加されたという。Microsoft Ignite 2021でも、今後実装予定のものを含む、多くの新機能が発表された。

  • ダイナミックビュー:オンライン会議中に大人数で話がしやすい画面を自動構成
  • プレゼンターモード:共有スライドに話者のカメラ映像を合成。聴衆の集中力が持続しやすい
  • パワーポイントライブ&ライブリアクション:会議中にパワーポイントを単に表示するだけでなく、視聴者自身がスライド内のリンクをクリックしたり、絵文字を使って反応を送ったりできる
  • ウェビナー:最大1000人まで参加できるインタラクティブ会議を設定。通常の会議と同じように、カレンダーを通じてウェビナーの予定を作成できる
  • Endpoint Transfer:PCからPC、PCからスマートフォンなど、他のデバイスに参加中の会議をワンタッチで転送できる
  • Intelligent Speaker:最大10人までの話者を識別し、発言した内容を自動的にテキスト化する
  • Microsoft Teams Rooms:Teamsに統合された物理的な会議室向けの環境「Teams Rooms」がギャラリービュー、集合モードに対応

 これらに加え、2021年後半にリリース予定の「Teams Connect」と呼ばれる機能は、外部向けの共有チャネルをテナントの切り替えなしで利用できるという点で注目される。

 「これまで、組織で利用しているTeamsで外部とコラボレーションしたい場合には、最初にテナントを切り替える必要があり、新しい投稿などがあっても気が付きにくく、ひと手間かかってしまうのが残念だった。Teams Connectが使えるようになると、社内の異なるチーム間はもちろん社外の人とのコミュニケーションがよりやりやすくなりそうな点で期待している」(平野氏)

 また、Microsoft Ignite 2021では「Microsoft Viva」と呼ばれるツールも発表された。セッションを見た印象では、「リモートワークでの人材マネジメントやラーニング、業務遂行のサポートを行う機能セット」のように感じられたという。Vivaでは、個人が見るべき情報やToDoなどをまとめて提示する「Connections」、個人や組織の働き方を可視化する「Insights」、特定のキーワードに関連する人、ファイル、用語といった情報を自動収集する「Topics」、LinkedInと連携してラーニングコンテンツの集約や受講を管理する「Learning」の大きく4つの機能が提供される。

 「Microsoft 365を使う、使わないにかかわらず、今後、従業員が求める多様な働き方に柔軟に対応できるかどうかが、企業の存続に関わる重要な課題になってくる」(太田氏)

 Microsoftが掲げる「ハイブリッド」なワークプレイスを実現するための技術と製品群の最新動向には、引き続き注目しておきたい。

コード補完はより賢くなりGit/GitHubとの統合も進む「Visual Studio」

 Microsoftの統合開発環境「Microsoft Visual Studio」(VS)のアップデートについては、Visual Studio Users Community Japan(VSUCJ)主宰の森 博之氏(Microsoft MVP for Developer Technologies)と、同コミュニティメンバーの日本マイクロソフトの大田一希氏が担当した。

 両氏は、実際に最新版のVSを操作しつつ、現場でのコーディングをサポートする幾つかの新機能を披露。その一部を以下に挙げる。

  • Frictionless repeated edits:コード編集中に繰り返し作業となる部分(オブジェクト名を変更するためのコピー&ペーストなど)をIntelliCodeが検知し、作業内容の提案と実行を行う
  • Add missing using directive on paste:ペーストしたコードのusingディレクティブがない場合に自動で追加
  • Commitキーとしてセミコロン(;)が利用可能に
  • Use Audio Cues with Test Explorer:テスト完了時に、結果に合わせてサウンドを再生
  • High Contrast Improvement:OSのハイコントラスト設定に合わせて、VSのハイコントラストを設定
  • プリプロセッサシンボルのIntelliSense強化:現在のスコープで定義されているシンボルを補完できる
  • Analyzer - Source GeneratorのNavigation:C#9で導入された「Source Generator」で自動生成されたコードを参照できる
  • Open in Terminal:ソリューションエクスプローラーに「ターミナルで開く」が追加

ALT 森 博之氏

 「IntelliCodeは、これまでサードパーティーで作られていたような機能も貪欲に取り込んで強化されている。作業環境としてのVSからユーザーを離脱させないことに対する強い執念を感じて面白い」(森氏)

 大田氏が注目したのは、最新のVSとGitおよびGitHubとの統合強化だ。具体的には以下の機能だ。

  • Git変更ウィンドウの新設(チームエクスプローラーから独立)
  • Gitメニュー
  • Gitリポジトリーウィンドウ
  • 「発行」からGitHub Actionsワークフローを使用したCI/CD(継続的インティグレーション/継続的デリバリー)が可能に

ALT 大田一希氏

 「これまで、VSというとAzure DevOps寄りの機能が実装されている印象があったが、Git/GitHubとの統合が大幅に強化されてきている。基本的な機能であれば、ほぼVSのウィンドウから離れずに扱えるようになった」(大田氏)

Azureでの充実したDevOpsをサポートする新たな機能群

 「Cloud移行とDevOps」をテーマに見どころを紹介したのは、Team Foundation Server Users Group(TFSUG)主宰の亀川和史氏(Microsoft MVP for Developer Technologies)と竹林 崇氏(Microsoft MVP for Azure)の2人。両者がMicrosoft Ignite 2021で注目したのは、以下のセッションだ。

ALT 画面上から順に、亀川和史氏、竹林 崇氏

■Azure Communication Services to be generally available, with Microsoft Teams interoperability in preview

 もともとAzure上の似たような機能であるTeamsと「Azure Communication Services」が相互接続できるようになるというトピック。セッション動画では、実際に何ができるようになるかの分かりやすいデモも確認できる。現在はプレビュー段階であり、機能のオン/オフにはフォームからの申請が必要だが、外部の人を組織のTeamsに招待するのはまだまだハードルが高いので、正式リリースに期待しているとした。

■Autoscale for Azure Spring Cloud and Managed Virtual Network now generally available

 Azure上でフルマネージドなSpring Bootアプリケーションの開発や実行環境を提供するサービス「Azure Spring Cloud」のアップデート。VNETのサポート、動的なスケールアップ/スケールダウン、サーキットブレーカーなどが実装されている。バックエンドにはAKSが利用されているが、Spring Bootの開発者がAKSをあまり意識しないで使える点がメリットになる。

■Developer Velocity Assessment tool updates and new industry report help organizations understand digital readiness

 企業や組織、チームの「開発パフォーマンス」を測定できるサイト。「パブリッククラウドの活用レベルは?」「開発ライフサイクル全般にわたってツール使っているか?」「ローコードツールなどを使って開発生産性を上げているか?」「オープンソースソフトウェア(OSS)へのコントリビューションをやっているか?」「組織内に心理的安全性はあるか?」といった、幾つかの質問に答えることで自社やチームの現状を把握できる。

■New solutions for running Java EE applications on Azure now available

 Azure Marketplaceでは、Javaアプリケーションサーバの「WebLogic Server」や「WebSphere」のイメージが提供されており、AzureのAKS/OpenShift上でのJava EEアプリケーションの動作が公式にサポートされる。これまでは、ユーザーが独自に対応する必要があった。特に、オンプレミスで稼働しているJava EEアプリケーションのAzureへの移行が容易になる可能性が高まるという点でJava開発者は要注目だ。

「Mixed Reality」の領域では4年前のコンセプトが着実に現実化

 ナデラ氏のキーノートで、多くの時間を割いて紹介されたのが「Mixed Reality」(MR)に関する製品と新たなテクノロジーだ。Microsoft Ignite 2021の公式動画を見ると、キーノートの大半は、MRデバイスのMicrosoft HoloLens 2、新たなMR向けプラットフォームであるMicrosoft Mesh(以下、Mesh)、そしてAlex Kipman氏によるデモに費やされている。

 Microsoft Ignite 2021で披露されたMeshと「Azure Mixed Realityサービス」を紹介したのは、中村 薫氏、大阪駆動開発コミュニティの宮浦恭弘氏、AR KOBEAzure Tech Lab.の堀尾風仁氏(いずれもMicrosoft MVP for Windows Development)の3人だ。

 Meshで実現できることのイメージは、キーノートや関連セッションのデモを実際に見てもらうのが手っ取り早い。ユーザーがそれぞれのいる場所、使っているデバイスの垣根を越え、協調して作業する環境を構築するためのプラットフォームがMeshだ。これは、前出のハイブリッドワークプレイスに、MRによる参加も可能になることを意味する。キーノートでは、そのイメージとして「Microsoft Mesh App for HoloLens」や「Microsoft Mesh enabled AltspaceVR」によるアプリケーションがデモされた。

ALT 中村 薫氏

 MRによる遠隔コラボレーションのイメージは、過去に日本で行われた「de:code」でも披露されているが「そのビジョンが、着実に実装されはじめている」(中村氏)という印象だ。

 Meshの主な機能としては、コアとなるプラットフォームの上に「Immersive Presence」「Spatial Maps」「Holographic Rendering」「Multiuser sync」といった各機能が、開発者向けツールキットと共に提供される。開発は「Unity」ベースで行うことも可能で、ターゲットとなるOSやデバイスは、現状のWindows、HoloLens 2、Androidデバイス、「Oculus Quest 2」に加え、将来的にはmacOS、iOS、Webなどにも拡大していく計画だという。

 正式版の提供が開始された「Azure Remote Rendering」については堀尾氏が、パブリックプレビューが始まった「Azure Object Anchors」については宮浦氏が、それぞれのサービス内容を紹介した。

 Azure Remote Renderingは、Azureで提供されているハイエンドなGPUインスタンスを活用して、ポリゴン数の多い高品質な3Dモデルのレンダリング処理をリアルタイムに行い、HoloLensなどのデバイスに配信するサービスだ。

ALT 堀尾風仁氏

 Azure Object Anchorsは、現実に存在する物体を「マーカー」として利用し、MR空間上の情報と現実の物体との「位置合わせ」を行うサービス。イベント資料には、実際にサービスを使う際のコツや技術面の詳細もまとめられているので、ぜひ参照してほしい。

ALT 宮浦恭弘氏

「Power Platform」はITによるボトムアップでの業務改善の切り札となるか?

 近年、アプリケーションの開発生産性を高める手段として注目を集める「ローコード開発」。Microsoftが提供するローコードソリューション「Power Platform」のアップデートは、中村亮太(りなたむ)氏、Japan Power Apps User GroupJapan Power Platform User Groupの運営メンバーで、Japan Power Platform User Group 名古屋の主宰の一人である山田晃央(やまさん)氏(いずれも、Microsoft MVP for Business Applications)、Home 365 User GroupJapan Power Apps Orchestra主宰の中村太一氏(Microsoft MVP for Business Applications/Office Apps and Services)の3人が担当した。3人が注目した主なトピックは以下の通りだ。

■Power Automate Desktop

 これまで有償版だけだった「Power Automate」のRPA(Robotic Process Automation)機能。Windows 10ユーザーは一部機能制限がある無償版が利用できるようになった。

■Power Fx

 Power Appsで採用されている「関数」が、OSSのプログラミング言語になり、他のPower Platform 製品も順次 Power Fx に対応していくことになる。まだプレビュー以前の段階だが「OSS化に伴い、プロ開発者が新たに開発した関数を、現場の人が活用することでより高度なアプリケーションに仕上げるといったコラボレーションが進むのでは」(中村太一氏)とのコメントもあった。

■Power BI Premium Per User

 「Microsoft Power BI Pro」の機能(ユーザー当たり1090円/月)はもの足りなく感じるが、「Premium」のライセンスは高額(54万3030円/月)なことに困っていたユーザーに朗報だ。Premiumの機能がユーザー単位、2170円/月で利用できるライセンスが用意される。「ちょっと試してみたい」といったことができ、組織として柔軟な導入戦略の立案が可能になる。

■Power Platformの管理機能とガバナンスの強化

 利用状況やアプリの作成状況を可視化できるレポート機能が強化される。また、利用制限についても、これまでコネクター単位だったものが、アクション単位、接続先などに応じた適用が可能となる予定。

ALT 画面上から順に、中村亮太(りなたむ)氏、山田晃央(やまさん)氏、中村太一氏

 「Power Platform、Power Appsについては、業務現場に近いところで関心を持っている人も多いが、セキュリティやガバナンスといった観点から利用が禁止されて、それがボトムアップでのITによる業務効率化の妨げになってしまうケースもある。管理機能、ガバナンス機能は、社内でPower Platformを展開する場合の安全弁的な仕組みとして機能すれば、より安心して使ってもらえるものになるのではないか」(中村亮太氏)

 「Power Platformに関わるコミュニティは数多く立ち上がっており、活発に活動している。Power Platformの活用を考えているのであれば、ぜひ社内で組織を作っていくだけでなく、会社の垣根を越えたユーザーコミュニティーに参加し、技術や製品についての最新動向、ナレッジなどを積極的に共有して、一緒に盛り上げていきたい」(山田氏)

まだある気になるアップデート――4つのLTも漏れなくチェック

 イベントの最後には、4人のスピーカーが「ライトニングトーク(LT)」として、それぞれが専門とするテーマでショートプレゼンテーションを行った。それぞれの詳細については、イベント資料を参照してほしい。

■「俺的 Ignite 2021 Spring Updateまとめ ミニ」(足利 惟氏)

 Japan Azure User Group(JAZUG)の足利 惟氏(Microsoft MVP for Azure)は、Azureの「ストレージ」「ネットワーク」「ID管理」のアップデートを紹介。ストレージは「ZRSサポート」「ダウンタイムなしでのパフォーマンス層アップグレード」「オンデマンドディスクバースト」、ネットワークについては、契約プランやロードバランサーのアップグレードをパブリックIPアドレスの変更なしに行える機能、強化された「Azure Firewall Premium」、ID管理については「パスワードレス認証機能への対応」「Temporary Access Pass」などをピックアップした。

ALT 足利 惟氏

■「Azure Arcで『どこでも』Azureサービスを利用可能に」(胡田昌彦氏)

 ハイブリッドクラウド研究会の胡田昌彦氏(Microsoft MVP for Azure)は「Azure Arc」をピックアップ。Azure Arcは近年のハイブリッドクラウド化、マルチクラウド化によって複雑さが増している企業のシステム環境を、効率的かつセキュアに管理するためのビジョンとして発表された。基本的なコンセプトは、Azure上のシステム、オンプレミスで動かすシステム、外部のパブリッククラウド上で動かすVMやコンテナなど、全ての要素を「Azure Arc」で一括して管理、展開していこうというもの。現状、「Azure Arc enabled servers」「Azure Arc enabled Kubernetes」が正式版、「Azure Arc enabled data services」「Azure Arc enabled machine learning」がプレビューとなっている。

ALT 胡田昌彦氏

■「Updates of Azure NoSQL announced at Microsoft Ignite Spring 2021」(政岡裕士氏)

 Japan Azure Cosmos DB User Group(JCDUG)のオーガナイザーを務める政岡裕士氏は、Microsoft Ignite 2021で発表された「Azure NoSQL」関連のアップデートとして、特に「Cosmos DB」で秒単位の復元ポイントを指定することで、アカウント削除にも対応が可能なリストア機能「Point in Time Restore」(PITR)のプレビューが開始されたこと、Azure ADによる「ロールベースアクセス制御」(RBAC)がCosmos DBにも対応したことをピックアップした。

 PITRはまだプレビュー段階ということもあり、「PITRもRBAC with Azure ADも、DBエンジニアにとっては非常に有用な機能。Cosmos DBを使う予定のある人は、今後の動向をチェックしてほしい」(政岡氏)とした。

ALT 政岡裕士氏

■「Azure Synapse Pathway」(Yang Jiayi氏)

 Japan SQL Server User Group(JSSUG)のYang Jiayi氏(Microsoft MVP for Data Platform)は、「Azure Synapse Pathway」をピックアップ。Azure Synapse Pathwayは、分析系システムに使われるデータウェアハウス(DWH)を、Azureで提供されているビッグデータ分析サービス「Azure Synapse Analytics」へ移行する際に便利なツールだ。TeradataやNetezza、Redshift、BigQueryといったDWHをソースに指定すると、DDL(Data Definition Language)やDML(Data Manipulation Language)のスクリプトを自動でSynapse向けに翻訳して出力する。「DWHの移行プロジェクトにおいて、非常に工数がかかるのはコードの書き直し。Synapse Pathwayでは、その部分をほんの数分で行える。ぜひ活用してほしい」(Jiayi氏)とした。

ALT Yang Jiayi氏

※本記事内の肩書や所属は2021年3月24日時点の情報です。

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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2021年6月27日

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